めまい・ふらつき|【良性発作性頭位めまい症(BPPV)】との違いと対処法
みなさん、こんにちは。
こころ鍼灸整骨院の東角です。
「何もない平らな道で、カクッと足首をひねってしまう。」
「一度捻挫をしてから、足首がグラグラして安定しない。」
「スポーツ復帰しても、またいつ挫くかと怖くて全力で動けない。」
そんな、繰り返す足首のトラブル、「捻挫癖(ねんざぐせ)」や「慢性足関節不安定症」に悩まされていませんか?
「靭帯(じんたい)が伸びてしまったから仕方ない」と諦め、サポーターでガチガチに固めて生活している方も多いかもしれません。
確かに、一度伸びた靭帯は元には戻りません。
しかし、靭帯が緩いからといって、必ずしも捻挫を繰り返すわけではないのです。
実は、捻挫が癖になってしまう根本的な原因は、足首の緩さそのものではなく、傾いたことに気づけない「感覚センサーの故障」と、倒れ込みを防ぐ「ガードマンの遅刻」にあります。
その背景には、脳へ情報を送る「固有受容感覚(こゆうじゅようかんかく)の麻痺」と、外側で踏ん張る「腓骨筋(ひこつきん)の反応遅延」という、明確な機能不全が隠れています。
今回は、サポーターに頼り切りになる前に知っておくべき、足首が不安定になる生理学的なメカニズムについて解説します。
特に見過ごされがちな【位置覚(いちかく)のエラー】と【外側の筋肉のサボり】に焦点を当て、地面をしっかり掴む足を取り戻すための知識を、みなさんと一緒に詳しく見ていきましょう。
なぜ、同じ足ばかり何度も挫くのか?
まず、捻挫をした後に足首で何が起きているのかを理解しましょう。
足首の靭帯は、骨と骨を繋ぎ止めるベルトの役割だけでなく、脳に「今、足首がどのくらい傾いているか」を伝える「センサー」の役割も果たしています。
最初の捻挫で靭帯が傷つくと、このセンサーへの配線も一緒に断線してしまいます。
すると、脳は足首の傾きを正確に把握できなくなります。
健康な足なら、少し傾いた瞬間に「おっと、危ない!」と筋肉が反応して体勢を立て直せます。
しかし、センサーが壊れた足は、傾いていることに気づくのが遅れ、限界まで倒れ込んでからようやく「危ない!」と気づくため、手遅れになってグキッと挫いてしまうのです。
つまり、捻挫癖とは、足首のハードウェア(骨・靭帯)の問題というより、ソフトウェア(神経伝達)のバグによるものなのです。
足首を無防備にする、2つの機能不全
では、なぜ体勢を立て直すことができなくなっているのでしょうか?
そこには、情報の入力ミスと、それを守る筋肉の出力ミスが関係しています。
傾きを感知できない「固有受容感覚の麻痺」
これが、再発を繰り返す主要な要因の一つです。
私たちの体には、目をつぶっていても自分の手足がどこにあるか分かる「固有受容感覚」という能力があります。
足首の靭帯には、この感覚を受信する受容器がたくさんあります。
捻挫によってこの受容器がダメージを受けると、脳への信号が途絶えたり、ノイズが混じったりします。
脳内の「足首マップ」がぼやけてしまい、地面が斜めなのか平らなのか、足が真っ直ぐ着地できているのかが分からなくなってしまうのです。
この状態で歩くことは、目隠しをして綱渡りをしているようなものです。
ちょっとした小石や段差に対応できず、簡単にバランスを崩してしまいます。
反応が遅れる「腓骨筋(ひこつきん)の筋力低下」
もう一つの要因は、足首の外側を守る筋肉の問題です。
すねの外側には、「腓骨筋(ひこつきん)」という筋肉があり、足首を外側に反らす働きをしています。
この筋肉は、足首が内側に倒れそうになった時(内返し捻挫の動き)、瞬時に収縮して「壁」となり、食い止める役割を担っています。
しかし、捻挫後の痛みで足をかばって歩いていると、この腓骨筋が使われずに弱ってしまいます。
さらに、神経の伝達速度も落ちているため、「倒れる!」という指令が来てから筋肉が動くまでにタイムラグ(遅延)が生じます。
ガードマンが現場に到着した時には、すでに泥棒(捻挫)が入った後、という状況が繰り返されているのです。
センサーを修理し、壁を作る!足首ケアの「知識」
捻挫癖を治すには、靭帯を縮めること(手術以外不可能)を目指すのではなく、狂ったセンサーを再調整し、サボっている筋肉を叩き起こすリハビリが必要です。
脳のマップを書き換える「片足立ち」
壊れたセンサー(固有受容感覚)を鍛え直すための知識です。
非常にシンプルですが、「床の上で片足立ち」を行ってください。
グラグラする足首を、足裏や足首周りの筋肉で微調整して制御しようとする時、脳と足首の間で活発な情報のやり取りが行われます。
慣れてきたら、「目を閉じて」片足立ちを行います。
視覚情報に頼らず、足首のセンサーだけでバランスを取る練習をすることで、脳内の足首マップが鮮明に書き換えられていきます。
歯磨きの時間などを利用して毎日行うことが、センサー修理への近道です。
外側の壁を作る「腓骨筋トレーニング」
弱ったガードマンを強化するための知識です。
足首を外側にひねる動き(外返し)で、腓骨筋を刺激します。
椅子に座り、足の裏を床につけます。
かかとを床につけたまま、足の小指側を外へ外へと持ち上げるように力を入れます。
すねの外側が硬くなるのを感じたら、そこで5秒キープします。
自分の手や、家具の脚などを外側に押し付けるようにして抵抗をかけると、より効果的です。
この筋肉が即座に反応できるようになれば、カクッとなりそうな瞬間に、筋肉がグッと踏ん張って捻挫を回避してくれます。
足指を使う「タオルギャザー」
足裏のセンサー感度を高める知識です。
足の指が使えていないと、着地が不安定になり、捻挫しやすくなります。
床にタオルを敷き、足の指でタオルを手繰り寄せる運動を行いましょう。
足裏の筋肉(内在筋)が活性化すると、地面を掴む感覚が鋭くなり、着地の安定性が増します。
まとめ:捻挫癖は「バグ」の状態。情報をアップデートしよう
さて、今回は「捻挫癖の原因|すぐ挫く足首は『センサー』と『外くるぶし』」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?
いつまでも治らない足首の不安定感が、靭帯の緩さだけでなく、傾きを感知できない「センサーの故障」と、守る筋肉の「反応遅れ」による機能不全であることを、ご理解いただけたかと思います。
そのグラつきは、あなたの足が「傾いているのが分からないよ!」「ガードが間に合わないよ!」と混乱しているサインなのです。
では、今日のポイントをまとめます。
- 捻挫癖は、靭帯損傷によって足首の傾きを感知する「固有受容感覚(センサー)」が機能しなくなっている状態のこと。
- 脳への情報伝達が遅れるため、限界まで倒れ込んでから気づくことになり、再発を繰り返す主要な要因となる。
- 足首の外側を守る「腓骨筋」の筋力低下や反応遅延は、倒れ込みを食い止める力を失わせる。
- 対策として、目を閉じた片足立ちでセンサーを鍛え直すこと、外側に力を入れる運動で筋肉の反応を良くすることが、安定した足首を作る鍵となる。
足首は、体を支える唯一の接地点です。
ここが安定すれば、膝や腰への負担も減り、全身のパフォーマンスが上がります。
まずは今日から、歯磨きの間に片足立ちをして、眠っているセンサーを呼び覚ましてみてください。
情報が正しく伝わるようになれば、足首は再び地面をしっかり捉え、どんな道でも恐れずに歩けるようになるはずです。
こころ鍼灸整骨院



