尾てい骨が痛い原因|座り仕事の激痛は「仙骨座り」にあった

東角剛司

東角剛司

テーマ:身体の痛み・不調

みなさん、こんにちは!
こころ鍼灸整骨院の東角です。

「椅子に座っていると、お尻の真ん中の骨が当たってズキズキ痛む」

「立ち上がろうとした瞬間、尾てい骨周辺に引き攣れるような激痛が走る」

「ドーナツクッションを使っているけれど、根本的には良くなっている気がしない」

そんな、人には相談しづらいお尻の悩み、「尾てい骨の痛み」に苦しんでいませんか?

尾てい骨(尾骨)は、人間が進化の過程で失った「尻尾の名残」です。

本来、体重を支えるための骨ではないため、非常にデリケートで痛みを感じやすい場所。

整形外科でレントゲンを撮っても「骨折はしていませんね」「様子を見ましょう」と言われることが多く、解決策が見つからずに困っている方が後を絶ちません。

骨に異常がないのに痛むのは、あなたの座り方が、デリケートな尻尾の骨を「椅子に押し付けている」か、周りの筋肉が「骨を引っ張りすぎている」からです。

その背景には、骨盤を後ろに倒して座る「姿勢の崩れ」と、お尻の奥にある「骨盤底筋(こつばんていきん)の過緊張」という、明確な物理的要因が隠れています。

今回は、クッションに頼り続ける前に知っておくべき、尾てい骨が痛む生理学的なメカニズム、特に見過ごされがちな【仙骨座り(せんこつずわり)】【筋肉による牽引ストレス】に焦点を当て、痛みなく座れる体を取り戻すための「知識」について、みなさんと一緒に詳しく見ていきたいと思います。

なぜ、退化した骨がこれほど痛むのか?


まず、痛みの現場であるお尻の構造を理解しましょう。

背骨の一番下には「仙骨(せんこつ)」という逆三角形の大きな骨があり、その先端にちょこんとついている小さな骨が「尾骨(びていこつ)」です。

本来、人間が座る時に体重を支えるのは、骨盤の底にある左右の「坐骨(ざこつ)」という丈夫な骨です。

正しい姿勢で座っていれば、尾てい骨は椅子の座面から数センチ浮いた状態になり、接触することはありません。

しかし、ひとたび姿勢が崩れ、尾てい骨が座面に接触してしまうと、そこには全体重がかかります。

尾てい骨の周りは「骨膜(こつまく)」という神経が豊富な膜で覆われているため、圧迫されると非常に強い痛みを感じます。

つまり、尾てい骨の痛みは、「そこは座る場所ではありません!」という体からの緊急警告なのです。

尻尾を痛めつける、2つの物理的要因


では、なぜ浮いているはずの骨が座面に当たってしまうのでしょうか。

そこには、現代人の座り方の癖と、見えない筋肉の緊張があります。

骨を椅子に突き刺す「仙骨座り(ずっこけ座り)」


ソファやオフィスチェアに座る時、お尻を少し前にずらして、背もたれにダラリと寄りかかっていませんか?
この姿勢になると、骨盤が後ろに大きく倒れます(後傾)。

骨盤が後ろに転がると、本来の支えである「坐骨」が前に滑り、代わりに後ろにある「尾てい骨」や「仙骨」が座面に接地してしまいます。

硬い椅子と体重の間に、小さな尾てい骨がサンドイッチされ、グリグリと押し潰され続けている状態です。

これでは、骨膜が炎症を起こし、座るたびに激痛が走るのは当たり前です。

内側から骨を引っ張る「骨盤底筋の過緊張」


「座っている時は痛くないけど、立ち上がる時に痛い」という方は、こちらの要因が疑われます。

尾てい骨には、ハンモックのように内臓を支える「骨盤底筋(こつばんていきん)」や、お尻の筋肉「大殿筋(だいでんきん)」が付着しています。

長時間のデスクワークで座りっぱなしだと、お尻や骨盤の底の筋肉は圧迫され続け、血行が悪くなり、硬く縮こまってしまいます。

筋肉が硬くなると、付着部である尾てい骨を、体の内側や外側から強く引っ張り続けます。

立ち上がろうとした瞬間、筋肉が急に動くことで、引っ張られている尾てい骨に強力な負荷がかかり、「ズキッ!」とした痛みが走るのです。

これは接触による痛みではなく、筋肉による「牽引(けんいん)痛」です。

圧迫と牽引をゼロにする!座り方の「生活の知恵」


尾てい骨の痛みを治すには、物理的に「当てない」ことと、引っ張っている筋肉を「緩める」ことが必要です。

坐骨を探せ!「お尻の穴を真下に向ける」座り方


ドーナツクッションは優秀ですが、あくまで対症療法です。根本解決には、座り方を変えるしかありません。

椅子に深く座ります。

お尻の下に両手を入れてみてください。ゴリゴリとした硬い骨が当たります。これが「坐骨」です。

この坐骨が、椅子の座面に垂直に突き刺さるように、骨盤を立てて座ります。

イメージとしては、「お尻の穴が、椅子の座面を真下に覗き込んでいる」状態です。

この姿勢なら、尾てい骨は座面から完全に浮き上がり、物理的な圧迫はゼロになります。

背もたれを使う時も、お尻を一番奥まで入れてから寄りかかるようにしましょう。

牽引を解く「テニスボールほぐし」


尾てい骨を引っ張っているお尻の筋肉(大殿筋)を緩める知識です。

※痛い尾てい骨そのものを押してはいけません。


仰向けに寝て、膝を立てます。

お尻のえくぼあたり(尾てい骨から指3〜4本分外側の筋肉)の下に、テニスボールを置きます。

ゆっくりと体重をかけ、痛気持ちいい場所で30秒キープします。

周りの筋肉が緩むと、尾てい骨にかかっていた張力が抜け、立ち上がり時の痛みが軽減します。

温めて組織を修復する「入浴習慣」


お尻は脂肪が厚く、冷えやすい場所です。冷えは筋肉を硬くし、痛みに敏感にさせます。

毎日湯船に浸かり、お尻全体を温めましょう。血流が良くなることで、傷ついた骨膜や筋肉の修復スピードが格段に上がります。

まとめ:お尻の痛みは「座り方のエラー」。骨を浮かせて守ろう


さて、今回は「尾てい骨が痛い原因|座り仕事の激痛は『仙骨座り』にあった」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?

治らないお尻の痛みが、骨の異常ではなく、悪い姿勢による「物理的な圧迫」と、筋肉の硬直による「牽引ストレス」という、座り方のエラーによって引き起こされていたことを、ご理解いただけたかと思います。

その痛みは、あなたの体が「そこは座る場所じゃないよ!」「お尻の筋肉が固まりすぎだよ!」と教えてくれている、大切なサインなのです。

では、今日のポイントをまとめます。

  • 尾てい骨の痛みは、本来体重を支えないはずの尾骨に負荷がかかり、骨膜や筋肉が炎症を起こしている状態である。
  • 最大の要因は、骨盤を後ろに倒して座る「仙骨座り」であり、尾てい骨を椅子に押し付けてしまっていることにある。
  • 長時間の圧迫で「骨盤底筋」やお尻の筋肉が硬くなると、尾てい骨を強く引っ張り、立ち上がり時の激痛を引き起こす。
  • 対策として、「坐骨」で座って尾てい骨を浮かせ、お尻周りの筋肉をほぐして牽引力を緩めることが、根本解決への鍵となる。


座るという行為は、一日の大半を占めます。

その時間を、体を痛めつける時間にするか、体を休める時間にするかは、あなたの座り方ひとつで決まります。

まずは今日から、お尻の下の「坐骨」を意識してみてください。

骨盤が立てば、尾てい骨は解放され、痛みは自然と引いていくはずです。

こころ鍼灸整骨院

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東角剛司
専門家

東角剛司(柔道整復師・はり師・きゅう師)

こころ鍼灸整骨院

構造医学の視点から、個々の体の動かし方に合わせて骨格を整えます。肩や腰などの慢性的な痛みに向き合い、整骨院に通わずに済む健康な体づくりをサポート。実務者向けのセミナーも開催しています。

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