「販売なくして事業なし」の本当の意味―30年間読み続ける経営の座右の書
今週から、診療所経営に関する重要動向を毎週お届けする「MASパートナーズ 診療所経営ウィークリーレポート」を開始いたします。
診療報酬、医療行政、施設基準、人事労務、社会保険、事業承継など、診療所経営に関係する制度や環境は絶えず変化しています。
しかし、日々の診療やスタッフ対応を担う院長先生が、すべての行政資料や通知を確認し、自院への影響まで判断することは容易ではありません。
本レポートでは、直近1週間に公表・更新された情報の中から、診療所経営への影響が大きいものを厳選し、
「何が変わったのか」「自院にどのような影響があるのか」「今、何を確認すべきか」という実務的な視点で、分かりやすくお伝えします。
院長先生や事務長の皆様が、重要な変化を見逃さず、早めに対応するための情報源としてご活用いただければ幸いです。
それでは、今週の重要トピックをご紹介します。
<今週の診療所経営の動向>
今週は、診療報酬点数そのものの改定通知よりも、次期制度改正につながる調査・審議と労務管理に重要な動きがありました。
1.診療所を含む「経営状況臨時調査」が開始
令和8年度診療報酬改定後の収支・費用構造を把握する調査です。抽出された約12,000施設が対象で、提出期限は2026年11月10日です。
2.OTC類似薬の保険給付見直しが医療保険部会の議題に
まだ決定事項ではありませんが、処方構成や患者説明、慢性疾患管理に影響し得るため、今後の資料・議事録を継続確認すべきテーマです。
3.短時間勤務の「正規型労働者」に関する社会保険資格を明確化
厚生労働省は9月14日、個人事業主・フリーランス等を極端に短い勤務時間で雇用し、健康保険・厚生年金へ加入させる事例について通知を発出
しました。
1.医療機関等の経営状況に係る臨時調査
■何が変わったか
厚生労働省は9月14日、一般診療所・歯科診療所・病院・保険薬局を対象に、令和8年度診療報酬改定後の経営状況を確認する
臨時調査を開始しました。対象は層化無作為抽出された約12,000施設で、回答期限は11月10日(火)です。
(厚生労働省「令和8年度医療機関等の経営状況に係る臨時調査」)
■診療所経営への影響
今回の結果は、物価・人件費上昇や令和8年度改定後の収益状況を検証する基礎資料となり、
今後の診療報酬論議にも用いられる可能性があります。
■コンサルタントからの助言
・調査票が届いていないか確認する
・対象の場合は、直近決算書、給与台帳、診療収入、材料費・委託費等を早めに準備する
・実態を正確に伝えるため、回答漏れや概算回答を避ける
・不審な依頼と混同しないよう、厚労省公式ページと送付元を照合する
2.OTC類似薬の保険給付見直しが具体的な検討テーマに
■何が変わったか
9月16日の第216回社会保障審議会医療保険部会で、「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施」が議題となりました。
現時点では審議段階であり、対象薬、患者負担、実施時期などが確定したわけではありません。
■診療所経営への影響
内科、皮膚科、耳鼻咽喉科、小児科などでは、処方頻度の高い医薬品が対象となれば、
患者負担の説明や処方方針、院外処方箋枚数に影響する可能性があります。
■コンサルタントからの助言
・現段階で患者に「保険から外れる」と断定しない
・自院の処方上位薬のうち、市販品と成分・効能が近い薬を把握しておく
・制度確定後に備え、患者説明文や院内FAQを作成できるよう情報収集をしておく
3.極端に短時間勤務の「正規型労働者」に関する社会保険資格を明確化
■何が変わったか
厚生労働省は9月14日、個人事業主・フリーランス等を極端に短い勤務時間で雇用し、
健康保険・厚生年金へ加入させる事例について通知を発出しました。
契約名称だけではなく、労働日数、労働時間、勤務内容、報酬、会費等の徴収を
総合的に見て、常用的使用関係を判断します。
特に、報酬を上回る会費等を本人に負担させている場合や、経常的な労務提供と認められない場合は、
原則として被保険者資格を認めない取扱いです。
■診療所経営への影響
通常の短時間正社員を否定する通知ではありません。一方、非常勤医師や外部事業者を形式的に雇用し、
社会保険へ加入させているケースは確認対象となり得ます。
■コンサルタントからの助言
・非常勤医師、顧問、業務委託者の契約と実際の勤務状況を照合する
・雇用契約と業務委託契約を同一人物について混在させる場合は整理する
・勤務実績、指揮命令、給与支払、業務内容を記録する
・医療法人役員やMS法人との兼務は、年金事務所・社労士と個別確認する
以上、今週の診療所経営に関する重要トピックをお届けしました。
制度改正や行政動向は、情報を知るだけでなく、自院の経営や人事労務にどのような影響があるのかを見極め、早めに対応することが重要です。
弊社クライアントの皆様で、今回の内容について自院への影響や具体的な対応を確認されたい場合は、個別にご相談ください。
現在、弊社とコンサルティング契約のない読者の皆様からのご相談については、相談会員制度または有料の個別相談にて承っております。ご希望の方には、相談内容を確認のうえ、対応方法や費用をご案内いたします。
次回も、院長先生が押さえておきたい重要動向を、診療所経営の実務に役立つ視点でお届けします。


