離婚事件簿その10~未成年子との面会交流調停(中編)
「夫が浮気をしている」「妻が浮気をしている」というご相談、私のところにもよくこられます。
ところが、的確な証拠がない案件も結構多いのが実情です。
勝負は的確な証拠が入手できるかどうかです。
では、どのような証拠があれば、浮気を証明できるのでしょうか。
最近、私が手がけた事件では、以下のようなものが証拠として残されていました。
① メールやSNSでのやりとり
最近の事案で多いのは、メールや、LINEなどのSNSでのやりとりです。
気軽さからか、肉体関係をうかがわせるようなやりとりがなされることが往々にしてあります。
ただ、証拠として利用するためには「そのようなやりとり(画面)を見た」というだけではなく、他の端末に転送するなどしてデータを取り出して保存したり、写真に撮るなどして、後で立証可能なものにしておく必要があります。
② GPS端末から分かったラブホテルの利用
自家用車にGPS端末を取り付けたところ、頻繁にラブホテルを利用していることが発覚するケースもあります。これだけでも離婚事件では十分な証拠になり得ますが、他方で浮気相手を特定できないという難点もあります。
③ 探偵事務所による調査
配偶者が頻繁に浮気相手と密会している場合には、非常に効果的な証拠になりえます。
費用がかかるのが難点ですが、以前と比べて良心的な価格で調査をする業者もあるようです。
④ 浮気の自白
夫婦間の会話では、配偶者が浮気を認めることは、さほど珍しいことではありません。
ただし、一旦、浮気をしたことを認めたにもかかわらず、裁判でそれを翻すことも多く、むしろ、それが普通だと考えて備えておく必要があります。
最も効果的なのは、配偶者の浮気を認める発言を録音しておくことです。
最近は、高性能のICレコーダーが安価で販売されていますし、携帯電話にも録音機能がついていますので、比較的容易に証拠化することが可能です。
配偶者が浮気を認める書面に署名をした「自認書」も有力な証拠になりえますが、署名を拒む場合が多く、また、仮に署名をしたとしても、後になって「脅迫された」などという反論がなされることもありますので、やはり録音と併用すべきでしょう。
⑤ その他付随証拠(間接的な証拠)
2名分のシティーホテルの領収証、頻繁なデートをうかがわせるカードの利用明細なども、付随的な証拠となる場合があります。
また、帰りが遅い日が続いたり、嘘をついて仕事に行っていたことなどの事情も、こまめに日記をつけておくことによって、付随的な事情として立証することが可能になることもあります。
ただ、これらは、あくまで付随的な事情を立証する証拠であって、それだけで浮気が立証できるものではありませんので、この点ご注意ください。
弁護士 上 将倫