指先がピリピリする「手のしびれ」、本当の原因は【鎖骨の隙間の狭さ】と【腕の重さ】にあった!

東角剛司

東角剛司

テーマ:整体・鍼灸全般

みなさん、こんにちは!
こころ鍼灸整骨院の東角です。

「朝起きると、手がジンジンと痺れていて、しばらく感覚が鈍い」

「つり革につかまったり、洗濯物を干したりすると、腕から指先にかけて電気が走る」

「細かい作業をしていると、指が思うように動かなくなってくる」

そんな、不快で不安になる「手・腕のしびれ」に悩まされていませんか?

「しびれ」と聞くと、脳梗塞などの怖い病気を連想される方も多いですが、病院でMRIを撮っても「脳には異常ありません」「首の骨が少し変形していますね」と言われるだけで、湿布とビタミン剤を処方されて終わってしまうケースが非常に多くあります。

脳に異常がないのに、なぜしびれが消えないのか。その答えは、脳から指先へと続く「神経の通り道」のどこかで、物理的な「渋滞」や「圧迫」が起きているからです。

その背景には、あなたの骨格の形状や、日常生活における「腕の扱い方」が、神経を締め付けざるを得ない環境を作ってしまっている可能性が非常に高いのです。

今回は、ストレッチなどの運動療法以前に知っておくべき、しびれが起きる生理学的なメカニズム、特に見過ごされがちな【胸郭出口(きょうかくでぐち)の閉塞】と【腕の重さによる牽引】に焦点を当て、大切な神経を守るための「知識」について、みなさんと一緒に詳しく見ていきたいと思います。

「しびれ」は神経からのSOS。体の中で何が起きている?


そもそも、しびれとは何でしょうか?

人間の体には、脳からの指令を筋肉に伝えたり、皮膚の感覚を脳に伝えたりするための「末梢神経」という電線が張り巡らされています。

この電線(神経)は、ホースのようなものです。

ホースを踏みつけると水が流れなくなるように、神経のどこかが筋肉や骨によって圧迫されたり、引き伸ばされたりすると、電気信号がうまく流れなくなります。

この信号の乱れが、脳には「ビリビリ」「ジンジン」という感覚として伝わります。これがしびれの正体です。

つまり、しびれがあるということは、そのライン上のどこかで「断線しかかっていますよ!」というSOSが出ている状態なのです。

あなたの神経を締め付ける、2つの物理的要因


では、どこで神経が締め付けられているのでしょうか。

首の骨(ヘルニアなど)が原因の場合もありますが、実はそれ以上に多いのが、首から腕へと抜ける「抜け道」でのトラブルです。

1.神経の難所!「鎖骨と肋骨の隙間(胸郭出口)」の狭さ


これが、病院で「首」を見てもらっても治らないしびれの、代表的な原因です。

首から出た神経の束は、鎖骨と一番上の肋骨の間にある狭い隙間(胸郭出口)を通り抜けて、腕へと向かいます。
ここは、神経にとって最大の難所です。

・なで肩の女性:鎖骨が下がっているため、肋骨との隙間が狭くなり、神経が挟まれやすくなります。

・猫背で巻き肩の人:肩が前に出ることで、胸の筋肉(小胸筋)が硬くなり、その下を通る神経を圧迫します。

つり革をつかむなど「腕を上げる動作」をした時にしびれが強くなる場合、この狭い隙間で神経が挟み込まれている可能性が非常に高いです(胸郭出口症候群)。

構造的に「通り道が狭くなっている」ことが、しびれを引き起こす大きな要因なのです。

2.神経を引きちぎる重力!「腕の重さ」による牽引


もう一つの大きな要因は、「重力」です。

成人の腕の重さは、片方だけで約3~4kg、体重の約6%もあります。

これは2リットルのペットボトル2本分に近い重さです。

私たちが立ったり座ったりしている時、この重い腕は常に下方向へとぶら下がっています。

なで肩や筋力不足により、腕を支える力が弱いと、腕の重みによって肩が下に引っ張られ、同時に首の付け根から出ている神経も、ゴムを伸ばすように常に下へ下へと引き伸ばされ続けてしまいます。

神経は、圧迫(押されること)にはある程度強いですが、牽引(引っ張られること)には非常に弱く、ダメージを受けやすい性質があります。

あなたのしびれは、自分の腕の重さによって、神経が常に引き伸ばされている悲鳴かもしれないのです。

神経を圧迫から守る!環境と使い方の「知恵」


しびれを改善するには、狭くなった通り道を広げ、神経にかかる「引っ張る力」を取り除いてあげる工夫が必要です。

1.腕の重さを消す「アームレスト」と「ポケット」の活用


神経を守るためには、腕を「ぶら下げない」ことが鉄則です。

デスクワーク中や、座ってテレビを見ている時、腕をダランと垂らしていませんか?

・座っている時

椅子の肘掛け(アームレスト)や、机の上に腕を置き、肘を下から支えることで、肩にかかる腕の重さをキャンセルしましょう。

肘掛けがない場合は、膝の上にクッションを置き、その上に腕を乗せるだけでも、首や鎖骨周りの神経への負担が劇的に減ります。


・立っている時

長時間立っていて手がしびれてくる場合、ズボンのポケットに手を入れたり、カバンを斜めがけにしてその上に手を置いたりして、腕の重みを預けてしまいましょう。

行儀が悪いと思われるかもしれませんが、神経を守るためには「腕を支える」ことが最優先です。

2.寝ている間の圧迫を防ぐ「抱き枕」の導入


「朝起きると手がしびれている」という方は、寝ている間に神経を圧迫している可能性が高いです。

特に、仰向けで寝ると肩が重力で下に落ち込み、神経の通り道が狭くなります。

また、横向き寝で下になった方の腕が圧迫されることもあります。


おすすめなのは「大きめの抱き枕」を使うことです。

横向きで寝る際、抱き枕を抱えることで、上になった腕の重さを分散させ、肩が前に落ち込む(巻き肩になる)のを防ぐことができます。

これにより、胸の前のスペースが確保され、神経の通り道が広がります。

3.神経を温めて回復を促す「入浴習慣」


神経は、血流が悪くなると非常に過敏になり、回復が遅れます。

しびれが出ている神経は、すでに酸欠状態にあります。

シャワーだけで済ませず、必ず湯船に浸かりましょう。

特に、首の付け根から肩までをしっかりとお湯につけることで、鎖骨周りの筋肉が緩み、神経の通り道が広がります。

また、温めることで神経自体の修復スピードも上がります。

まとめ:しびれは「神経の通り道」を確保してあげれば楽になる


さて、今回は「指先がピリピリする『手のしびれ』、本当の原因は【鎖骨の隙間の狭さ】と【腕の重さ】にあった!」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?

得体の知れない不安なしびれが、実は骨格の形状や、腕の重さによる「物理的な神経への負担」によって引き起こされていることを、ご理解いただけたかと思います。

そのビリビリとした感覚は、神経が「引っ張られすぎて切れそうです!」「挟まれて苦しいです!」と訴えている、緊急のサインなのです。

では、今日のポイントをまとめます。

  • 手のしびれの多くは、脳の異常ではなく、首から腕にかけての「神経の通り道」での物理的な障害によって起こる。
  • なで肩や猫背は、鎖骨と肋骨の隙間(胸郭出口)を狭くし、神経を挟み込みやすくする主要な要因である。
  • 腕の重さ(約3~4kg)が常にかかることで、神経が引き伸ばされ続け、ダメージを受けているケースが多い。
  • 対策として、座る時は肘掛けやクッションで腕を支え、寝る時は抱き枕を活用するなど、日常生活で「腕の重さを神経にかけない」工夫が不可欠である。


しびれは、一度出始めると治るまでに時間がかかる症状です。

しかし、原因となっている「物理的な負担」を取り除いてあげれば、神経は必ず回復しようとします。

まずは今日から、腕を「ぶら下げる」のをやめ、優しく「支えてあげる」意識を持ってみてください。

その小さな気遣いが、神経の圧迫を解き、指先の感覚を取り戻すための、大きな一歩となるはずです。

こころ鍼灸整骨院

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東角剛司
専門家

東角剛司(柔道整復師・はり師・きゅう師)

こころ鍼灸整骨院

構造医学の視点から、個々の体の動かし方に合わせて骨格を整えます。肩や腰などの慢性的な痛みに向き合い、整骨院に通わずに済む健康な体づくりをサポート。実務者向けのセミナーも開催しています。

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