”こむら返り”の【意外な原因】と予防法
みなさん、こんにちは!
こころ鍼灸整骨院の東角です。
「食後しばらくすると、胸やけがして酸っぱいものがこみ上げてくる」
「胃薬を飲んでいる時は良いけれど、やめるとすぐに胃もたれやムカムカがぶり返す」
「内視鏡検査を受けても『軽い炎症ですね』と言われるだけで、スッキリ治らない」
そんな、食事の楽しみを奪うつらい胃の不調、「逆流性食道炎(胃食道逆流症)」や「機能性ディスペプシア」に悩まされていませんか?
一般的に、これらの症状は「胃酸が出過ぎているせい」だと考えられ、胃酸を抑える薬が処方されます。
もちろん、薬で炎症を抑えることは大切です。
しかし、「なぜ胃酸が逆流してしまうのか」という根本的な物理環境が変わらなければ、薬をやめた途端に再発してしまうのは当然のことです。
その背景には、胃そのものの問題だけでなく、胃を外側から押しつぶしている「姿勢」と、逆流を防ぐ「弁(バルブ)の緩み」という、明確な構造上の問題が隠れています。
今回は、薬だけに頼る前に知っておくべき、胃酸が逆流してしまう生理学的なメカニズム、特に見過ごされがちな【猫背による腹圧上昇】と【横隔膜(おうかくまく)の機能低下】に焦点を当て、胃の本来の働きを取り戻すための「知識」について、みなさんと一緒に詳しく見ていきたいと思います。
なぜ、胃の中身は逆流してしまうのか?
まず、胃と食道のつなぎ目で何が起きているのかを理解しましょう。
食べた物は食道を通り、胃へと送られます。胃の入り口(噴門)は、普段はしっかりと閉じていて、強力な胃酸が食道へ逆流するのを防いでいます。
逆流性食道炎とは、この入り口の締まりが悪くなったり、胃にかかる圧力が強すぎたりして、胃酸や内容物が食道へ漏れ出してしまい、粘膜を焼いてしまっている状態です。
コップに入った水を想像してください。
コップを傾けたり(姿勢)、横から強く握りつぶしたり(圧力)すれば、水は溢れ出しますよね。
体の中でも、これと同じ物理現象が起きているのです。
胃酸を押し上げる、2つの物理的要因
では、なぜ胃の中身が溢れ出るような状況になってしまっているのでしょうか。
そこには、現代人に多い「姿勢の癖」と、呼吸に関わる「筋肉の衰え」が深く関わっています。
胃を物理的にプレスする「猫背(円背)」
デスクワークやスマホ操作で、背中が丸まった「猫背」の姿勢をとっている時、お腹の中では何が起きているでしょうか?
肋骨というカゴが下がり、お腹のスペースが縦に押し潰されています。
すると、そのスペースにある「胃」は、上下からサンドイッチのように強い圧迫を受けます。
胃に常に高い圧力(腹圧)がかかっている状態で、食事をして胃が膨らめば、内圧は限界に達します。
行き場を失った胃酸や食べ物は、圧力の低いほう、つまり上にある「食道」の方へと押し上げられてしまうのです。
「食べてすぐデスクワークをすると気持ち悪くなる」のは、胃を物理的にプレスして中身を絞り出しているようなものだからです。
逆流防止弁を緩ませる「横隔膜の機能低下」
もう一つの要因は、胃の入り口を締める力の低下です。
実は、食道と胃のつなぎ目を外側から締め付けて、逆流を防いでいるのは「横隔膜」という筋肉です(食道裂孔)。
横隔膜は呼吸をするための筋肉ですが、同時に「天然の逆流防止弁」としての役割も担っています。
しかし、運動不足や猫背姿勢によって呼吸が浅くなると、横隔膜の動きが悪くなり、筋力が低下します。
横隔膜が緩むと、胃の入り口を締めるクリップが緩んだ状態になり、少しの圧力で簡単に胃酸が逆流しやすくなります。
高齢者や、姿勢の悪い人に逆流性食道炎が多いのは、この横隔膜の筋力低下(食道裂孔ヘルニアの予備軍)が関係していることが多いのです。
逆流を防ぎ、胃を守る!構造を変える「生活の知恵」
胃の不調を改善するには、物理的な圧迫を取り除き、重力と筋肉を利用して逆流を防ぐ環境作りが必要です。
食後は「胃のスペース」を確保する
食後すぐにソファに沈み込んだり、前かがみでスマホを見たりするのは厳禁です。
胃が最も膨らんでいる時に猫背になると、内圧が最大になります。
食後30分〜1時間は、背筋を伸ばして座るか、可能であれば立って過ごすなどして、お腹(胃)が縦に伸びた状態をキープしましょう。
お腹の皮が伸びている状態なら、胃に圧力がかからず、消化活動もスムーズに行われます。
「胃に空間をあげる」という意識を持つだけで、食後の胸焼けリスクは大きく下がります。
胃の形を利用する「左側臥位(さそくがい)」
就寝中に逆流して咳き込んだり、苦しくなったりする方向けの知識です。
胃は、体の中で「左寄り」に袋が膨らんだ形をしています(ソラマメのような形)。
寝る時は、体の「左側」を下にして横向きになると、胃の袋の部分が下になり、入り口(食道)が上に来るため、構造的に逆流しにくくなります。
逆に、右側を下にすると、食道の方へ胃酸が流れ込みやすくなる場合があります。
※個人差はありますが、左を下にするのが消化器の構造的には理にかなっています。
天然の弁を鍛える「腹式呼吸」
弱ってしまった横隔膜をリハビリして、逆流防止弁を強化する方法です。
特別な器具はいりません。「深い呼吸」が最高のトレーニングです。
仰向けに寝て、膝を立ててリラックスします。
お腹の上に手を置き、その手を持ち上げるように、鼻から大きく息を吸ってお腹を膨らませます。
口から細く長く息を吐ききります。
お腹を大きく動かすことで横隔膜が上下し、筋肉としての弾力性を取り戻します。
横隔膜が元気になれば、胃の入り口を締める力も自然と回復していきます。
まとめ:胃の不調は「圧迫」のサイン。お腹に空間を作ろう
さて、今回は「逆流性食道炎の原因|薬で治らない胸焼けは『猫背』と『横隔膜』」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?
治らない胃の不調が、胃酸の過剰分泌だけでなく、猫背による「物理的な圧迫」と、呼吸筋の衰えによる「逆流防止機能の低下」という、構造的な問題であることをご理解いただけたかと思います。
その胸焼けは、あなたの胃が「狭くて苦しいよ!」「上から押さえつけないで!」と悲鳴を上げているサインなのです。
では、今日のポイントをまとめます。
- 逆流性食道炎や慢性的な胃の不調は、胃酸が食道へ逆流することで起こるが、その背景には物理的な要因が深く関わっている。
- 「猫背」は、腹部のスペースを潰して胃の内圧を高め、中身を食道へ押し上げる主要な要因となる。
- 逆流を防ぐ横隔膜の働きが、浅い呼吸や運動不足で低下すると、胃の入り口が緩みやすくなる。
- 対策として、食後は背筋を伸ばして胃の空間を確保すること、左側を下にして寝ること、そして腹式呼吸で横隔膜を活性化させることが、再発防止の鍵となる。
「食べる」ことは、生きる喜びそのものです。
薬で症状を抑えることも大切ですが、胃がのびのびと働ける環境を整えてあげることも、同じくらい大切です。
まずは今日から、食後の30分間だけは背筋を伸ばし、胃にスペースをプレゼントしてあげてください。
圧迫から解放された胃は、きっと本来の働きを取り戻し、美味しい食事を楽しめる日々が戻ってくるはずです。
こころ鍼灸整骨院



