「火葬場が空いていない」都市部で増加する“葬儀待ち”とその影響
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
「『近親者のみの家族葬で執り行います』という連絡が来たけれど、参列しても良いのだろうか?」
「家族葬に参列する場合、服装や香典は一般の葬儀と何か違うの?」
近年主流となっている家族葬について、訃報を受けた側から、このようなご相談をいただくことが増えました。
ご遺族に失礼のないよう、また負担をかけないように振る舞うには、どうすれば良いか迷いますよね。
そこで今回は、「家族葬の訃報を受けた側の対応」をテーマに、
- 参列すべきかどうかの判断基準
- 参列する際の服装マナー
- 香典は用意すべきか?辞退された場合の対応
- お悔やみの伝え方と、当日の振る舞い
などを、分かりやすく解説していきます。
【結論】ご遺族からの直接の案内がなければ参列は控える。香典も辞退の意向を尊重するのがマナー
「家族葬」の訃報連絡を受けた際、最も大切なのは「ご遺族の意向を最優先に考え、負担にならないように配慮する」ことです。
参列すべきかどうかの判断基準は、ただ一つ。
「ご遺族から、日時や場所が明記された、明確な参列のお願いがあったかどうか」です。
電話や案内状で直接「ぜひ参列してほしい」と依頼された場合は、もちろん参列します。
しかし、亡くなった事実のみの連絡であったり、人づてに葬儀の詳細を聞いたりした場合は、参列を辞退するのが基本的なマナーです。
また、香典に関しても同様で、案内状に「香典辞退」の旨が記載されている場合は、その意向を尊重し、持参しないのが礼儀です。
良かれと思って持参することが、かえってご遺族に香典返しの手間をかけさせてしまうことになります。
1. 参列すべき?控えるべき?「家族葬」訃報の判断基準
家族葬は、ご遺族が「参列していただく方の範囲」をあらかじめ決めていることがほとんどです。
そのため、招かれていない方が弔問に訪れることは、ご遺族を困惑させてしまう可能性があります。
以下を基準に、冷静に判断しましょう。
【参列すべきケース】:
- ご遺族から直接、電話やメールで葬儀の日時・場所の連絡があり、参列を依頼された場合。
- 葬儀の日時・場所が明記された案内状(訃報)が、ご自身の名前宛に届いた場合。
これらは、ご遺族があなたを「参列してほしい大切な方」と考えている証です。都合がつく限り、参列するのが望ましいでしょう。
【参列を控えるべきケース】:
- 亡くなった事実と「家族葬で見送る」ことだけが伝えられ、日時や場所の案内がなかった場合。
- 友人・知人など、ご遺族以外の方から人づてに葬儀の詳細を聞いた場合。
- 会社の同僚など、複数人に対して一斉に訃報が回覧された場合。
これらの場合は、「静かに見送りたいので、会葬はご遠慮いただきたい」というご遺族からのメッセージと受け止め、参列は控えます。後日、弔電を送ったり、お悔やみ状を送ったりして、弔意を伝えましょう。
2. 家族葬に参列する際の服装マナー
「家族葬はアットホーム」というイメージがありますが、儀式そのものは一般の葬儀と何ら変わりありません。
したがって、服装も一般の葬儀と同様に、正式な「喪服(準喪服)」を着用するのがマナーです。
男性:
光沢のないブラックスーツに、白無地のワイシャツ、黒無地のネクタイを締めます。靴下や革靴も、黒で金具のないシンプルなものを選びます。
女性:
黒無地のワンピース、アンサンブル、スーツを着用します。ストッキングやパンプス、バッグも全て黒で統一し、光沢のある素材や華美な装飾は避けます。アクセサリーは結婚指輪と、一連のパールネックレス程度に留めます。
子供:
学校の制服があれば、それが正装となります。なければ、黒・紺・グレーなどの地味な色の服を選びます。
3. 香典は用意する?「香典辞退」と言われたら
家族葬では、ご遺族の負担を軽減するため、香典を辞退されるケースが非常に多く見られます。
【香典辞退の申し出があった場合】:
訃報の連絡や案内状に「誠に勝手ながら御香典の儀は固くご辞退申し上げます」といった一文があれば、その意向に従い、香典は持参しないのが鉄則です。
「どうしても気持ちを伝えたい」という場合でも、無理にお渡しするのは避けましょう。後日、お線香や供花を送る、あるいは弔問に伺うなど、別の形で気持ちを伝える方法を検討します。
【香典辞退の申し出がなかった場合】:
特に辞退の旨が書かれていなければ、一般の葬儀と同様に香典を用意します。
金額の相場は、故人様との関係性によって異なりますが、友人・知人の場合は5,000円~10,000円が目安です。
表書きは、仏式の多くの宗派で「御霊前」とします。(※浄土真宗の場合は「御仏前」)
4. 当日の振る舞いとお悔やみの伝え方
家族葬は規模が小さいため、受付が設けられていないこともあります。
お悔やみの言葉:
受付がない場合は、喪主やご遺族に直接、お悔やみの言葉を伝えます。
その際は、「この度はご愁傷様です」「心よりお悔やみ申し上げます」といった手短な言葉に留め、長々と話しかけて負担をかけないよう配慮しましょう。
式の進行と作法:
式の内容は、無宗教形式であったり、仏式、キリスト教式など様々です。
仏式の場合、焼香の作法などが宗派によって異なりますが、前の人のやり方にならって行えば問題ありません。分からなければ、葬儀社のスタッフや僧侶に尋ねても失礼にはあたりません。
最も大切なのは、故人を偲び、静かに見送る気持ちです。
形式にこだわりすぎず、ご遺族の気持ちに寄り添うことを第一に考えましょう。
【まとめ】家族葬の訃報は「遺族の意向」がすべて。思いやりをもった対応を
家族葬に参列するかどうか迷ったときは、「自分がどうしたいか」ではなく、「ご遺族がどうしてほしいか」を基準に考えることが、最も大切なマナーです。
では、本日のポイントをまとめます。
- 家族葬への参列は、”ご遺族から直接、日時・場所の案内と依頼があった場合”のみ。
- 人づてに聞いたり、訃報のみの連絡だったりした場合は、参列を控えるのがマナー。
- 服装は一般の葬儀と同じく、正式な喪服を着用する。
- 「香典辞退」の申し出があったら、必ずその意向を尊重し、香典は持参しない。
- お悔やみは手短に伝え、故人を静かに偲ぶ気持ちで、ご遺族に寄り添う。
故人を失ったご遺族は、深い悲しみの中にいます。
その心労を少しでも軽くできるよう、周囲の人々が思いやりをもって行動することが、何よりの弔いとなるでしょう。
株式会社大阪セレモニー



