「予想以上に高額すぎる香典…香典返しはどうすれば?今後の付き合いは?」

山田泰平

山田泰平

テーマ:葬儀の知識

皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニ代表の山田泰平です。

お葬式の際にいただくお香典。故人様への弔意と、ご遺族への支援の気持ちが込められた、大変ありがたいものです。

通常は、故人様との関係性や地域の相場に応じた金額が包まれることが多いですが、時には、「えっ、こんなにたくさん…?」と、予想をはるかに超える高額な香典をいただき、その対応に戸惑い、悩んでしまうご遺族もいらっしゃいます。

特に、故人の会社関係の方(社長や役員など)から、あるいは親しい友人や親族から、特別な思いを込めて高額な香典をいただくケースは、決して珍しいことではありません。

そのお気持ちは大変ありがたいものの、どのように感謝の意を示し、どうお返しをすれば良いのか、そして今後の関係性にどう影響するのか、というのは非常にデリケートな問題ですよね。


そこで今回は、この「高額な香典をいただいた場合の対応」という、ケースバイケースの判断が求められる状況について、

  • なぜ高額な香典を包むのか?(相手の心理・背景)
  • まず受け取る際の基本的なマナー
  • 香典返しの金額と品物の選び方(半返しにこだわらない配慮)
  • お礼状で伝えるべき感謝の気持ち
  • 今後の付き合い方で気をつけるべきこと
  • 葬儀社として見聞きする事例と、そこから見える大切なこと

などを、私たち葬儀社が日々の現場で見聞きする実情や、長年の経験から感じる独自の視点も交えながら、具体的に解説していきます。

【結論】高額な香典は深い弔意の表れ。感謝と共に状況に応じた香典返しを、今後の関係性も考慮し誠実に対応

故人様やご遺族に対して、一般的な相場を超える高額な香典をいただいた場合、それは多くの場合、故人への深い敬意や感謝、あるいは残されたご遺族への強い支援の気持ちの表れです。

まずは、その深いお心遣いに対して、心からの感謝の気持ちを持って受け止めることが最も大切です。

その上で、香典返しの対応としては、


①一般的な「半返し」や「3分の1返し」のルールに厳密にこだわる必要はありません。


②まずは、いただいた金額に見合う、質の良い品物(例えば1万円~2万円程度のカタログギフトやお茶、海苔など)を、通常の香典返しとして忌明けなどにお送りし、丁重なお礼状を添えます。


③その上で、それだけではお返しとして不十分だと感じる場合や、相手との関係性を考慮して、後日改めて、別の形でお礼の気持ちを示すことを検討するのが、より丁寧で心のこもった対応と言えるでしょう。例えば、お中元やお歳暮の際に特別な品を贈る、相手の慶事の際に少し手厚くお祝いをする、あるいは食事に招待するなどです。


④どうしても金額が大きすぎると感じ、一部をお返ししたい(辞退したい)と考える場合は、相手の気持ちを傷つけないよう、最大限の配慮と丁寧な言葉遣いで、その旨を伝える必要がありますが、これは非常に難しい対応であり、慎重な判断が求められます。


最も重要なのは、金額の多寡よりも、相手の弔意を真摯に受け止め、感謝の気持ちを誠実に伝え続けることです。

そして、その後の人間関係においても、過度に卑屈になったり、逆に特別な便宜を図ろうとしたりするのではなく、自然体で、しかし感謝の念を忘れずに接していくことが望ましいでしょう。

1. なぜ高額な香典を包むのか? 相手の心理・背景を考える

高額な香典には、様々な理由や背景が考えられます。


故人への深い恩義・感謝:生前、故人に大変お世話になった、特別な支援を受けた、など、言葉では言い尽くせない感謝の気持ちの表れ。


遺族への経済的支援の強い意志:残された家族の今後の生活を心から心配し、少しでも助けになりたいという強い想い。


社会的立場・関係性からの配慮:会社の社長や役員、地域の有力者などが、その立場として相応の弔意を示そうとする場合。


故人との特別な絆:親友、師弟関係など、他とは比較できない深い精神的な繋がり。


「このくらいは包むべき」という独自の価値観や、家の慣習。


(稀なケースとして)過去に自分たちが同等以上の香典をいただいたため、それに見合う形でお返ししたいという気持ち。


これらの背景を少しでも想像することで、相手の深いお気持ちを理解し、より適切な対応を考えるヒントになります。

2. まず受け取る際の基本的なマナー:丁重な感謝を

受付で、あるいは直接、高額と思われる香典を差し出された場合、

①驚いたとしても、その場で金額について言及したり、過度に恐縮したりするのは控えめに。

②「お心遣い、誠に恐れ入ります」「ご鄭重(ていちょう)なお心遣い、痛み入ります」など、まずは丁重に感謝の言葉を述べ、両手で受け取ります。

③その場で中身を確認するのはマナー違反です。

3. 香典返しの金額と品物の選び方:半返しにこだわらない配慮


①基本は通常の香典返し:まずは、他の香典をいただいた方と同様に、忌明け(四十九日後)などに、いただいた金額の3分の1~半額程度の香典返し(品物)とお礼状をお送りするのが基本です。


②半返しにこだわらない:しかし、例えば30万円の香典に対して15万円の品物を返す、というのは、かえって相手に気を遣わせてしまう可能性があります。また、そこまでの高額な返礼品を選ぶのも難しいでしょう。


一般的な香典返しの品(1万円~2万円程度)+αの配慮

・まずは、通常の範囲で質の良い品物(例えば、上質なカタログギフト、高級なお茶や海苔の詰め合わせ、上質なタオルセットなど)を選び、香典返しとして送ります。

・その上で、それだけでは気持ちが収まらない、あるいは相手との関係性を考えると不十分だと感じる場合は、後日、別の形でお礼の気持ちを示すことを検討します。


④品物選びのポイント:相手の好みや年齢、家族構成などを考慮し、本当に喜んでもらえるもの、使ってもらえるものを選びましょう。カタログギフトは、相手に選んでもらえるという点で無難な選択肢の一つです。

4. お礼状で伝えるべき、より深い感謝の気持ち

高額な香典をいただいた場合のお礼状は、通常の定型文に加えて、より一層心のこもった、丁寧な感謝の言葉を添えることが大切です。


具体的な感謝の言葉:「この度は、亡き〇〇の葬儀に際しまして、ご丁重なるご厚志を賜り、一同、言葉に尽くせないほど感謝しております。故人もさぞかし喜んでいることと存じます。」


故人との思い出に触れる(相手との関係性が分かる場合):「生前、〇〇様には格別のご厚情を賜り、故人も常々感謝申し上げておりました。」


今後のご挨拶の言葉:「いずれ改めてご挨拶にお伺いさせていただきたく存じますが、まずは書中にて失礼ながら御礼申し上げます。」


手書きで一筆添えるだけでも、感謝の気持ちはより深く伝わります。

5. 後日改めて行う「感謝のしるし」の具体例

香典返しだけでは不十分と感じる場合の、後日の対応例です。

  • お中元・お歳暮:通常よりも少し手厚い品物を選んで贈る。
  • 相手の慶事(お祝い事):お祝いの品を少し奮発する。
  • 食事への招待:落ち着いた頃に、改めてお礼の気持ちを込めて、食事の席を設ける。
  • 故人の好きだったものや、相手の好みに合わせた品物を別途贈る。

これらの対応は、相手との関係性や、ご自身の状況を考慮しながら、無理のない範囲で行うことが大切です。

「何かお返しをしなければ」と義務感に駆られるのではなく、純粋な感謝の気持ちから行動することが重要です。

6. 多すぎる香典を一部辞退したい場合の、非常にデリケートな対応

どうしても金額が大きすぎると感じ、全てを受け取るのが心苦しい場合、一部を辞退するという選択肢も理論上はありますが、これは相手の深いお気持ちを無にする可能性のある、極めて慎重な対応が求められます。


伝える言葉の例:
「この度は、誠に過分なお心遣いをいただき、恐縮至極に存じます。故人も大変喜んでいることと存じますが、あまりにも多額でございますので、誠に恐縮ながら、お気持ちだけ頂戴し、一部はご辞退させていただけないでしょうか。何卒お汲み取りいただけますと幸いです。」


タイミング:
葬儀後、できるだけ早い段階で、直接または電話で、丁重にお伝えするのが良いでしょう。


リスク:
相手が「自分の気持ちを受け取ってもらえなかった」と不快に感じたり、関係性が悪化したりするリスクも伴います。


葬儀社の視点から:
私たち葬儀社としては、このようなケースでは、基本的にはありがたく頂戴し、香典返しやその後の対応で感謝の気持ちを十分に伝えることをお勧めする場合が多いです。一部辞退は、よほど特別な事情や、相手との深い信頼関係がない限り、慎重に検討すべきでしょう。

7. 今後の付き合い方で気をつけるべきこと

高額な香典をいただいたからといって、その後の相手との付き合い方を変に意識しすぎたり、卑屈になったりする必要はありません。

感謝の気持ちは忘れずに:
折に触れて、葬儀の際のお礼の気持ちを伝えるのは良いことです。

自然体で接する:
過度にへりくだったり、逆に馴れ馴れしくなったりせず、これまで通りの自然な関係性を保つよう努めましょう。

相手に過度な見返りを期待させない:
こちらも、相手からの今後の支援などを過度に期待するような態度は慎むべきです。


大切なのは、相手の温かいお気持ちに感謝し、そのご縁を大切にしていくことです。

【まとめ】高額な香典は深い弔意の証。感謝を伝え、誠実な対応を続けることが大切

故人様への深い想いや、残されたご遺族への温かい支援の気持ちが込められた高額な香典。そのお気持ちをどう受け止め、どう応えるかは、ご遺族にとって悩ましい問題かもしれません。

葬儀という非日常の場面では、時に常識とされる範囲を超えるお心遣いをいただくこともあります。

それは、故人様が生前に築いてこられた人間関係の豊かさの表れなのかもしれませんね。

では、本日のポイントをまとめます。

  • 高額な香典は、まずその深い弔意に心から感謝して受け止める。
  • 香典返しは、一般的な「半返し」にこだわらず、まずは質の良い品物とお礼状を送る。
  • それだけでは不十分と感じる場合は、後日改めて別の形でお礼の気持ちを示すことを検討する。
  • 一部辞退は非常にデリケートな対応。慎重な判断が必要。
  • 今後の付き合いは、感謝の念を忘れず、自然体を心がける。

最も重要なのは、相手の温かいお気持ちを真摯に受け止め、誠実に対応し続けること。

金額の多寡に振り回されることなく、その背景にある相手の深いお気持ちを汲み取り、感謝の心を伝えることができれば、きっとその想いは相手にも届き、今後の良好な関係へと繋がっていくはずです。

株式会社大阪セレモニー

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山田泰平
専門家

山田泰平(葬儀)

株式会社大阪セレモニー

当社は家族葬を専門に、これまで1000件以上の葬儀をお手伝いさせて頂きました。少人数だからこそ実現できるきめ細やかなサービスと、ご遺族様の想いに寄り添った丁寧な対応を心がけています。

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