「年金をもらっていた家族が亡くなったけど、何か手続きは必要?」
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
ご家族がお亡くなりになった後は、死亡届の提出から始まり、健康保険や年金、相続に関する手続きなど、本当に多くの手続きが必要になります。
その中でも、もし亡くなられた方が「世帯主」であった場合、通常の手続きに加えて、さらに必要となる手続きがあることをご存知でしょうか?
世帯主は、その世帯の中心となる重要な存在。
そのため、世帯主が亡くなった場合は、住民票に関する届け出をはじめ、生活に密着した様々な契約の名義変更などが必要となり、手続きが少し複雑になります。
これらの手続きを怠ってしまうと、行政サービスが受けられなくなったり、重要な通知が届かなくなったり、後々面倒なことになったりする可能性があります。
そこで今回は、世帯主が亡くなった場合に必要な手続きについて、
- 「世帯主変更届」とは?(必要な場合・不要な場合)
- いつまでに、どこへ届け出るのか?
- その他、関連して必要となる主な手続き(公共料金、NHK、保険など)
- 手続きをスムーズに進めるためのポイント
名義変更や解約手続きなど、やることは多い!期限があることも忘れずに!
世帯主が亡くなった場合に、最も基本となる手続きは「世帯主変更届」の提出です。
これは、残された世帯員の中から新しい世帯主を決めて、市区町村の役所(役場)に届け出る手続きです。
ただし、この世帯主変更届は、全ての場合に必要なわけではありません。
必要なケース: 残された世帯員が2人以上いる場合。
不要なケース:
残された世帯員が1人だけになる場合(その人が自動的に新しい世帯主になるため)。
残された世帯員が「15歳未満の子供とその親権者(母親など)」のみの場合(親権者が自動的に世帯主になるため)。
世帯主変更届が必要な場合は、原則として世帯主が亡くなった日から「14日以内」に、お住まいの市区町村の役所(役場)へ届け出る必要があります。
さらに、世帯主変更届以外にも、世帯主が契約者となっていた公共料金(電気・ガス・水道)、NHK、電話・インターネット、各種保険、クレジットカード、運転免許証、パスポートなど、非常に多岐にわたる名義変更や解約の手続きが必要となります。
これらの手続きは、それぞれ窓口や期限が異なるため、リストアップして計画的に進めることが重要です。
手続きが複雑で難しいと感じる場合は、各契約先の窓口や、行政書士などの専門家に相談することも検討しましょう。
それでは、世帯主変更届の詳細や、関連する諸手続きについて、その根拠となる部分を詳しく掘り下げていきましょう。
1. なぜ世帯主の死亡で特別な手続きが必要なのか?
世帯主は、住民票において、その世帯を代表する者として登録されています。
国民健康保険料(世帯主が納付義務者となる)、選挙の投票案内、行政からの各種通知など、多くの行政サービスや通知が世帯主宛に送られます。
そのため、世帯主が亡くなった場合、新しい世帯主を定め、行政が正確な世帯状況を把握し、適切なサービスを提供できるようにする必要があるのです。
2.【最重要】「世帯主変更届」:手続きの要不要と期限・窓口
法的根拠: 住民基本台帳法に基づき、世帯主に変更があった場合に届け出が義務付けられています。
届け出が必要なケース:
世帯主が亡くなり、残された世帯員が2人以上いる場合。(例:父が世帯主で、母と子が残された場合など)
この場合、残された世帯員の中から新しい世帯主を一人選んで届け出る必要があります。(通常は、生計を主に維持する人がなります)
届け出が不要なケース:
①残された世帯員が1人になる場合。(例:一人暮らしの世帯主が亡くなった場合、夫婦二人暮らしで夫が亡くなり妻だけが残った場合など)
②残された世帯員が親権者(例:母)と15歳未満の子のみの場合。
提出期限: 原則として、世帯主が亡くなった日(または変更があった日)から「14日以内」です。死亡届の提出と併せて行うとスムーズです。
提出場所: お住まいの市区町村の役所(役場)の住民課や戸籍住民担当課など。
届け出る人: 新しい世帯主、または同じ世帯の世帯員。代理人が届け出る場合は、委任状が必要になることがあります。
必要な持ち物:
- 届出人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 届出人の印鑑→認印で可の場合が多い。押印不要の自治体も
- (場合によって)国民健康保険証→世帯主変更に伴い、記号番号が変わるため
- (場合によって)委任状→代理人が届け出る場合
手続きをしないとどうなる?: 正当な理由なく期限内に届け出なかった場合、住民基本台帳法に基づき過料が科される可能性があります。
また、行政サービスが適切に受けられなくなる恐れもあります。
3. 世帯主変更に伴う主な関連手続き:やるべきことは山積み!
世帯主が亡くなった場合、世帯主変更届以外にも、以下のような多くの手続きが必要になります。
これらは故人や世帯の状況によって要否が異なります。
公共料金(電気・ガス・水道):
契約者が世帯主だった場合、名義変更または解約の手続きが必要です。そのまま使い続ける場合は、新しい世帯主などへ名義変更します。空き家になる場合は解約します。各電力会社、ガス会社、水道局へ連絡します。(検針票や領収書に連絡先が記載されています)
NHK受信料:
契約者が世帯主だった場合、名義変更または解約の手続きが必要です。NHKのふれあいセンターへ連絡します。
電話・インターネット・携帯電話:
契約者が世帯主だった場合、名義変更(承継)または解約の手続きが必要です。各通信会社へ連絡します。承継できる条件は会社によって異なります。
金融機関(銀行口座など):
故人名義の口座は凍結されます。相続手続きを進める必要があります。(以前のコラム参照)
家賃や公共料金などの引き落とし口座が故人名義だった場合は、早急に引き落とし口座の変更手続きが必要です。
クレジットカード:
故人名義のカードは解約する必要があります。カード会社へ連絡します。家族カードも原則として使えなくなります。未払いの利用分は相続人が支払う義務があります。
国民健康保険・後期高齢者医療制度:
世帯主変更届と併せて、資格喪失の手続き、保険証の返却、保険料の精算などを行います。
介護保険:
資格喪失届の提出と保険証の返却が必要です。役所の介護保険担当課へ。
年金:
年金受給権者死亡届(原則不要の場合あり)、未支給年金・遺族年金の請求など。
生命保険・損害保険:
死亡保険金の請求手続き、契約者が故人だった場合の契約者変更や解約手続きなど。各保険会社へ連絡します。
運転免許証:
警察署または運転免許センターへ返納します。(義務ではありませんが、不正利用防止のため返納が推奨されます)
パスポート:
最寄りのパスポートセンターまたは都道府県の旅券窓口へ返納します。(こちらも義務ではありません)
(賃貸住宅の場合)賃貸借契約:
契約者が世帯主だった場合、契約を引き継ぐか(同居していた相続人など)、解約するか、大家さんや管理会社と協議し、手続きを行います。
その他: 証券口座、各種会員権、サブスクリプションサービスなど、故人が契約していたものは全て確認し、必要な手続き(名義変更、解約など)を行います。
4. 手続きをスムーズに進めるためのポイント
これだけ多くの手続きがあると、混乱してしまいますよね。
スムーズに進めるためには、以下の点を意識しましょう。
①リストアップとスケジュール管理: まず、やるべき手続きをリストアップし、それぞれの窓口、期限、必要書類などを書き出して、計画的に進めましょう。チェックリストを作ると分かりやすいです。
②必要書類の事前準備: 死亡診断書(死体検案書)のコピー、故人の除籍謄本、相続人の戸籍謄本、印鑑証明書などは、多くの手続きで必要になります。複数枚取得しておくと効率的です。
③関係書類の整理: 故人の遺品の中から、契約書類、請求書、領収書、保険証券、年金手帳などを整理し、手続きに必要な情報をまとめておきましょう。
④分担する: 可能であれば、相続人間で手続きを分担して進めましょう。
⑤分からないことはすぐ確認: 各手続きの窓口(役所、金融機関、各契約先)に、不明な点は遠慮なく問い合わせましょう。
⑥専門家の活用: 手続きが複雑で難しい場合や、時間がない場合は、行政書士(役所手続き、契約解除など)、司法書士(相続登記など)、税理士(相続税)、弁護士(相続トラブル)といった専門家に相談・依頼することも有効です。
まずは、やるべき手続きをリストアップし、必要な書類を準備しながら、計画的に一つひとつ確実に進めていくことが大切です。
そして、手続きに困ったり、不安を感じたりした場合は、決して一人で抱え込まず、関係各所の窓口や、行政書士、司法書士などの専門家、あるいは私たちのような葬儀社に相談するようにしてください。
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