ランナー膝の痛み|膝の外側が痛む【腸脛靭帯炎】の原因と対策
みなさん、こんにちは。
こころ鍼灸整骨院の東角です。
「長く歩いていると、腰から足にかけてしびれが出て、座り込んでしまう。」
「病院でレントゲンを撮ったら、『腰の骨が前にズレています』と言われた。」
「手術をするしか治らないのかと、将来が不安でたまらない。」
そんな、腰骨の並びが乱れてしまう症状、「腰椎すべり症(ようついすべりしょう)」に悩まされていませんか?
「骨がズレている」と聞くと、一度ズレたらもう戻らない、手術でボルト固定するしかない、と考えがちです。
確かに、大きくズレて神経を圧迫している場合は手術が必要なこともあります。
しかし、痛みやしびれの本当の原因は、ズレていることそのものよりも、「骨をさらに前へズレさせようとする力」が、今もなお働き続けていることにあります。
その背景には、骨の並びを坂道のように傾けてしまう「過度な反り腰」と、骨盤を前に引っ張り込む「股関節の硬さ」という、明確な物理的要因が隠れています。
今回は、手術を検討する前に知っておくべき、骨が滑り落ちてしまう生理学的なメカニズムについて解説します。
特に見過ごされがちな【剪断力(せんだんりょく)】と【腸腰筋(ちょうようきん)の拘縮】に焦点を当て、進行を食い止めるための知識を、みなさんと一緒に詳しく見ていきましょう。
なぜ、腰の骨は前に滑ってしまうのか?
まず、腰の中で何が起きているのか、その構造を理解しましょう。
人間の背骨は、ブロックのように積み重なっています。
正常な状態であれば、背骨の後ろにある関節(椎間関節)がフックのように引っかかり、ブロックが前にズレないようにロックしています。
腰椎すべり症とは、加齢による関節のすり減りや、疲労骨折(分離症)によってこのロック機能が甘くなり、上の骨が下の骨に対して、前方へズルズルと滑り出してしまった状態です。
ズレた骨や、それに伴って歪んだ椎間板が、すぐ後ろを通る神経(脊柱管)を圧迫することで、足のしびれや痛み(間欠性跛行)を引き起こします。
問題は、なぜ後ろではなく「前」に滑るのかということです。
それは、人間の腰がもともと前にカーブしているため、重力がかかると自然に「斜め前に滑り落ちようとする力」が働く構造になっているからです。
骨を滑らせる、2つの物理的要因
では、なぜロックが外れるほどの力がかかってしまったのでしょうか?
そこには、滑り台の角度を急にしてしまう姿勢と、ブレーキが効かない筋肉の状態が深く関わっています。
滑り台を急にする「強烈な反り腰」
これが、すべり症を悪化させる最大の物理的要因です。
積み木をイメージしてください。
積み木を水平な床に積めば崩れませんが、斜めの坂道に積めば、重力によって崩れ落ちようとしますよね。
腰における「坂道の角度」を決めているのが、腰の反り具合です。
お腹を突き出した「反り腰」の姿勢が強いと、腰骨の傾斜がきつくなります。
傾斜がきつくなると、骨を前方へ押し出そうとする力(剪断力)が最大化します。
すべり症の方の多くが、仰向けで寝ると腰が痛いのは、足を伸ばすことで腰が反り、骨を前にズレさせる力が働き続けているからです。
この「前への圧力」を弱めない限り、いくら治療をしても骨は滑り続け、神経を圧迫し続けます。
骨盤を前に倒す「腸腰筋の硬さ」
もう一つの要因は、反り腰を作り出している犯人です。
これまでのコラムでも度々登場していますが、腰骨から股関節の内側に付いている「腸腰筋(ちょうようきん)」という筋肉が重要です。
長時間のデスクワークや運動不足でこの筋肉が硬くなると、骨盤を強力に前傾(前倒し)させます。
土台である骨盤が前に傾くと、その上にある腰骨のカーブも連動して強くなります。
腸腰筋が縮んでいる限り、腰骨はずっと急な坂道の上に置かれている状態になります。
この筋肉の柔軟性を取り戻さないと、物理的に骨のズレを止めることはできません。
ズレを止める!腰を守るための「知識」
すべり症の痛みを改善するには、坂道の角度(反り腰)を緩やかにし、骨を後ろから支える筋肉の壁を作ることが必要不可欠です。
坂道を平らにする「丸めるストレッチ」
反り腰を解消し、骨への圧力を減らすための知識です。
すべり症の方は、腰を反らす動作(うつ伏せで上体を起こすなど)は厳禁です。ズレを助長します。
逆に、「腰を丸める動作」が特効薬になります。
仰向けに寝て、両手で両膝を抱えます。
息を吐きながら、膝を胸の方へグーッと引き寄せ、腰骨を床に押し付けるように丸めます。
そのまま20秒キープします。
この「ダンゴムシ」のようなポーズをとると、骨盤が後傾し、腰骨の傾斜が緩やかになります。
神経の通り道も広がるため、しびれが軽減しやすい安全なケア方法です。
前へのズレを止める「ドローイン(腹圧)」
前から支える壁を作るための知識です。
骨が前に滑るのを止める唯一の筋肉が、お腹の深層にある「腹横筋(ふくおうきん)」です。
コルセットのような役割をするこの筋肉が弱っていると、骨はノーガードで滑り落ちます。
息を吐きながらお腹を背中にくっつけるように凹ませる「ドローイン」を習慣にしましょう。
お腹の中から圧力をかけることで、腰骨を後ろ側(正しい位置)へ押し戻すサポート力が生まれます。
股関節を伸ばす「アキレス腱伸ばしの変形」
腸腰筋を緩めるための知識です。
立った状態で足を前後に開き、アキレス腱伸ばしのような姿勢をとります。
そこから、後ろに残した足の「太ももの付け根」を意識して、骨盤を前に突き出すようにストレッチします。
股関節の前側が伸びれば、骨盤の前傾が改善され、腰骨の傾斜が緩みます。
まとめ:すべり症は「角度」の問題。傾斜を緩めて守ろう
さて、今回は「腰椎すべり症の原因|骨がズレる痛みは『反り腰』と『股関節』」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?
恐ろしい骨のズレが、単なる老化現象ではなく、反り腰による「急な坂道」と、股関節の硬さによる「前への引っ張り」が生んだ物理的な現象であることを、ご理解いただけたかと思います。
その痛みは、あなたの腰が「角度が急すぎて滑り落ちるよ!」「坂道を緩やかにして!」と訴えているサインなのです。
では、今日のポイントをまとめます。
- 腰椎すべり症は、腰の骨が前方へズレて神経を圧迫し、痛みやしびれを引き起こす症状のこと。
- 骨が前に滑る最大の要因は、過度な「反り腰」によって腰骨の傾斜がきつくなり、前方向への剪断力が増すことにある。
- デスクワークなどで「腸腰筋」が硬くなると、骨盤が前傾し、滑りやすい環境を固定化させてしまう。
- 対策として、腰を丸めるストレッチで傾斜を緩めること、お腹を凹ませて前から支えることが、進行を防ぐ鍵となる。
診断名がつくと不安になりますが、物理的な理屈が分かれば、対処法は必ずあります。
「痛いから動かさない」のではなく、正しい方向に動かしてあげることで、腰は安定を取り戻します。
まずは今日から、寝る前に膝を抱え、腰を優しく丸めてあげてください。
傾斜が緩めば、骨のズレようとする力は弱まり、安心して歩ける毎日が戻ってくるはずです。
こころ鍼灸整骨院



