医療法人から理事長、理事への貸付金の取り扱いvol.96

原聡彦

原聡彦

テーマ:医療経営の処方箋

今回は経営相談事例<医療法人から理事長、理事への貸付金の取り扱い>をお伝えします。

【相談事例】
現在、貸借対照表における貸付金が約8000万円あり、そのほとんどが理事長に対する貸付という状況です。使途については不明なのですが、毎月一定額を返済し、決算時には利息の支払もしています。何か問題はあるでしょうか。
【解  答】
1.医療法人の「目的」に合致しない貸付金は、理事長個人への利益供与(医療法第54条「剰余金の配当禁止」に該当)とみなされます。

2.看護師等スタッフの教育費の貸付の場合は、医療資格者の確保及び育成ということで、医療法人の運営上想定される行為と解されています。

3.医療法第54条違反については、医療法第76条に罰則が定められています。
【ポイント】
現に使途不明の理事長への貸付金がある場合の対応については下記のとおりです。

1.個人に資金がある場合は、全額を一時に返還する。

2.個人に資金がない場合は、「返済計画書」を作成し、決算届に添付して提出する。

3.理事長の役員報酬と相殺という方法でもよい。

4.貸付金の額が異常に高額な場合には、「改善計画書(始末書)」の提出を求められることもあります。

5.都道府県庁の指導に相当の理由なく従わない場合には、罰則の適用もありえます。

以上です。医療法人の理事長は、決算書を会計事務所任せにしないで、必ず貸借対照表を確認し、貸
付金がないかどうか確認頂くことをお勧めいたします。

最後までお読み頂きありがとうございました。感謝!

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原聡彦
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原聡彦(医業経営コンサルタント)

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院外事務長(事務長代行)、院長夫人コーチング、医療法人運営サポート、医院開業支援など、院長先生の経営のブレーンとして財務と人事の面から健全経営を継続できる環境づくりをサポートいたします。

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