レントゲンで発覚した「ストレートネック」、本当の原因は【背骨の錆びつき】と【視線の角度】にあった!

東角剛司

東角剛司

テーマ:身体の痛み・不調

みなさん、こんにちは!
こころ鍼灸整骨院の東角です。

「病院で首のレントゲンを撮ったら、『本来あるはずのカーブがなくなっています』と言われた」

「頭が常に重く、首の付け根から背中にかけて、何かが乗っているような圧迫感がある」

「枕がどれも合わず、寝起きから首が痛くて憂鬱になる」

そんな、現代病の代表格とも言える「ストレートネック(スマホ首)」に悩まされていませんか?

「ストレートネックですね」と診断されると、まるで骨が変形してしまった不治の病のように聞こえるかもしれません。

しかし、これは骨自体の異常ではなく、日々の生活習慣によって、骨の並び方が一時的に「真っ直ぐにならざるを得なくなっている」状態(配列の異常)なのです。

多くの方が、首を温めたり、マッサージをしたりしますが、それだけでは首のカーブは戻ってきません。

なぜなら、首が真っ直ぐになってしまった根本的な理由は、首そのものではなく、その下にある「土台の動き」と、あなたが毎日見ている「景色の位置」にあるからです。

今回は、ストレッチなどの運動療法以前に知っておくべき、ストレートネックになってしまう物理的なメカニズム、特に見過ごされがちな【胸椎(きょうつい)の不動化】と【視線の角度】に焦点を当て、失われたカーブを取り戻すための「知識」について、みなさんと一緒に詳しく見ていきたいと思います。

なぜ、首のカーブは必要なのか?「サスペンション機能」の喪失


そもそも、なぜ人間の首の骨(頸椎)は、緩やかに前側にカーブ(前弯)しているのでしょうか?

それは、約5~6kgもある重い頭を支えるための「バネ(サスペンション)」の役割を果たしているからです。

カーブがあることで、歩いたり走ったりした時の衝撃を吸収し、頭の重さをうまく分散させています。

ストレートネックとは、このバネが伸びきってしまい、棒のようになってしまった状態です。

バネが効かない棒の上に、重いボーリングの玉(頭)が乗っているとどうなるでしょうか?

衝撃は吸収されず、首の付け根や肩の筋肉、そして骨と骨の間にある椎間板に、ダイレクトに負担がかかり続けます。

「常に首が痛い」「ヘルニアになりやすい」のは、このサスペンション機能を失っていることが最大の要因なのです。

首を真っ直ぐにさせる、2つの物理的要因


では、なぜ大切なカーブが失われてしまったのでしょうか。
それは、あなたの体が「前を見る」ために、首を真っ直ぐに伸ばすしかなかった事情があるからです。

1.土台が動かない!「胸椎(背骨)の錆びつき」


これが、ストレートネックを引き起こす、構造上の最大の要因です。

首の骨(頸椎)の下には、胸の骨(胸椎)があります。

本来、私たちが顔を上げて遠くを見る時、首だけで上を向いているわけではありません。

下の土台である胸椎がグッと反ることで、自然と顔が上がり、首に綺麗なカーブが生まれます。

しかし、長時間のデスクワークや猫背姿勢が続くと、この胸椎が丸まったまま固まり、錆びついたように動かなくなってしまいます。

背中が丸まった状態で、無理やり顔だけを上げて前を見ようとすると、どうなるでしょうか?

顎を突き出し、首を鶴のように長く伸ばしてバランスを取るしかありません。

この「背中は丸いけど、顔は前」という矛盾した姿勢こそが、首の骨を強制的に真っ直ぐに引き伸ばしてしまう正体です。

つまり、首が悪いのではなく、動かなくなった背中の代償として、首が犠牲になっているのです。

2.頭を前方へ誘導する「視線の低さ」


もう一つの要因は、現代特有の「視線の角度」です。

人間の頭は、目線が向く方向へと自然に引っ張られる性質があります。

・手元のスマートフォンを見る(視線が下がる)
・ノートパソコンの画面を覗き込む(視線が下がる)

視線が水平よりも下に向くと、頭の重心は前方へと移動します。

頭が前に出ると、首の骨はカーブを保つことができず、頭の重さに引っ張られて真っ直ぐに伸びてしまいます。

一日のうち数時間ならまだしも、現代人は起きている時間のほとんどを「下を向く」ことに費やしています。

これでは、骨格が「真っ直ぐな状態がデフォルトだ」と形状記憶してしまうのも無理はありません。

カーブを取り戻す!骨格を守るための「環境設定の知識」


ストレートネックを改善するには、動かなくなった土台を解放し、頭が前に出ない環境を作ることが必須です。

1.スマホ・PCは「顔の高さ」が絶対ルール


視線を上げれば、頭は勝手に体の真上に戻ってきます。

この物理法則を利用するために、デバイスの位置を徹底的に見直しましょう。


・スマートフォンの持ち方

脇を締めて、片方の手でスマホを持ち、反対の手をスマホを持った腕の脇の下に入れます。

こうすると、自然とスマホの位置が目の高さまで上がり、下を向かずに画面を見ることができます。


・パソコンの環境

ノートパソコンを使用している場合は、パソコンスタンドを使って画面の位置を目線の高さまで上げましょう。

外付けのキーボードを使うのがベストです。

「下を向かない」環境を作ることこそが、最強のストレートネック対策です。

2.高すぎる枕はNG!「首の隙間を埋める」意識


人生の3分の1を占める睡眠時間も、首の形状に大きな影響を与えます。

ストレートネックの方にありがちなのが、「高い枕が好き」というケースです。

高い枕を使うと、寝ている間中、顎を引いた状態になり、首が圧迫され、真っ直ぐな状態が固定化されてしまいます。

理想的なのは、仰向けに寝た時に、敷布団と首の間にできる「隙間」だけを埋めてくれる高さです。

バスタオルを畳んで、首の下にだけ丸めて入れる「タオル枕」などを試し、後頭部ではなく「首」を支える感覚を掴んでみてください。寝ている間に、本来のカーブを思い出させてあげることが重要です。

3.背中で天井を見る「胸椎の伸展」


錆びついた土台(胸椎)を動かすための知識です。

ストレッチというよりは、日常の動作として取り入れてください。

椅子の背もたれに寄りかかり、両手を頭の後ろで組みます。

その状態で、みぞおちを天井に向かって突き上げるように、ググッと体を反らせます。

この時、首だけを反らすのではなく、「背中の骨」を反らすことを意識します。

仕事の合間にこれを行うだけで、丸まった背骨がリセットされ、首がカーブを作るための「余裕」が生まれます。

まとめ:ストレートネックは「生活の履歴書」。環境を変えれば骨は変わる


さて、今回は「レントゲンで発覚した『ストレートネック』、本当の原因は【背骨の錆びつき】と【視線の角度】にあった!」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?

あなたの首のカーブが失われたのは、骨の病気ではなく、丸まった背中で前を見ようとした「代償」と、下向きの生活環境による「適応」の結果であることを、ご理解いただけたかと思います。

その首の痛みや重さは、あなたの体が「頭が重すぎて支えきれないよ!」「もっと視線を上げて!」と訴えている、SOSサインなのです。

では、今日のポイントをまとめます。

  • ストレートネックは、首の骨の自然なカーブが失われ、頭の重さを吸収するバネ機能がなくなった状態である。
  • 最大の要因は、土台である「胸椎(背骨)」が猫背で固まり、首だけで前を見ようとすることで骨が引き伸ばされることにある。
  • スマホやPCによる「下向きの視線」が、頭の重心を前方に移動させ、真っ直ぐな形状を固定化させている。
  • 対策として、画面を目線の高さまで上げる環境設定、首を支える適切な枕選び、そして背骨を反らす動作を日常に取り入れることが、カーブを取り戻す鍵となる。


骨の形は、一朝一夕では変わりません。

しかし、毎日かかっている負担を取り除いてあげれば、人間の体は必ず本来の正しい形に戻ろうとします。

「スマホを見る時は顔の前に」。

まずはこの一つの習慣から始めてみてください。

視線が変われば姿勢が変わり、姿勢が変われば、あなたの首は再び軽く、自由になれるはずです。

こころ鍼灸整骨院

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東角剛司
専門家

東角剛司(柔道整復師・はり師・きゅう師)

こころ鍼灸整骨院

構造医学の視点から、個々の体の動かし方に合わせて骨格を整えます。肩や腰などの慢性的な痛みに向き合い、整骨院に通わずに済む健康な体づくりをサポート。実務者向けのセミナーも開催しています。

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