「遺影写真って、どんな写真を選べばいいの?」
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
葬儀とは、人生でそう何度も経験するものではありません。
だからこそ、いざその当事者となった時、「何から手をつければいいのか」「誰に聞けばいいのか」「こんなことを聞いたら恥ずかしいのではないか」と、数えきれないほどの不安と疑問に襲われるのは、当然のこと。
そこで、今回からスタートする新シリーズ「喪主やご遺族からのご相談」では、皆様から実際に私たちに寄せられるリアルで切実なご質問に対し、葬儀のプロとして本音でお答えしていきたいと思います。
今回はその第一弾として、特にお問い合わせの多い5つの質問を厳選し、Q&A形式で、その疑問の核心から具体的な解決策まで、徹底的に深掘りして解説していきましょう。
【結論】葬儀の不安は「知識不足」と「孤独」から生まれる。正しい知識を身につけ、信頼できるプロを味方につけることが、後悔しない葬儀への唯一の道
葬儀で後悔やトラブルを経験されたご遺族に共通しているのは、たった二つのことです。
- 葬儀に関する最低限の知識がなかったために、言われるがままに物事を進めてしまったこと。
- 深い悲しみの中で、誰にも相談できず、孤独な状態で重大な判断を下してしまったこと。
裏を返せば、事前に正しい知識を少しでも身につけておくこと、そして、どんな些細なことでも親身に相談に乗ってくれる、信頼できる葬儀社という“伴走者”を見つけること。
この二つさえできれば、たとえ初めての経験であっても、故人様とご遺族にとって、心から納得のいく、温かいお見送りを実現することができるのです。
「知らない」「聞けない」という不安を、この記事で「知っている」「聞ける」という安心へと変えていきましょう。
Q1:喪主って、具体的に何をすればいいの? 私に務まるか不安です…
A1:喪主様が全て抱え込む必要はありません。ぜひ葬儀社を頼ってください。
■ 喪主の本当の役割とは?
喪主の役割は、一言で言えば、葬儀全体の「最終的な意思決定者」であり、ご遺族の「代表者」です。
具体的には、以下のような場面で、ご遺族を代表して判断を下し、対外的な挨拶を行うことになります。
- 葬儀社との打ち合わせ:葬儀の形式、日程、場所、費用などの最終決定。
- 寺院(宗教者)への対応:葬儀の依頼と、お布施などのお礼。
- 弔問客への対応:通夜や告別式での、代表としての挨拶(喪主挨拶)。
- 出棺・火葬の際の代表:火葬許可証の提出や、収骨の際の代表。
■ 「一人で抱え込まない」が、最大の秘訣
文字にすると大変そうに見えるかもしれませんが、これら全てを、喪主様お一人でこなす必要は全くないのです。
むしろ、一人で抱え込むことこそが、最も避けるべきことだと言えるでしょう。
実際の作業の多くは、ご兄弟や他のご親族と手分けをして行います。
香典の管理は会計係の弟に、遠方の親戚への連絡は姉に、といったように、役割分担をすることが、円満な葬儀運営の鍵です。
そして、何より忘れてはならないのが、私たち葬儀社のスタッフの存在。
私たちは、喪主様が次に何をすべきか、どう判断すればよいかを、常に隣でサポートし、道筋をお示しします。
分からないことは、その都度、遠慮なく私たちに尋ねてください。
喪主様を孤独にさせないこと、それが、私たちの最も大切な仕事なのです。
Q2:葬儀費用をできるだけ抑えたい…何か良い方法はありますか?
A2:はい、もちろんです。費用を抑えることは、決して故人様に失礼なことではありません。大切なのは、どこにお金をかけ、どこを節約するかの“メリハリ”です。
■ 費用を抑えるための、具体的な5つの選択肢
- 葬儀形式を見直す:最も効果的なのが、葬儀の規模を小さくすることです。一般葬ではなく、親族中心の「家族葬」や、告別式のみを行う「一日葬」にすれば、参列者が減るため、飲食接待費や返礼品費を大幅に削減できます。さらに、儀式を一切行わない「直葬(火葬式)」は、最も費用を抑えられる形式です。
- 公営斎場を利用する:民間の葬儀会館に比べ、自治体が運営する公営斎場は、利用料金が格段に安い場合があります。ただし、人気が高く予約が取りにくいという側面もあります。
- 祭壇のグレードを検討する:豪華な生花祭壇は非常に高額です。伝統的な白木祭壇を選んだり、生花のボリュームを少し抑えたりするだけでも、費用は大きく変わってきます。
- 料理・返礼品のランクを調整する:Q1で触れた飲食接待費用は、ご遺族の意向で最も調整しやすい項目です。参列者の顔ぶれを考えながら、過度に豪華になりすぎないよう、葬儀社と相談してランクを決めましょう。
- 複数の葬儀社から見積りを取る:これが、最も重要な防衛策です。同じ内容の葬儀でも、葬儀社によって料金体系は全く異なります。必ず2~3社から詳細な見積りを取り、総額だけでなく、その内訳を比較検討することで、適正価格を知り、不要なオプションを見抜くことができます。
Q3:遠方に住んでいる親戚への訃報連絡、どうすれば失礼になりませんか?
A3:遠方にお住まいのご親族への連絡は、タイミングと、相手を思いやる一言が大切です。
■ 連絡の基本マナー
- 連絡手段:まずは、電話で直接お伝えするのが最も丁寧です。もし、日中お仕事などで電話に出られない可能性が高い相手であれば、先にショートメッセージなどで「〇〇の件で、お電話いたしました。ご都合の良い時間をお知らせください」と一報入れるのも、現代的な配慮と言えるでしょう。
- タイミング:深夜や早朝の連絡は、緊急時であっても、一度ためらうのがマナーかもしれません。ただし、危篤状態など、一刻を争う場合はその限りではありません。
- 伝える内容:落ち着いて、簡潔に。「〇〇(故人)の長男の△△です。実は、父の〇〇が、本日〇時に、安らかに永眠いたしました。葬儀の日程はまだ未定ですが、決まり次第、改めてご連絡いたします」といったように、まずは事実を正確に伝えます。
■ 参列を無理強いしない思いやり
遠方からの参列は、時間的にも経済的にも大きな負担となります。
「遠いところ、大変だと思いますので、どうか無理はなさらないでくださいね」という一言を、必ず添えるようにしましょう。
その上で、「もしよろしければ、弔電や供花をお送りいただけると、故人も喜ぶと思います」と、別の形で弔意を示していただく方法をご提案するのも、良い気遣いですね。
Q4:葬儀での喪主挨拶、何を話せばいいか分からず、頭が真っ白になりそうです…
A4:喪主挨拶は、故人様に代わって、参列者へ感謝を伝える大切な機会ですが、上手なスピーチをする必要は全くありません。短くても、心のこもった言葉であれば、その想いは必ず伝わります。
■ 挨拶を成功させる3つのコツ
- メモを用意する:事前に話す内容の要点をメモに書き、それを見ながら話しても、全く失礼にはあたりません。むしろ、誠実な印象を与えます。
- 構成はシンプルに:【参列へのお礼】→【故人の紹介(簡単な人柄やエピソード)】→【生前のお付き合いへの感謝】→【結びの言葉】という、シンプルな構成で十分です。
- 無理をしない:感極まって、どうしても言葉に詰まってしまうこともあるでしょう。そんな時は、無理に続けようとせず、「申し訳ありません」と一礼して、司会者に後を託しても構いません。あるいは、最初からご兄弟や葬儀社のスタッフに代読をお願いしておくという選択肢もあります。
【例文】
「本日は、ご多忙の中、亡き父〇〇のためにお集まりいただき、誠にありがとうございます。
遺族を代表いたしまして、ひと言ご挨拶申し上げます。父は、晩年、闘病生活が続きましたが、家族に見守られ、〇月〇日、〇〇年の生涯を安らかに閉じました。
生前は、皆様より格別のご厚情を賜りましたこと、心より厚く御礼申し上げます。
父との別れは大変辛いものですが、父が愛したこの〇〇(地名など)で、皆様に温かくお見送りいただけますことを、故人もきっと喜んでいることと存じます。本日は、誠にありがとうございました。」
Q5:お寺とのお付き合いが全くないのですが、どうすれば良いですか?
A5:ご安心ください。いわゆる「菩提寺」がないという方は、今や決して珍しくありません。そのような場合でも、葬儀社が、ご希望の宗派のお寺(僧侶)を紹介してくれます。
■ お寺を紹介してもらう際の注意点
- 宗派の確認:ご実家やご親族の宗派が分かれば、それに合わせるのが一般的です。もし不明な場合は、日本の仏教で最も信者の多い、浄土真宗や浄土宗など、比較的多くの方が受け入れやすい宗派を選ばれるのも一つの方法です。
- お布施の確認:最も気になるのが、お布施の金額だと思います。葬儀社から紹介されたお寺であれば、通常、お布施の金額の目安(読経料や戒名料など)を、事前に教えてもらうことが可能です。後々のトラブルを避けるためにも、金額については、遠慮なく葬儀社に確認しましょう。
- 無宗教葬という選択:近年では、特定の宗教・宗派にとらわれず、故人が好きだった音楽を流したり、思い出のムービーを上映したりする「無宗教葬」を選ぶ方も増えています。これも、故人らしいお見送りの、立派な形の一つです。
【まとめ】“聞くは一時の恥、聞かぬは一生の後悔”。葬儀の不安はプロにぶつけよう
葬儀における後悔は、多くの場合、「あの時、ちゃんと聞いておけばよかった」という、コミュニケーション不足から生まれます。大切な人との最後の時間を、そんな後悔で汚してはなりません。
では、本日のポイントをまとめます。
- 喪主は一人で全てを背負うのではなく、親族や葬儀社と役割分担する「代表者」。
- 葬儀費用を賢く抑える鍵は、「葬儀形式の見直し」と「複数社からの見積り取得」。
- 遠方の親族への連絡は、相手の負担を思いやる一言を添えることが、何よりのマナー。
- 喪主挨拶は、上手さより「感謝の気持ち」。メモを見ながらでも、心のこもった言葉が一番。
- 菩提寺がなくても、葬儀社がお寺を紹介してくれる。その際は、お布施の目安を事前に確認することがトラブル回避の鍵。
葬儀とは、ただ故人を送るだけの儀式ではないと、私たちは考えています。
それは、深い悲しみの中にいるご遺族が、故人との思い出を胸に、明日からまた前を向いて生きていくための、心の区切りをつけるための、非常に重要なプロセスなのです。
その大切な時間を、私たちが持つ知識と経験のすべてを懸けて支え、ご遺族の不安を一つひとつ取り除いていくこと。
それこそが、葬儀のプロとして、私たちに課せられた最も尊い使命だと信じています。
株式会社大阪セレモニー



