おしゃれな靴が履けない「外反母趾」、本当の原因は【足首の倒れ込み】と【ペタペタ歩き】にあった!

東角剛司

東角剛司

テーマ:身体の痛み・不調

みなさん、こんにちは!
こころ鍼灸整骨院の東角です。

「親指の付け根が飛び出して、靴に当たって赤く腫れる」

「痛みで長時間歩くのが怖く、履きたい靴よりも履ける靴しか選べない」

「親指が人差し指の下に入り込んだり、変形が進んでいて見た目が気になる」

そんな、足の形の変化と痛みに悩む「外反母趾」に苦しんでいませんか?

多くの方が、「若い頃にハイヒールや先の細い靴を履いていたせいだ」と自分を責めたり、「幅の広い靴(4Eなど)を履くしかない」と諦めたりしています。

しかし、ヒールを履いたことがない男性や、運動靴しか履かない子供にも、外反母趾は急増しています。

これは、靴が足を締め付けたから変形したのではなく、あなたの足そのものが、体重を支えきれずに「横に広がってしまっている」ことが根本的な問題なのです。

その背景には、足のアーチ構造を崩壊させる「足首の倒れ込み」と、足の指を使わなくなる「歩き方の癖」という、明確な物理的要因が隠れています。

今回は、テーピングやサポーターで固定する前に知っておくべき、足が変形する生理学的なメカニズム、特に見過ごされがちな【過回内(かかいない)】と【開張足(かいちょうそく)】に焦点を当て、進行を食い止めるための「知識」について、みなさんと一緒に詳しく見ていきたいと思います。

なぜ、親指は「くの字」に曲がるのか?


まず、足の中で骨がどう動いてしまっているのか、そのメカニズムを理解しましょう。

外反母趾は、単に親指の先が内側に曲がっただけではありません。

その前段階として、足の甲にある骨(中足骨)が、扇子を開くように横に広がってしまっています。

これを「開張足(かいちょうそく)」と呼びます。

骨が横に広がると、親指の付け根にある筋肉や腱は、弓の弦のようにピンと張った状態になります。

骨が外側に広がる力と、筋肉が内側に引っ張る力のバランスが崩れた時、親指の付け根が「くの字」に折れ曲がってしまうのです。

つまり、外反母趾とは、「足の横幅が広がりすぎた結果、親指が引っ張られて曲がった状態」と言えます。

足を広げてしまう、2つの物理的要因


では、なぜ足の骨が扇状に広がってしまうのでしょうか。

そこには、体重のかかり方の偏りと、退化してしまった足裏の機能があります。

1.土踏まずを押し潰す「足首の倒れ込み(過回内)」


これが、外反母趾を進行させる最大の物理的要因です。

立っている時や歩いている時、あなたの足首は内側に倒れ込んでいませんか?

土踏まず(アーチ)が潰れて扁平足気味になっている状態を、専門用語で「過回内(かかいない)」と呼びます。

足首が内側に倒れると、体重の負荷は足の内側、つまり「親指の付け根」に一点集中します。

一歩歩くたびに、全体重をかけて親指の付け根をグリグリと地面に押し付け、骨を外側へと押し出そうとする力が働き続けます。

この強烈な圧力が毎日繰り返されることで、骨は徐々に外へと広がり、変形が加速していくのです。

2.アーチを消滅させる「ペタペタ歩き(指を使わない歩行)」


もう一つの要因は、歩き方の癖です。

本来、人間は歩く時、最後につま先(足指)で地面を蹴り出して進みます。この「蹴る」動作が、足裏の筋肉を鍛え、アーチ(土踏まず)を高く保つ鍵となります。

しかし、合わない靴や運動不足により、足指を使わずに足裏全体で着地し、そのまま持ち上げるような「ペタペタ歩き」をしている方が非常に多いです。

指を使わないと、アーチを支える筋肉が衰え、重力に負けて足の骨がベチャッと横に広がってしまいます(開張足)。

幅の広い緩い靴を好んで履くことも、靴の中で足が滑るため、指を縮こまらせて(浮き指)踏ん張ろうとしてしまい、結果的に「ペタペタ歩き」を助長させる原因となります。

変形を止める!足本来の機能を取り戻す「選び方と使い方の知識」


外反母趾の進行を防ぎ、痛みを和らげるには、足の広がりを抑え、指を使って歩ける環境を作ることが不可欠です。

1.「幅広の靴」は逆効果?靴選びの正しい基準


外反母趾の方は、痛くないようにと「幅広(3Eや4E)」の靴を選びがちです。

しかし、これは知識としては半分正解で、半分間違いです。

単に幅が広いだけの緩い靴は、中で足が前滑りし、指先が靴の先端に詰まって圧迫されたり、アーチを支える力がなく足がさらに広がったりします。

重要なのは、「かかと」と「足の甲」がしっかりと固定される靴を選ぶことです。

かかと周りが硬くしっかりしていて、紐やベルトで足の甲を固定できる靴を選びましょう。

足の後ろ側をしっかり固定することで、前滑りを防ぎ、指先には「ゆとり」を持たせることが、変形を防ぐ靴選びの鉄則です。

2.アーチを復活させる「グー・チョキ・パー」運動


衰えてしまった足裏の筋肉(横アーチ)を目覚めさせるための知識です。
テレビを見ながらでも構いません。足の指でジャンケンをしてみてください。

・グー:指の付け根からしっかりと曲げる。
・チョキ:親指だけを上げる、または下げる。
・パー:全ての指を扇状に大きく広げる。

特に「パー」ができない方が多いですが、手を使って補助しても構いません。

指を広げる感覚を脳と筋肉に思い出させることで、潰れていたアーチを支える筋力が回復し、広がった骨を元の位置に戻そうとする力が働きます。

3.歩き方を変える「蹴り出し」の意識


ペタペタ歩きを卒業し、足指を使う歩き方に変えるだけで、毎日の通勤がリハビリになります。

意識するポイントは一つだけ。

「最後の一瞬、親指の裏で地面を押す」

足を上げる前に、地面を親指でグッと押す意識を持ってください。

これにより、足首の内側への倒れ込み(過回内)を防ぎ、アーチを持ち上げる筋肉が活性化されます。

最初は疲れるかもしれませんが、それは今までサボっていた筋肉が働き出した証拠です。

まとめ:外反母趾は「足の崩れ」への警告。土台を締め直そう


さて、今回は「おしゃれな靴が履けない『外反母趾』、本当の原因は【足首の倒れ込み】と【ペタペタ歩き】にあった!」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?

親指の変形や痛みが、単に靴のせいだけではなく、体重を支えきれずに足の骨が広がり、足首が倒れ込んでいるという「構造的な崩壊」の結果であることを、ご理解いただけたかと思います。

その痛みは、あなたの体が「アーチが潰れているよ!」「もっと指を使って歩いて!」と教えてくれている、大切なサインなのです。

では、今日のポイントをまとめます。

  • 外反母趾は、足の骨が横に広がる「開張足」がベースとなり、親指が筋肉に引っ張られて変形した状態である。
  • 最大の要因は、足首が内側に倒れ込む「過回内」により、親指の付け根に体重負荷が集中することにある。
  • 「指を使わない歩き方」や「緩すぎる靴」は、アーチを支える筋力を低下させ、足の広がりを加速させる。
  • 対策として、かかとを固定できる靴を選び、足指ジャンケンや蹴り出し歩行でアーチを復活させることが、進行を食い止める鍵となる。


足は、一生の体重を支え続ける、唯一の土台です。

変形してしまった骨を完全に戻すことは難しくても、痛みを取り除き、これ以上の悪化を防ぐことは、正しい知識があれば十分可能です。

まずは今日から、靴紐をしっかり結び直し、一歩一歩、地面を踏みしめる感覚を味わってみてください。

土台がしっかりすれば、歩くことはもっと楽しく、自由になるはずです。

こころ鍼灸整骨院

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

東角剛司
専門家

東角剛司(柔道整復師・はり師・きゅう師)

こころ鍼灸整骨院

構造医学の視点から、個々の体の動かし方に合わせて骨格を整えます。肩や腰などの慢性的な痛みに向き合い、整骨院に通わずに済む健康な体づくりをサポート。実務者向けのセミナーも開催しています。

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

“整骨院いらず”を目指す身体の専門家

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ大阪
  3. 大阪の医療・病院
  4. 大阪の整骨院・接骨院
  5. 東角剛司
  6. コラム一覧
  7. おしゃれな靴が履けない「外反母趾」、本当の原因は【足首の倒れ込み】と【ペタペタ歩き】にあった!

東角剛司プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼