自立への第一歩、「はじめてのおつかい」を見守る勇気
障がい者支援の現場では、「本人の健康のため」「決まりだから」と、つい正論で向き合いすぎてしまうことがあります。しかし、生活を支える上で本当に大切なのは、理屈よりも「心の潤い」かもしれません 。
例えば、ダイエット中のはずの方がお菓子の空き袋を隠し、「これは先週食べたものだ」とバレバレの嘘をつくことがあります 。そこで「嘘はダメ」「ゴミの日を考えたらおかしい」と問い詰めるのは簡単ですが、それではお互いに不穏な空気になってしまいます 。
あえて深く追求せず、「わかった」と同意してみる 。それは、本人の「お菓子が大好き」「褒められたい」という素直な欲望を理解しているからこそできる、一つの温かな支援の形です 。
私たちは普段、友人とお菓子を分け合ったり、お返しをしたりして楽しんでいます 。それは障がいがある方も同じです。仲間同士でこっそりお菓子を交換する姿は、人として当たり前の「お返しをしたい」という返報性のあらわれでもあります 。
「ルールだから禁止」と厳しく取り締まるのではなく、大きな問題にならない範囲であれば、その人間らしいやり取りを見守る余裕も必要です 。
支援に必要なのは、「YESかNOか」という白黒はっきりした結論だけではありません 。その中間にある「イエスかモォ〜」という、ちょっとした遊び心や「いい塩梅(あんばい)」が、生活を豊かにしてくれます 。
いつも真面目すぎると、支援する側もされる側も疲れてしまいます 。時には一緒に笑い、本人の「やりたい」という気持ちに寄り添いながら、今日という日を楽しく過ごす。そんな心のゆとりが、一番の支援になるはずです 。


