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妻側の親との同居に適した融合タイプの二世帯住宅

田原稔久

田原稔久

テーマ:二世帯住宅の間取り

完全共有型の融合タイプで予算の有効利用を

完全分離型の二世帯住宅が人気の昨今ですが、やはり予算が何かとネックになってしまうようです。
二世帯住宅を建てる際のポイントとして、まず何を優先させたいか、優先順位を書き出しましょう。

同時に、どのような二世帯で住むのか世帯構成が重要な鍵です。
夫側の親と暮らすのか、妻側の親と暮らすのかで、どういったスタイルの二世帯住宅を建てるのかが決まります。

同居する世帯構成は、それくらい大切なことだと言えます。

今回は、妻側の親と暮らす二世帯住宅について確認していきたいと思います。

嫁姑トラブルはよくありがちですが、母娘間となると、よほどこだわりのある人でない限り、キッチンのルールなども基本的に世帯間の差はありません。

ですから、完全共有型の融合タイプの住まい方をおすすめしています。

そうすることで、共有部分が増えますが、リビングなどに広々としスペースが実現し、また予算を有効に使うことができます。

予算の有効利用で、念願だったウッドテラスやガーデニングに凝った庭、夫婦だけのバーコーナーなど余裕のある設計プランも可能です。

生活習慣に配慮した設備と間取りを

完全共有型の融合タイプの二世帯住宅は、分離型の二世帯住宅に比べて1.5~1.8倍の費用が抑えられます。

ただし、夫側は多少なりとも気を使いますので、そこには気配りが必要です。

しかしながら、筆者は今まで多くの男性の意見をうかがってきましたが、「妻の親との同居では、少しは気を使いますが、実母と嫁のサンドイッチになることの辛さに比べたらストレスはかなり少ない」とのことでした。

さらに資金面での援助があることや、今まであった家賃やマンションのローンからは解放され、生活に余裕ができることが魅力のようです。

そうなると妻側の親との同居は、かなりメリットがあると思われます。
もちろん、世代は異なるので、気を使わないと言えども、起床・入浴・就寝などのライフスタイルが違いますから、生活習慣に配慮した設備が必要でしょう。

トイレだけは、各々の寝室近くに2カ所設置を

間取りとしては、2階建て住戸の1階に親世帯の寝室、キッチン、リビングダイニング、浴室、2階は子世帯の寝室とするパターンが一般的です。
また、最近増えた3階建て住戸であれば、1階に親世帯の寝室、浴室、2階に、キッチンとゆったり広めのリビングダイニング、3階は子世帯の寝室となることが多いです。

トイレと洗面ですが、こちらは夜間にトイレに行くことを考えると騒音や利便性から、各々の寝室近くに2カ所設置付するのがベターでしょう。
3階建ての場合は3カ所に付けることをおすすめします。

浴室はひとつですが、夜間にお風呂に入ることもあると想定し、音が聞こえにくい設備や間取りなどをプランニングし、問題をカバーしていく必要があります。
また、いつか親の介護が必要になることを考えたバリアフリー設計もプランしておく方が良いでしょう。

設備面だけでなく、「覚悟」として心に持っておく方が賢明です。

同居を決めた時点で夫側も「妻の親の介護協力」は必要になることを頭に入れておきましょう。

援助してもらうだけでなく、こちらも返すことを忘れないようにしなければいけませんね。

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田原稔久
専門家

田原稔久(建築家)

田原建設株式会社

新築、リフォーム、アフターメンテナンスの三拍子がそろう住まいづくりに徹し、2世帯の長期優良住宅を多く建設。自身が阪神・淡路大震災の体験もあり、耐震等級3の地震に強い住宅を採用する

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