高齢者の転倒予防!構造医学で「寝たきり」を防ぐ
みなさん、こんにちは。
こころ鍼灸整骨院の東角です。
「ご飯を食べると、すぐに下っ腹だけがポッコリと出てしまう。」
「いくら腹筋をしてもお腹が凹まず、食後に胃もたれを感じやすい。」
「痩せているのに、お腹だけが出ている幼児体型がコンプレックスだ。」
そんな、スタイルと消化機能の両方に影響する悩み、「胃下垂(いかすい)」に悩まされていませんか?
「体質だから太るしかない」「腹筋が弱いからだ」と考えて、無理な食事制限や激しい筋トレをしている方も多いかもしれません。
しかし、胃下垂は単なる痩せ型体質の名称ではありません。
本来あるべき場所から胃が落下しているということは、胃を支えるための「ハンモック」が機能していないという構造上の問題なのです。
もしあなたが腹筋運動を頑張っているなら、それは腹圧の使い方を間違えて、逆に胃を下へ押し下げている可能性があります。
その背景には、胃を上から押しつぶす「肋骨(ろっこつ)の狭さ」と、下で受け止めきれない「骨盤の開き」という、明確な物理的要因が隠れています。
今回は、腹筋で解決しようとする前に知っておくべき、胃が下がってしまう生理学的なメカニズムについて解説します。
特に見過ごされがちな【肋骨角(ろっこつかく)の鋭角化】と【骨盤底の緩み】に焦点を当て、内臓を定位置に戻すための知識を、みなさんと一緒に詳しく見ていきましょう。
なぜ、胃は重力に負けて落ちてしまうのか?
まず、胃が本来どこにあるべきかを確認しましょう。
健康な状態の胃は、みぞおちのすぐ下、肋骨の中に半分隠れるような高い位置にあります。
胃は、筋肉や靭帯、そしてお腹の中の圧力(腹圧)によって、この高い位置に吊り上げられています。
胃下垂とは、この吊り上げる力が弱まり、胃全体が縦に伸びて骨盤の中まで垂れ下がってしまった状態です。
胃が下がると、腸を圧迫して便秘になったり、胃の動きが悪くなって消化不良を起こしたりします。
食べた直後にお腹が出るのは、脂肪がついたからではありません。
単純に、食べたものの重みで胃がブランコのように下がり、物理的に下腹部を押し広げているだけなのです。
つまり、胃下垂は脂肪の問題ではなく、「内臓を支える棚が壊れている状態」と言えるのです。
胃を落下させる、2つの物理的要因
では、なぜ胃を支える棚が壊れてしまったのでしょうか?
そこには、容器である胴体の形と、底板である骨盤の状態が深く関わっています。
上から押し下げる「肋骨の狭まり」
これが、胃下垂の方に共通して見られる、最大の特徴的な骨格です。
みぞおちに手を当てて、左右の肋骨の角度(肋骨角)を確認してみてください。
胃下垂の方の多くは、この角度が非常に狭く、鋭角になっています。
猫背で背中が丸まると、肋骨は閉じて下がります。
肋骨という鳥かごが狭くなると、その中に収まっていた胃は居場所をなくし、下へ下へと押し出されてしまいます。
まるで、チューブ入り歯磨き粉を上からギュッと握った時のように、中身(胃)が下方向へ絞り出されているのです。
この状態でいくら腹筋をして表面を固めても、上からの圧力が消えない限り、胃が元の位置に戻ることはありません。
底が抜けている「骨盤の開き」
もう一つの要因は、落ちてきた胃を受け止める土台の問題です。
通常、骨盤は底がキュッと締まっており、内臓がそれ以上落ちないように支えています。
しかし、運動不足や姿勢の悪さでインナーマッスルが弱ると、骨盤が開き、器としての底が浅く広くなってしまいます。
受け皿である骨盤が開いていると、上から落ちてきた胃がそのまま骨盤の底まで入り込み、下っ腹をポッコリと突き出してしまいます。
特に、座っている時に膝が開いてしまう方は、骨盤も連動して開いているため、内臓が落下しやすい環境を作ってしまっているのです。
内臓を引き上げる!定位置に戻す「生活の知恵」
胃下垂を改善するには、肋骨を広げて胃のスペースを確保し、重力を利用して内臓を物理的に引き上げることが必要不可欠です。
スペースを作る「バンザイ深呼吸」
狭くなった肋骨を広げ、胃を収納する部屋を作るための知識です。
猫背で縮こまった肋骨を、呼吸の力で内側から押し広げます。
足を肩幅に開いて立ち、両手を思い切り上げてバンザイをします。
その状態で、鼻から大きく息を吸い込み、胸と肋骨を最大限に膨らませます。
みぞおちが縦に伸びるのを感じながら、ゆっくりと息を吐きます。
これを食前に行うことで、胃が入るためのスペースが確保され、食後の圧迫感が軽減されます。
重力を逆転させる「骨盤高位(こつばんこうい)」
物理的に胃を元の位置に戻すケアの知識です。
重力で落ちたものは、重力を使って戻すのが一番早いです。
仰向けに寝て、膝を立てます。
お尻の下に、厚めのクッションや座布団を敷き、腰の位置を高くします。
頭よりも骨盤が高い位置にある状態で、5分〜10分ほどリラックスします。
この姿勢をとると、骨盤内に落ち込んでいた胃や腸が、重力によって胸の方(正しい位置)へスルスルと戻ってきます。
寝る前に行うと、内臓の圧迫が取れて血流が良くなり、翌朝の消化機能の回復に役立ちます。
よく噛んで「粥状(じゅくじょう)」にする
胃の重さを減らすための食事の知識です。
胃下垂の人は、胃の筋肉が薄く、食べ物を撹拌する力が弱いです。
あまり噛まずに飲み込むと、胃の中に固形物が長時間留まり、その重みでさらに胃が引き伸ばされてしまいます。
口の中で液状になるまでよく噛んでから飲み込むことで、胃での滞留時間が短くなり、物理的な重さによる負担を減らすことができます。
まとめ:胃下垂は「容器の変形」。形を整えて収納しよう
さて、今回は「胃下垂の原因|食後の下腹ぽっこりは『肋骨』と『骨盤』」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?
悩ましい下腹の出っ張りが、脂肪ではなく、肋骨の狭まりによる「押し出し」と、骨盤の開きによる「落下」という、身体の容器の変形であることを、ご理解いただけたかと思います。
そのポッコリお腹は、あなたの内臓が「上が狭くて入れないよ!」「下から支えて!」と訴えているサインなのです。
では、今日のポイントをまとめます。
- 胃下垂は、胃を支える筋力や腹圧が低下し、胃全体が骨盤の中まで垂れ下がって消化不良などを起こす状態のこと。
- 猫背による「肋骨の狭まり」は、胃の収納スペースを潰し、下方向へ押し出す最大の物理的要因となる。
- 骨盤が開いていると、落ちてきた内臓を受け止められず、下腹部が出る原因となる。
- 対策として、バンザイ呼吸で肋骨を広げること、腰を高くして重力で胃を戻すことが、正しい位置を形状記憶させる鍵となる。
胃は、食べたものからエネルギーを作り出す最初の工場です。
工場が潰れていては、元気も湧いてきません。
まずは今日から、背伸びをして肋骨を広げ、寝る前にお尻を上げてみてください。
スペースができれば、胃は自然と定位置に戻り、体の中から軽やかさを感じられるようになるはずです。
こころ鍼灸整骨院



