【家族葬の後の四十九日】香典は必要？金額相場とマナーを徹底解説

皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。

「家族葬で葬儀を小さく済ませた場合、四十九日法要はしなくても良いのでしょうか？」

「葬儀で香典を辞退されたのですが、法要の際も、香典は持参しなくて良いのでしょうか？」

近年主流となっている家族葬に関して、このようなご相談をいただくことが、非常に多くなりました。

葬儀の形が多様化する中で、その後の法要のあり方やマナーについて、戸惑われるのは当然のことでしょう。

今回は、この極めて重要な「家族葬の後の四十九日法要と香典」をテーマに、

• そもそも、なぜ四十九日法要を行うのか？その本当の意味
• 葬儀と法要で、香典の考え方が全く違う理由
• 【関係性別】恥をかかないための、香典の金額相場一覧
• 「御霊前」と「御仏前」の違いは？表書きと服装マナー
• 法要はいつ、何をするのか？施主側の準備

などを、徹底的に分かりやすく解説していきましょう。

【結論】家族葬でも四十九日法要は必須。香典は「相互扶助」の意味で持参が基本

たとえ家族葬で葬儀を執り行った場合でも、仏式においては「四十九日法要」は、故人様のために執り行うべき、極めて重要な儀式です。

そして、葬儀の際に香典を辞退されたとしても、四十九日法要の案内状に「香典辞退」の旨が明記されていない限りは、香典を持参するのが、大人の丁寧なマナーと言えるでしょう。

なぜなら、葬儀と法要では、その意味合いも、施主（主催者）側の準備も、全く異なるからです。

1. 葬儀での香典辞退：主に「参列者への返礼の負担を減らしたい」という、ご遺族側の配慮。
2. 法要での香典：僧侶へのお布施や、会食・引き出物の用意など、施主側の金銭的負担を、参列者皆で支え合う「相互扶助」や「会費」といった意味合いが強い。

この根本的な違いを理解しておくことが、ご遺族にも、そしてご自身にも、恥ずかしい思いをさせないための、最も重要な知識なのです。

1. なぜ行う？「四十九日法要」― 故人の旅立ちを支える、最後の儀式

そもそも、なぜ「四十九日」が、これほどまでに重要視されるのでしょうか。

■ 故人の来世が決まる、最後の審判の日

仏教の多くの宗派では、亡くなってから49日間、故人の魂はこの世とあの世の間をさまよっている「中陰（ちゅういん）」の期間と考えられています。

この間、故人は7日ごとに、生前の行いについて閻魔大王をはじめとする十人の王から裁きを受け、来世の行き先が決められていくのです。


■ 法要の本当の意味

そして、最後の審判が下される49日目。この日に、この世に残されたご家族や縁者が集い、供養を行うことで「善」を送り、故人が良い裁きを受け、無事に極楽浄土へたどり着けるように、最後の後押しをする。

これが、四十九日法要の、最も大切な意味なのですね。

この日をもって、故人の魂は行き先が定まり成仏するとされ、ご遺族にとっても「忌明け（きあけ）」という、一つの大きな区切りになります。

2. なぜ必要？ 葬儀と法要で、全く異なる「香典」の考え方

前述の通り、葬儀と四十九日法要では、香典の考え方が少し異なります。

■ 家族葬での香典辞退の理由
ご遺族の負担軽減や、参列者への返礼（香典返し）の手間を省きたい、というご遺族の意向が尊重されます。


■ 四十九日法要で香典が必要な理由
法要の場合、施主は、僧侶へのお布施の他に、参列者のために、

・会食（お斎・おとき）の席
・引き出物（返礼品）

を用意するのが一般的です。当然、そこには相応の費用が発生します。

そのため、参列者が持参する香典は、故人への供養のお気持ちに加え、こうした施主の経済的な負担を、皆で支え合う「会費」や「相互扶助」といった、現実的な意味合いを強く帯びるのです。

たとえ会食がなく、お弁当や引き出物のみの場合でも、施主が費用を負担していることに変わりはありません。

案内状に明確な「香典辞退」の記載がない限りは、香典を準備していくのが望ましいでしょう。

3. いくら包む？【関係性・会食の有無別】香典の金額相場

香典の金額は、故人様との関係性や、会食の有無によって変わってきます。あくまで目安ですが、参考にしてください。

■ 会食の有無による調整
法要後に会食（お斎・おとき）がある場合は、そのお食事代として、一人あたり5,000円～20,000円程度を、上記の金額に上乗せして包むのが一般的です。

例えば、ご夫婦で会食に出席される場合は、「一人分の香典額×1.5～2倍＋会食費二人分」を目安に考えると良いでしょう。

金額に迷った場合は、ご自身の年齢や、同じ立場で参列する他の親族などと、事前に相談して決めるのが最も安心です。

4. どう書く？どう着る？香典袋の表書きと当日の服装マナー

四十九日法要に参列する際の、基本的なマナーも確認しておきましょう。

■ 香典袋の表書き：「御霊前」と「御仏前」の違い
四十九日をもって、故人は「霊」から「仏」になると考えられているため、四十九日法要では「御仏前（ごぶつぜん）」と書くのが一般的です。

葬儀の際に使われる「御霊前（ごれいぜん）」は、まだ霊としてさまよっている状態とされる、四十九日より前に使うものです。
（※ただし、浄土真宗では、亡くなるとすぐに仏になるという教えのため、葬儀の時から「御仏前」を使います）


■ 服装
一周忌までは、施主側も参列者側も、葬儀と同様の「準喪服」を着用するのが基本です。

三回忌以降は、だんだんと簡略化され、ダークスーツなどの「平服（略喪服）」で良いとされることが多くなります。

5. いつ、何をする？ 施主側が準備すべきこと

四十九日法要に向けて、施主は様々な準備を進めます。

■ 法要を営む時期
命日から数えて49日目当日、またはそれよりも少し前の、親族が集まりやすい土日などに行います。

法要の日程を、49日よりも後に（後ろ倒しに）設定するのは、故人の旅立ちを遅らせることになるため、避けるのが慣わしです。


■ 法要と合わせて行う儀式
多くのご家庭で、四十九日法要の日に合わせて、以下の儀式を同時に行います。

1. 納骨式：お墓へご遺骨を納める儀式。
2. 本位牌への開眼供養：葬儀で用いた白木の仮位牌から、本位牌へ故人の魂を移す儀式。
3. お仏壇の開眼供養：新しくお仏壇を購入した場合に、魂入れを行う儀式。

これらの儀式があるため、施主は僧侶の手配だけでなく、会食会場や返礼品の準備、石材店との打ち合わせなど、多岐にわたる準備が必要になるのです。

【まとめ】家族葬の後も、心を込めた四十九日供養を。香典は“思いやり”の形

家族葬という、ごく近しい方々だけで温かくお見送りをする形式を選ばれたとしても、その後のご供養が大切であることに、何ら変わりはありません。

では、本日のポイントをまとめます。

• 家族葬であっても、四十九日法要は故人のために執り行う、仏式における重要な儀式。
• 葬儀で香典を辞退されても、法要の香典は、施主の負担を支え合う「相互扶助」の意味合いが強いため、辞退の申し出がなければ持参するのがマナー。
• 香典の表書きは「御仏前」、服装は「準喪服」が基本。
• 金額に迷ったら、故人との関係性や会食の有無を考慮し、周囲と相談するのが良い方法。
• 四十九日法要は、納骨や本位牌への魂入れなどを同時に行う、ご遺族にとって重要な人生の節目となる。

葬儀の形が多様化する現代だからこそ、一つひとつの儀式に込められた、故人を敬い、残された者が心を寄せ合うという、その本質的な意味を理解することが、より一層大切になっているのではないでしょうか。

私たちも、ご葬儀だけでなく、その後の法要に関するあらゆるご不安やご質問に、いつでも親身にお応えしたいと考えております。

株式会社大阪セレモニー