かかとの痛みの原因|歩くと痛い踵は「クッション不足」と「着地」

東角剛司

東角剛司

テーマ:身体の痛み・不調

みなさん、こんにちは。

こころ鍼灸整骨院の東角です。

「朝、一歩目を踏み出したときにかかとの真ん中にズキッと痛みが走る。」

「フローリングの上を素足で歩くと、かかとが硬いものに当たるような違和感がある。」

「立ち仕事が続くと、かかとの奥の方がジンジンとうずいて熱を持ってくる。」

そんな、足の裏のしつこい痛み、「かかとの痛み(踵骨脂肪体炎)」や足底筋膜炎に悩まされていませんか?

足の裏の痛みというと「足底筋膜炎(そくていきんまくえん)」と診断されることが多いですが、もし痛みがかかとの真ん中やその周辺に集中しているなら、原因は筋膜ではありません。

あなたのかかとを衝撃から守っている「天然のクッション」が物理的に薄くなり、機能不全を起こしている可能性が非常に高いのです。

かかとの痛みはクッション材である脂肪体が薄くなり、骨が地面からの衝撃を直接受けてしまうことで発生します。

その背景には、加齢や酷使による「脂肪体の萎縮(いしゅく)」と、かかとからドスンと降りる「着地衝撃」という、明確な物理的要因が隠れています。

今回は、インソールを買いに走る前に知っておくべき、かかとが痛くなる生理学的なメカニズムについて解説します。

特に見過ごされがちな【ファットパッド症候群】【フローリング生活の影響】に焦点を当て、痛みなく地面を踏みしめるための知識を、みなさんと一緒に詳しく見ていきましょう。

なぜ、かかとの奥で「骨が当たる」感覚がするのか?


まず、かかとの裏側にある特殊な構造について理解しましょう。

人間のかかとの骨(踵骨)のすぐ下には、「踵部脂肪体(しょうぶしぼうたい)」と呼ばれる、ハチの巣のような構造をした脂肪の塊があります。

これは、歩行や走行の際に体重の数倍かかる衝撃を吸収するための、極めて優秀な「天然のクッション材」です。

正常な状態であれば、この厚みのある脂肪体が衝撃を分散してくれるため、骨に痛みが走ることはありません。

しかし、何らかの理由でこの脂肪体が外側に逃げてしまったり、厚みが減ってスカスカになったりするとどうなるでしょうか。

脂肪体のクッション性が失われると、歩くたびに骨が地面を直接叩くような形になり、骨の表面にある神経が豊富な膜(骨膜)を刺激してしまうのです。

これが「ファットパッド症候群(脂肪体炎)」の正体です。

つまり、かかとの痛みは炎症というよりも、衝撃を逃がせなくなった「クッション材の寿命」によるエラーと言えるのです。

クッションを潰してしまう、2つの物理的要因


では、なぜ天然のクッションは機能しなくなってしまったのでしょうか?

そこには、足裏を支える組織の緩みと、家の中での過ごし方が深く関わっています。

クッションが逃げ出す「足底筋膜の緩み」


これが、かかとの痛みを引き起こす主要な物理的要因の一つです。

かかとの脂肪体は、周囲の線維組織によって「かかとの真下」に留まるように束ねられています。

しかし、偏平足が進行したり、足裏の筋膜が過度に引き伸ばされたりすると、脂肪体を包んでいるカゴが緩んでしまいます。

脂肪体を束ねる力が弱まると、体重をかけた瞬間にクッションが左右へ逃げてしまい、かかと中央の厚みが消失します。

これを「脂肪体の偏位(へんい)」と呼びます。

たとえ脂肪の量が多くても、肝心な場所(かかとの真下)からズレてしまっていれば、骨を守ることはできないのです。

骨を打ち付ける「フローリングと素足生活」


もう一つの要因は、現代の住環境によるダメージの蓄積です。

日本の住宅の多くは硬いフローリングですが、家の中で素足や薄い靴下だけで過ごしていませんか?

人間は本来、土や芝生などの柔らかい地面を歩くように進化してきました。

クッションが摩耗した状態で硬い床の上を歩き続けることは、一歩ごとに金槌でかかとの骨を叩いているのと同じストレスを与えます。

特に、後ろに重心が乗りすぎている「かかと重心」の人は、着地のたびに脂肪体を強く押し潰してしまい、炎症を慢性化させる大きな原因となります。

衝撃を逃がし、組織を守る!かかとケアの「知識」


かかとの痛みを改善するには、物理的にクッションを補強し、脂肪体を正しい位置に集める環境作りが必要不可欠です。

かかとを包み込む「テーピングのカップ法」


逃げ出したクッションを中央に呼び戻すための物理的な知恵。

特別な医療用テープを使って、かかとの肉を外側から中央にギュッと寄せるように貼ります。

脂肪体を手で寄せてかかとの厚みを作ることで、骨と地面の間に即席のバリアを作ることができます。

これだけで、立ち上がった瞬間の痛みがその場で半減することも珍しくありません。

「肉を集めて固定する」という知識があれば、痛みを大幅にコントロールできるようになります。

室内でも「厚底のスリッパ」を履く


床からの衝撃を遮断するための環境設定。

かかとに痛みがある間は、家の中でも絶対に素足で歩いてはいけません。

かかと部分に2cm以上の厚みと弾力があるルームシューズやスリッパを履くことで、脂肪体の役割を道具に代行させます。

地面からの突き上げを外側でカットできれば、傷ついた脂肪体の炎症は自然と引いていきます。

「家こそ、靴を履く場所」という意識の転換が、回復を劇的に早めてくれます。

重心を前に移す「母趾球(ぼしきゅう)着地」の意識


骨への負担を減らす歩行の知識。

かかとからドスンと着地するのをやめ、足の親指の付け根付近で衝撃を逃がすように意識しましょう。

重心をほんの数ミリ前方に移すだけで、かかとの骨への直接的な衝撃は大幅に軽減されます。

足首を柔らかく使い、膝を軽く曲げて歩くことで、全身の関節をバネとして活用できるようになり、かかとへの負荷が分散されます。

まとめ:かかとの痛みは「衝撃オーバー」のサイン。外から補おう


さて、今回は「かかとの痛みの原因|歩くと痛い踵は『クッション不足』と『着地』」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?

朝の一歩目の激痛が、単なる疲れではなく、クッション材の減少と、硬い床での衝撃による物理的なトラブルであることを、ご理解いただけたかと思います。

その痛みは、あなたのかかとが「もう直接ぶつかるのは限界だよ!」「外から守って!」と訴えているサインなのです。

では、今日のポイントをまとめます。

  • かかとの真ん中の痛みは、踵部脂肪体というクッション材が薄くなったり炎症を起こしたりする「ファットパッド症候群」であることが多い。
  • 加齢や偏平足は、脂肪体を中央から逃がしてしまい、かかとの防御力を著しく低下させる。
  • 硬いフローリングでの素足生活やかかと重心の歩き方は、骨膜に直接的なダメージを与え続ける。
  • 対策として、テーピングで肉を寄せて厚みを作ること、室内でもクッション性の高いスリッパを履くことが、痛みを引かせるための必須条件となる。


足の裏は、全身の体重を一身に引き受ける働き者です。

「痛いな」と思ったら、我慢して歩き続けず、まずは足元を柔らかく保護してあげてください。

衝撃を和らげる工夫をすれば、脂肪体は再び組織としての落ち着きを取り戻し、またどこまでも歩いていける足へと戻っていくはずです。

こころ鍼灸整骨院

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

東角剛司
専門家

東角剛司(柔道整復師・はり師・きゅう師)

こころ鍼灸整骨院

構造医学の視点から、個々の体の動かし方に合わせて骨格を整えます。肩や腰などの慢性的な痛みに向き合い、整骨院に通わずに済む健康な体づくりをサポート。実務者向けのセミナーも開催しています。

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

“整骨院いらず”を目指す身体の専門家

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ大阪
  3. 大阪の医療・病院
  4. 大阪の整骨院・接骨院
  5. 東角剛司
  6. コラム一覧
  7. かかとの痛みの原因|歩くと痛い踵は「クッション不足」と「着地」

東角剛司プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼