「できるはず」で決めつけない支援の大切さ
障がい者支援の現場では、「本人のやりたい気持ちを大切にしたい」という想いと、「将来のために必要なことも伝えたい」という想いの間で悩む場面が多くあります。
例えば、好きなものを好きなだけ食べたい、欲しい物を買いたいという気持ち。
これは障がいのある・なしに関わらず、多くの人に共通する自然な感情です。しかし一方で、健康面やお金の管理、将来の生活を考えると、我慢や調整が必要になることもあります。
就労によって収入が増えたAさん。
支出も多く、なかなか貯蓄ができない状況でした。支援者は「貯金をしてください」と一方的に伝えるのではなく、なぜ必要なのかを丁寧に説明しました。今後もずっと同じように働けるとは限らないこと、今の楽しい生活を続けるためにも備えが必要なことを、図や具体例を使いながら一緒に考えていったのです。
するとAさん自身が、「自分らしい生活を続けるために貯蓄が必要なんだ」と納得し、前向きに取り組めるようになりました。
支援の大切なポイントは、
「本人の言葉だけを見るのではなく、その背景にある本当の想いを理解すること」
です。「今を楽しみたい」という言葉の奥には、「これからも安心して暮らしたい」という願いが隠れていることがあります。
その気持ちを一緒に整理し、本人が自分で選び、納得して決められるよう支えること。それが意思決定支援の大切な役割なのだと思います。
支援は簡単ではありません。だからこそ深く、やりがいのある仕事です。利用者さんにとって「帰りたくなる場所」であり続けるために、これからも一人ひとりの想いに寄り添う支援が求められているのではないでしょうか。


