足の付け根が痛い原因|鼠径部の詰まりは「反り腰」と「座り方」

東角剛司

東角剛司

テーマ:身体の痛み・不調

みなさん、こんにちは。

こころ鍼灸整骨院の東角です。

「車から降りようとして足を着いた瞬間、足の付け根にズキッと鋭い痛みが走る。」

「靴下を履こうとして足を上げると、股関節の前側で何かが挟まるような違和感がある。」

「あぐらをかくと、鼠径部(そけいぶ)が突っ張って、うまく膝が開かない。」

そんな、太ももの付け根の前面に起こる痛みや詰まり感、「鼠径部痛(そけいぶつう)」に悩まされていませんか?

「股関節が硬いからかな」と思って、無理に開脚ストレッチをしたり、グリグリと揉んだりしている方も多いかもしれません。

しかし、もしあなたが「詰まっている感じ」がするのなら、無理に広げるのは逆効果になることがあります。

なぜなら、その痛みは筋肉が硬いからではなく、関節の隙間が狭くなり、骨と骨の間で「軟部組織が物理的に挟み込まれている」から生じているからです。

その背景には、骨盤が前に倒れすぎている「過度な反り腰」と、関節を窮屈にさせている「座り方の角度」という、明確な構造上のエラーが隠れています。

今回は、ストレッチで悪化させる前に知っておくべき、足の付け根が詰まる生理学的なメカニズムについて解説します。

特に見過ごされがちな【インピンジメント(衝突)】【腸腰筋(ちょうようきん)の短縮】に焦点を当て、股関節の隙間を取り戻すための知識を、みなさんと一緒に詳しく見ていきましょう。

なぜ、足の付け根で「挟まる」感覚がするのか?


まず、痛みの現場である股関節の構造を、「屋根」と「柱」の関係で理解しましょう。

股関節は、骨盤のくぼみ(寛骨臼)という「屋根」の下に、太ももの骨の先端(大腿骨頭)という「柱」がはまり込んでできています。

正常な状態では、屋根と柱の間には十分なスペースがあり、足を上げてもぶつかることはありません。

しかし、何らかの原因でこのスペースが狭くなると、足を上げた時に、屋根の縁と柱が衝突してしまいます。

これを専門用語で「インピンジメント(衝突)症候群」と呼びます。

この時、骨と骨の間にある筋肉や唇のような軟骨(関節唇)が、ドアに指を挟むように「ガチャン!」と挟み込まれてしまいます。

これが、あの「詰まる」「挟まる」という不快感と痛みの正体です。

つまり、鼠径部の痛みは、単なるコリではなく、関節内部での「挟み込み事故」なのです。

スペースを潰してしまう、2つの物理的要因


では、なぜ安全なはずのスペースが狭くなってしまったのでしょうか?

そこには、骨盤の傾きと、現代人特有の筋肉の状態が深く関わっています。

屋根が覆いかぶさる「過度な反り腰」


これが、股関節の前側を詰まらせる最大の物理的要因です。

骨盤が前に倒れる「反り腰」の状態になると、股関節の「屋根」にあたる部分が、通常よりも前下方向に覆いかぶさってきます。

帽子を目深に被りすぎている状態をイメージしてください。

屋根が下がってくると、その下にある太ももの骨との距離が極端に近くなります。

この状態で足を上げようとすると、すぐに屋根の縁に骨がぶつかってしまいます。

反り腰の人が「足を高く上げられない」「深くしゃがめない」のは、柔軟性の問題ではなく、骨格的に屋根が邪魔をして、物理的にロックがかかっているからなのです。

この状態で無理にストレッチをすることは、挟まっている組織をさらに強く押し潰すことになり、炎症を悪化させてしまいます。

関節を奥に引き込む「腸腰筋の短縮」


もう一つの要因は、関節を内側から引っ張り込む筋肉の影響です。

腰骨から股関節の内側に付いている「腸腰筋(ちょうようきん)」は、座っている時間が長いと、短く縮こまったまま固まってしまいます。

この筋肉が硬くなると、太ももの骨を骨盤の奥(ソケットの中)へと強く引き込みすぎてしまいます。

関節が奥に引き込まれすぎると、遊び(余裕)がなくなり、少し動かしただけで骨同士が接触しやすくなります。

長時間のデスクワークの後に足の付け根が痛むのは、座っている間に腸腰筋が縮み、関節の隙間をゼロにしてしまっているからです。

隙間を広げ、衝突を防ぐ!股関節ケアの「知識」


鼠径部痛を改善するには、被りすぎた屋根(骨盤)を起こし、縮こまった筋肉を伸ばしてスペースを確保することが必要不可欠です。

屋根を起こす「膝抱えリセット」


反り腰を一時的に解除し、インピンジメントを防ぐための知識です。

立った状態で足を上げると痛い場合、一度仰向けに寝てみてください。

そして、両手で膝を抱え、胸の方へゆっくりと引き寄せます。

背中を丸めるように膝を抱えることで、前に倒れていた骨盤(屋根)が後ろに起き上がり、股関節の隙間が広がります。

詰まりを感じた時は、無理に動かそうとせず、一度骨盤を後傾させる(丸める)動きを入れて、挟み込みを解除してあげることが重要です。

座る時は「膝を股関節より低く」する


腸腰筋を縮めないための、環境設定の知識です。

低いソファや、車の深いシートに座ると、膝の位置が股関節よりも高くなります。

この「鋭角に曲がった状態」は、腸腰筋を最も短くし、股関節を詰まらせる姿勢です。

座る時は、膝の位置が股関節よりも低くなるように、椅子の高さを調整するか、お尻の下にクッションを敷いてください。

股関節の角度を90度以上に広げておくことで、筋肉の短縮を防ぎ、立ち上がった時の痛みを予防することができます。

後ろに引いて伸ばす「ランジ姿勢」の意識


縮んだ前側を伸ばすための知識です。

詰まり感がある人は、どうしても痛い部分(前側)を縮めて守ろうとしますが、逆効果です。

痛みのない範囲で、足を前後に開き、痛い方の足を後ろに引いて、足の付け根を伸ばす姿勢(ランジ)をとってみてください。

股関節の前側を伸ばすことで、骨盤の前傾が修正され、屋根と柱の衝突が回避されます。

歩く時も、足を前に出すことより「後ろに残す」ことを意識すると、自然とストレッチされ、詰まりが解消されていきます。

まとめ:足の付け根の痛みは「衝突事故」。隙間を作ってあげよう


さて、今回は「足の付け根が痛い原因|鼠径部の詰まりは『反り腰』と『座り方』」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?

靴下を履くのもつらいあの痛みが、関節の硬さではなく、反り腰による「屋根の被りすぎ」と、筋肉の短縮による「隙間の消失」が引き起こした、物理的な挟み込み事故であることを、ご理解いただけたかと思います。

その痛みは、あなたの股関節が「狭すぎてぶつかっているよ!」「屋根を持ち上げて!」と訴えているサインなのです。

では、今日のポイントをまとめます。

  • 鼠径部痛(足の付け根の痛み)は、骨盤と太ももの骨の間で、筋肉や軟骨が挟み込まれる「インピンジメント(衝突)」によって起こる。
  • 骨盤が前に倒れる「過度な反り腰」は、股関節の屋根を低くし、足を上げた時の衝突を招く最大の要因である。
  • 長時間のデスクワークで「腸腰筋」が短縮すると、関節の隙間がなくなり、詰まり感を助長させる。
  • 対策として、座る時は膝を股関節より低く保つこと、足を後ろに引いて付け根を伸ばすことが、隙間を確保し痛みを防ぐ鍵となる。


股関節は、歩く・立つ・座るという日常動作のすべてに関わる重要なパーツです。

「詰まっているな」と感じたら、無理に動かさず、骨盤の角度と座り方を見直してみてください。

隙間さえ確保できれば、衝突は回避され、足はまたスムーズに上がり始めるはずです。

こころ鍼灸整骨院

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東角剛司
専門家

東角剛司(柔道整復師・はり師・きゅう師)

こころ鍼灸整骨院

構造医学の視点から、個々の体の動かし方に合わせて骨格を整えます。肩や腰などの慢性的な痛みに向き合い、整骨院に通わずに済む健康な体づくりをサポート。実務者向けのセミナーも開催しています。

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