テニスレッグの原因|ふくらはぎの断裂は「筋膜」と「急発進」

東角剛司

東角剛司

テーマ:身体の痛み・不調

みなさん、こんにちは。

こころ鍼灸整骨院の東角です。

「テニスをしていたら、後ろからボールをぶつけられたような衝撃があった。」

「信号が変わりそうで走り出した瞬間、ふくらはぎで『ブチッ』と音がした。」

「痛くてつま先立ちができず、かかとを浮かせたまま歩くことしかできない。」

そんな、ふくらはぎの内側に起こる突発的な激痛、「テニスレッグ(腓腹筋断裂)」に見舞われていませんか?

「アキレス腱が切れたかもしれない!」と慌てて病院に行くと、「筋肉の断裂(肉離れ)ですね」と診断されることが多いこの怪我。

中高年のスポーツ愛好家に多いため、「運動不足だったから」「準備運動が足りなかったから」と自分を責める方が多いです。

もちろん準備不足も一因ですが、なぜ「ふくらはぎの内側」ばかりが切れてしまうのでしょうか?

実は、テニスレッグが起こる瞬間、あなたの足には物理的に「筋肉が引きちぎられる条件」が完璧に揃ってしまっているのです。

その背景には、膝と足首の動きが噛み合わない「協調性のエラー」と、筋肉の柔軟性を奪う「乾燥(脱水)」という、明確な要因が隠れています。

今回は、再発を恐れて運動できなくなる前に知っておくべき、筋肉が断裂する生理学的なメカニズムについて解説します。

特に見過ごされがちな【遠心性収縮(えんしんせいしゅうしゅく)】【筋膜の癒着】に焦点を当て、しなやかな足を取り戻すための知識を、みなさんと一緒に詳しく見ていきましょう。

なぜ、ボールが当たったような衝撃を感じるのか?


まず、衝撃の正体を知っておきましょう。

テニスレッグとは、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋)が、急激な収縮に耐えきれず、部分的に断裂してしまった状態です。

特に、筋肉と腱の移行部である「内側のふくらはぎ」が裂けやすいのが特徴です。

あの「ドン!」という衝撃や「ブチッ」という音は、ピンと張り詰めた筋肉の繊維や筋膜が、一気に弾け飛んだ時の振動です。

アキレス腱断裂と似ていますが、アキレス腱断裂は「かかと」に近い部分が凹むのに対し、テニスレッグは「ふくらはぎの高い位置」に痛みが出ます。

これは単なる筋肉痛のひどいものではなく、筋肉の繊維が物理的に千切れている「怪我」なのです。

筋肉を引きちぎる、2つの物理的要因


では、なぜ頑丈なはずの筋肉がいとも簡単に切れてしまうのでしょうか?

そこには、二つの関節をまたぐ筋肉の宿命と、筋肉の質の問題があります。

上下から引っ張られる「綱引き状態」


これが、テニスレッグが発生する瞬間の物理的なメカニズムです。

ふくらはぎの腓腹筋は、膝関節と足首関節の両方をまたいで付着しています。

テニスでサーブを打つ時や、ダッシュをする時を想像してください。

地面を蹴るために、足首は強く伸びようとします(底屈)。

同時に、体を前に押し出すために、膝は強く伸びようとします(伸展)。

この時、腓腹筋には「縮もうとする力」と「引き伸ばされようとする力」が、同時に最大出力でかかります。

これを「遠心性収縮」と呼びますが、タイミングが悪いと、筋肉の両端が強烈な力で引っ張り合う「綱引き」の状態になります。

この張力が筋肉の耐久限界を超えた瞬間、弱い部分(筋腱移行部)からブチッと裂けてしまうのです。

ゴムを古くさせる「水分不足と冷え」


もう一つの要因は、筋肉の質の低下です。

筋肉は、水分を含んだ新鮮なゴムのようなものです。

しかし、加齢や冬場の乾燥、運動中の発汗によって水分が不足すると、筋肉は「古びて硬くなったゴム」のようになります。

水分が不足し、冷えて硬くなった筋肉は、柔軟性と粘り気を失います。

しなやかなゴムなら強い力で引っ張っても伸びて耐えられますが、乾いたゴムは伸びずにすぐに千切れてしまいます。

特に中高年の方は、細胞内の水分量が低下しているため、若い頃と同じ感覚で「急発進」すると、筋肉がそのスピードについていけず、断裂のリスクが跳ね上がるのです。

断裂を修復し、予防する!回復の「知識」


テニスレッグになってしまったら、まずは出血と拡大を防ぎ、その後に柔軟な筋肉を作り直すことが必要不可欠です。

絶対に揉まない「R.I.C.E処置」の徹底


受傷直後の最も重要な知識です。

ふくらはぎが痛いと、つい手でさすったり揉んだりしたくなりますが、これは絶対にNGです。

筋肉が切れている状態で揉めば、傷口を広げ、内出血を悪化させてしまいます。

受傷直後は、とにかく「圧迫(Compression)」と「冷却(Icing)」を行ってください。

弾性包帯などでふくらはぎを圧迫し、氷で冷やして炎症と出血を最小限に食い止めます。

最初の処置が早いほど、復帰までの期間が短縮されます。

かかとを上げて歩く「ヒールリフト」


傷口をくっつけるための知識です。

アキレス腱やふくらはぎを伸ばすと痛い時は、無理にストレッチをしてはいけません。傷口が開いてしまいます。

逆に、「かかとを高くして、ふくらはぎを緩める」ことが回復を早めます。

靴の中に「ヒールパッド(かかと用インソール)」を入れるか、かかとの高い靴を履いて生活してください。

筋肉が緩んだ状態で固定されるため、断裂した繊維同士が近づき、修復がスムーズに進みます。

筋肉を潤す「毎日の水分補給」


再発を防ぐための、最も基礎的な知識です。

古くなったゴムを再生させるには、水を与えるしかありません。

運動中だけでなく、日常生活でこまめに水を飲みましょう。

体重1kgあたり約30ml(体重60kgなら1.8リットル)を目安に、水やノンカフェインのお茶を摂取します。

筋肉が水分で満たされれば、急な動きにも耐えうる粘り強さが戻ってきます。

まとめ:ふくらはぎの痛みは「急発進」への警告。潤いを与えよう


さて、今回は「テニスレッグの原因|ふくらはぎの断裂は『筋膜』と『急発進』」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?

あの衝撃的な痛みが、運が悪かったわけではなく、上下からの「過剰な綱引き」と、水分不足による「筋肉の劣化」が招いた物理的な破断であることを、ご理解いただけたかと思います。

その痛みは、あなたの筋肉が「もう伸びないよ!」「乾いて切れそうだよ!」と限界を訴えたサインなのです。

では、今日のポイントをまとめます。

  • テニスレッグ(腓腹筋断裂)は、ふくらはぎの内側の筋肉が、急激な動きに耐えきれず部分断裂を起こした状態のこと。
  • 膝を伸ばすと同時に足首を蹴り出す動作は、筋肉に強烈な引っ張り合い(遠心性収縮)を生じさせ、断裂の引き金となる。
  • 水分不足や冷えは、筋肉を「古びたゴム」のように脆くさせ、切れやすくする大きな要因である。
  • 対策として、受傷直後は揉まずに圧迫・冷却すること、普段から水分を摂り筋肉の柔軟性を保つことが、再発防止の鍵となる。


筋肉は、適切なケアをすれば必ず修復します。

焦らず、まずは傷口を休ませ、たっぷりと水分を与えてあげてください。

しなやかさが戻れば、またコートやグラウンドで、思い切り駆け回れる日が必ずやってきます。

こころ鍼灸整骨院

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東角剛司
専門家

東角剛司(柔道整復師・はり師・きゅう師)

こころ鍼灸整骨院

構造医学の視点から、個々の体の動かし方に合わせて骨格を整えます。肩や腰などの慢性的な痛みに向き合い、整骨院に通わずに済む健康な体づくりをサポート。実務者向けのセミナーも開催しています。

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