夕方には足がパンパン「むくみ」、本当の原因は【静脈弁のヘタリ】と【塩分濃度の調整ミス】にあった!

東角剛司

東角剛司

テーマ:身体の痛み・不調

みなさん、こんにちは!
こころ鍼灸整骨院の東角です。

「朝はすんなり履けたブーツが、夕方になるとファスナーが上がらない」

「靴下のゴムの跡がくっきりと残り、なかなか消えない」

「お酒を飲んだ翌朝、顔がパンパンに膨れ上がって別人になっている」

そんな、重だるくて見た目も気になる「むくみ」に悩まされていませんか?

「水を飲み過ぎたからかな?」「立ち仕事だったから仕方ない」と諦めている方が多いですが、むくみは単なる「水太り」ではありません。

私たちの体には、本来、余分な水分を回収して排出する完璧なシステムが備わっています。

むくみが発生するということは、その回収システムにおいて「回収量」よりも「漏れ出る量」が上回ってしまっている、異常事態が起きているということです。

その背景には、血液の逆流を防ぐための「小さな部品の故障」と、体内のバランスを保とうとする「生存本能」が深く関わっています。

今回は、マッサージで一時的に流す前に知っておくべき、体がむくんでしまう生理学的なメカニズム、特に見過ごされがちな【静脈弁(じょうみゃくべん)の機能低下】と【ナトリウム(塩分)と水分の関係】に焦点を当て、溜め込まない体を作るための「知識」について、みなさんと一緒に詳しく見ていきたいと思います。

そもそも「むくみ」とは何か?血管からの水漏れ現象


私たちの体の中では、常に水分(血液やリンパ液)が循環しています。

心臓から送り出された血液は、動脈を通って全身の細胞に酸素や栄養を届けます。

その際、毛細血管の壁から水分が染み出し、細胞の間を満たします。

これを「組織間液(そしきかんえき)」と呼びます。

役目を終えた水分は、再び血管(静脈)やリンパ管に回収されて心臓に戻ります。

通常、この「染み出す量」と「回収される量」は釣り合っています。

しかし、何らかの原因で、静脈内の圧力が高くなりすぎると、回収が追いつかなくなり、行き場を失った水分が皮膚の下に溢れ出してしまいます。

これが「むくみ(浮腫)」の正体です。つまり、排水溝が詰まって水が溢れている状態と同じなのです。

水を溢れさせる、2つの内部要因


では、なぜ回収システムがエラーを起こしてしまうのでしょうか。

そこには、物理的な「弁」の問題と、化学的な「濃度」の問題があります。

1.逆流を止められない!「静脈弁(じょうみゃくべん)のヘタリ」


これが、夕方に足がパンパンになる最大の物理的要因です。

足の静脈は、重力に逆らって血液を心臓まで持ち上げなければなりません。

そのため、静脈の内側には、登った血液が下に落ちないようにするためのストッパー、「静脈弁」というドアが一定間隔でついています。

筋肉が動くとドアが開き、血液が上に登ります。筋肉が止まるとドアが閉まり、逆流を防ぎます。

しかし、
・立ちっぱなし、座りっぱなしで筋肉が動かない
・加齢や運動不足で血管自体が弱っている

こうした状態が続くと、常に重力の負担がかかり続ける静脈弁は、徐々に壊れたり、閉じきらなくなったりして「ヘタリ」が生じます。

弁がしっかり閉じないと、血液が重力に負けて下へと逆流し、足の静脈内に溜まってしまいます。

すると血管内の圧力が急上昇し、水分が血管の外へと押し出されてしまうのです。これが夕方のむくみです。

2.薄めようとする生存本能「塩分濃度の調整」


もう一つの要因は、食事の内容と深く関わっています。

人間の体液(血液など)の塩分濃度は、常に約0.9%に保たれています。これは生命維持のために絶対に必要なバランスです。

ラーメンやスナック菓子、外食などで「塩分(ナトリウム)」を摂りすぎると、体内の塩分濃度が一時的に高くなります。

すると体は、「濃度が高すぎて危険だ!水で薄めなきゃ!」と判断し、水分を排出せずに体内に溜め込もうとします。

また、喉が渇いて水を飲みたくなりますが、これも濃度を下げるための反応です。

塩分を摂りすぎた翌日に顔や体がむくむのは、体が塩分濃度を正常に戻そうとして、必死に水を抱え込んでいるという、正常な防衛反応の結果なのです。

溜め込まない!循環を取り戻すための「生活の知恵」


むくみを解消するには、物理的に血液を戻しやすくすることと、化学的に余分な水分を排出する知識が必要です。

1.重力を味方につける「足上げ休息」


壊れかけた静脈弁を助け、物理的に水分を戻す最も確実な方法です。

寝る前や休憩時間に、クッションや壁を使って、足を「心臓よりも高い位置」に上げて10〜15分ほど過ごしましょう。

重力を利用することで、弁の働きが弱くても、溜まった血液やリンパ液が自然と心臓の方へと流れていきます。

「その日のむくみは、その日のうちに心臓へ戻す」ことが、静脈弁を守り、下肢静脈瘤などの病気を防ぐためにも非常に重要です。

2.塩分を追い出す「カリウム」の摂取


塩分の摂りすぎで水を溜め込んでいる場合、水を控えるのではなく、塩分(ナトリウム)を体の外に出す必要があります。

その役割を果たすのが、ミネラルの一種であるカリウムです。

カリウムには、腎臓に働きかけて、余分なナトリウムを水分と一緒に尿として排出する作用があります。

・カリウムが豊富な食材
バナナ、アボカド、キウイ、ほうれん草、海藻類、サツマイモなど。

塩分が多い食事をした時は、デザートにバナナやキウイを食べるなど、セットでカリウムを摂る知識を持つことで、翌日のむくみを最小限に抑えることができます。

3.ポンプを外から補強する「着圧ソックス」の活用


立ち仕事やデスクワークでどうしても動けない場合は、道具の力を借りるのも賢い選択です。

「着圧ソックス(弾性ストッキング)」は、足首からふくらはぎにかけて段階的に圧力をかけることで、筋肉ポンプの役割を補助し、静脈弁の負担を減らしてくれます。

ただし、締め付けが強すぎるとかえって血流を阻害することがあるため、「自分に合ったサイズ」を選び、寝ている時は外す(医療用を除く)など、正しく使うことが大切です。

まとめ:むくみは「循環のエラー」。戻す力をサポートしよう


さて、今回は「夕方には足がパンパン『むくみ』、本当の原因は【静脈弁のヘタリ】と【塩分濃度の調整ミス】にあった!」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?

あなたの体を重くしていたむくみが、単なる水太りではなく、血液の逆流を防ぐ弁の不調や、塩分過多に対する体の正常な反応によるものであることを、ご理解いただけたかと思います。

その重だるさは、あなたの体が「回収ポンプが追いつかないよ!」「塩分が多すぎて薄めるのに必死だよ!」と教えてくれているサインなのです。

では、今日のポイントをまとめます。

  • むくみとは、静脈内の圧力が高まり、回収しきれない水分が血管外へ漏れ出している状態である。
  • 足のむくみの多くは、血液の逆流を防ぐ「静脈弁」が機能低下し、血液が足に溜まってしまうことで起こる。
  • 塩分の摂りすぎは、体内の塩分濃度を薄めるために水分を溜め込ませる、むくみの大きな要因である。
  • 対策として、足を高くして重力で戻すこと、カリウムを摂取して余分な塩分と水分を排出することが、スッキリした体を取り戻す鍵となる。


むくみを放置することは、冷えを招き、代謝を下げ、さらに太りやすい体質を作ってしまいます。

「たかがむくみ」と思わず、その日のうちにケアをしてあげることが大切です。

まずは今日から、少し塩分を控え、夜は足を高くしてリラックスする時間を作ってみてください。

循環が良くなれば、体はもっと軽やかに、快適に動けるようになるはずです。

こころ鍼灸整骨院

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東角剛司
専門家

東角剛司(柔道整復師・はり師・きゅう師)

こころ鍼灸整骨院

構造医学の視点から、個々の体の動かし方に合わせて骨格を整えます。肩や腰などの慢性的な痛みに向き合い、整骨院に通わずに済む健康な体づくりをサポート。実務者向けのセミナーも開催しています。

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