「困った」の先にある、その人らしさを見つめる支援
障がい者支援の現場では、突然の出来事に戸惑う場面が少なくありません。
今回のAさんの受け入れも、ほとんど情報がないまま始まった緊急対応でした。どんな病気があるのか、どんな生活を送ってきたのかも分からない中で、まず優先したのは「食事」「入浴」「睡眠」という、人として安心して過ごすための基本的な生活を整えることでした。
翌朝、Aさんの表情や顔色は見違えるほど穏やかになっていました。しかし、その後ホームを抜け出したり、ルールを守れなかったりと、支援者を困らせる出来事も続きます。
それでも、その行動だけを見て「困った人」と決めつけるのではなく、「なぜ、その行動を取ったのだろう」と背景を考えることが大切です。本人にとっては、それまでの日常の延長線上で行動しているだけかもしれません。
印象的だったのは、入居者のBさんの言葉です。以前、自分が支援を受けて助けられた経験を思い出し、「今度は自分が支える側になろう」と自然にAさんへ寄り添っていました。
支援は職員だけが行うものではなく、同じ経験を持つ仲間同士だからこそ生まれる支え合いもあります。
支援に「これが正解」という答えはありません。一人ひとりの状況に合わせながら、安全を守り、本人の希望も大切にする。その積み重ねが信頼関係につながります。保護者の皆さんにも知っていただきたいのは、支援者は目の前の行動だけで判断するのではなく、その人らしい生活を一緒に考えながら日々向き合っているということです。
困難な出来事の中にも、人が成長しお互いを支え合うきっかけが隠れているのかもしれません。


