社風を変える必要があるのか?
Q:先日、従業員から退職の申し出がありました。
引継ぎもあり、退職日の相談をしたところ、「有休が40日に残っています。
〇〇日で退職したいので、有休消化したいので、1週間後が最終出勤日です。」と言われました。
就業規則には退職日の1か月前に退職届を提出すると定めています。
本人が言うには、「退職日の1か月以上前です。有休なので在籍しています。」です。
引継ぎもありますので、1週間後で出勤が終わると業務に支障をきたします。
何か良い方法はないのでしょうか。
A:年次有給休暇の残日数の消化を、会社は年次有給休暇の取得を拒否することはできません。
業務の引継ぎにも支障がないのであれば、会社は退職予定者の希望どおり、年次有給休暇を取得させます。
しかし、今回の場合は明らかに引継ぎに支障が生じる可能性があります。
会社としては、次のような対応を検討してはいかがでしょうか。
1.退職日を後ろにずらして、引継ぎ完了後に年次有給休暇を取得するよう交渉する。
会社は年次有給休暇の時季変更権を行使して取得時季を変更できます。
これは労働基準法で認められている。
(ただし、退職日を越えて時季変更権を行使することはできません)
引継ぎに支障があり事業の正常な運営を妨げていることを理由にできます。
2.従業員が年次有給休暇の権利を行使せずに退職日まで勤務します。
結果として消滅してしまう年次有給休暇を退職時に買い上げる。
年次有給休暇の買上げの可否
労働基準法では年次有給休暇を事前に買い上げることは認められていません。
行政解釈でも以下の場合は労働基準法違反とされています(昭和30年11月30日基収4718号)。
年次有給休暇の買上げの予約をする代わりに、請求できる年次有給休暇の日数を減らす。
請求された日数を与えない。
しかし、消滅してしまった有給休暇までを買上げることは禁止されていないのです。
今回のケースを考えると、退職の申し出を3か月前など前倒しするのも方法ではないでしょうか。