寝ても治らない「眼精疲労」、本当の原因は【ピント調節筋のけいれん】と【脳の映像処理エラー】にあった!

東角剛司

東角剛司

テーマ:身体の痛み・不調

みなさん、こんにちは!
こころ鍼灸整骨院の東角です。

「夕方になると、目の奥がズーンと重くなり、ピントが合わなくなる」

「目が乾いてショボショボし、目薬をさしても一向に楽にならない」

「目の疲れから、頭痛や肩こり、ひどい時は吐き気までしてくる」

そんな、一晩寝ても回復しないしつこい目の疲れ、「眼精疲労」に悩まされていませんか?

現代社会において、目は最も酷使されている臓器と言っても過言ではありません。

しかし、多くの方が「ただ目が疲れているだけ」「使いすぎだから仕方ない」と軽く捉え、市販の目薬で誤魔化してしまっています。

単なる「疲れ目(眼疲労)」であれば、一晩寝れば回復します。

しかし、寝ても治らない「眼精疲労」は、もはや目だけの問題ではありません。


それは、あなたの目の内部で起きている「筋肉の異常事態」と、目から送られる情報を受け取る「脳のパニック状態」を示しているのです。

今回は、ストレッチなどの対処療法以前に知っておくべき、眼精疲労が起きる生理学的なメカニズム、特に見過ごされがちな【毛様体筋のスパズム(けいれん)】と【脳の処理負荷】に焦点を当て、目薬に頼らずに根本解決するための「知識」について、みなさんと一緒に詳しく見ていきたいと思います。

「見る」という行為で、目の中で何が起きているのか?


私たちは普段、当たり前のように物を見ていますが、この時、目の中ではカメラのレンズにあたる「水晶体(すいしょうたい)」の厚みを変えることで、ピントを調節しています。

このピント調節を行っているのが、水晶体の周りにある「毛様体筋(もうようたいきん)」という非常に小さな筋肉です。

・近くを見る時:毛様体筋が緊張(収縮)して、水晶体を分厚くする。

・遠くを見る時:毛様体筋がリラックス(弛緩)して、水晶体を薄くする。

つまり、近くを見続けるという行為は、この小さな毛様体筋という筋肉に、何時間も重りを持たせて筋トレをさせているのと同じ状態なのです。

あなたの目を破壊する、2つの内部要因


では、なぜ現代人の多くが、単なる疲れを超えた「眼精疲労」に陥ってしまうのでしょうか。

そこには、筋肉の限界と、脳への過剰な負担という2つの要因が隠されています。

1.筋肉が固まって動かない!「毛様体筋のスパズム(けいれん)」


これが、眼精疲労の痛みやピント調節障害の、最も直接的な原因です。

パソコンやスマホなどの画面(近い距離)を、瞬きも忘れて凝視し続けると、毛様体筋は常に緊張状態を強いられます。

筋肉は、適度に収縮と弛緩を繰り返すことで血流を保っていますが、長時間緊張しっぱなしだと、血流が途絶え、筋肉の中に疲労物質が溜まり、酸欠状態になります。

この状態が限界を超えると、毛様体筋は「スパズム(けいれん)」と呼ばれる、自分では力を抜くことができない、異常な収縮状態に陥ります。

こうなると、遠くを見ようとしても筋肉が緩まず、ピントが合わなくなります(スマホ老眼)。

そして、筋肉からの「助けてくれ!」という強烈な痛み信号が、目の奥の痛みとして脳に送られるのです。

2.情報量が多すぎてオーバーヒート!「脳の映像処理エラー」


「目は脳の出先機関」と言われるほど、目と脳は密接に繋がっています。

目から入った光の情報は、視神経を通って脳の後ろ側にある「視覚野」に送られ、そこで初めて「映像」として認識されます。

現代のデジタルデバイス、特にスマホの画面は、非常に強い光(ブルーライト)を発しているだけでなく、スクロールによる激しい動きや、細かい文字など、膨大な情報量を含んでいます。

この大量の情報を処理し続けるために、脳の視覚野はフル稼働し、オーバーヒートを起こします。

さらに、ピントが合わない(毛様体筋が機能しない)状態で無理やり見ようとすると、脳は「画像がぼやけている!補正しろ!」とさらに強い指令を出し続けなければなりません。

この脳の過剰労働が、自律神経のバランスを崩し、頭痛や吐き気、全身の倦怠感といった、目以外の症状を引き起こす元凶となっているのです。

目薬では届かない!眼精疲労を断つための「環境と栄養の知識」


スパズムを起こした筋肉と、オーバーヒートした脳を休ませるには、目薬だけでは不十分です。

物理的な環境を変え、内側から回復を促すアプローチが必要です。

1.ピント調節を強制解除する「20-20-20の法則」


アメリカ検眼協会も推奨している、毛様体筋の緊張を強制的にリセットするための世界的なルールです。

「20分おきに、20フィート(約6メートル)先を、20秒間見つめる」

これだけです。

先ほど説明した通り、遠くを見る時、毛様体筋はリラックスします。

何時間も作業した後にまとめて休むのではなく、「筋肉が固まる前に、こまめに緩める」ことが、スパズムを防ぐ唯一にして最大の方法です。

窓の外の景色や、オフィスの遠くの壁を見るだけでも十分効果があります。

2.水晶体の酸化を防ぐ「抗酸化成分」の摂取


目は、紫外線やブルーライトによって大量の「活性酸素」が発生し、非常に酸化(老化)しやすい臓器です。

水晶体や網膜が酸化すると、光の透過性が悪くなり、さらに見えにくくなって疲労が増します。

これを防ぐには、食事で「抗酸化成分」を補給する知識が必要です。


・アスタキサンチン

サケやイクラ、エビなどに含まれる赤い色素。強力な抗酸化作用を持ち、さらに毛様体筋の血流を改善し、ピント調節機能を助けることが研究で分かっています。


・ルテイン

ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜に多い成分。

網膜をブルーライトのダメージから守る「天然のサングラス」の役割を果たします。

3.温めるのか、冷やすのか?正しい「温度ケア」の使い分け


・目が充血している、炎症がある時 → 冷やす

血管を収縮させ、炎症を抑えます。


・目の奥が重い、ショボショボする(眼精疲労)時 → 温める

基本的には、眼精疲労には「温める」が正解です。

ホットアイマスクなどで40度くらいに温めると、毛様体筋の血流が改善し、こわばりが解けます。

また、涙の蒸発を防ぐ油分(マイボーム腺からの分泌)が出やすくなり、ドライアイの改善にもつながります。

まとめ:目の疲れは「脳の疲れ」。酷使したシステムを休ませよう


さて、今回は「寝ても治らない『眼精疲労』、本当の原因は【ピント調節筋のけいれん】と【脳の映像処理エラー】にあった!」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?

あなたのつらい目の症状が、単なる目の使いすぎではなく、ピントを合わせる筋肉が痙攣を起こし、脳が情報処理でオーバーヒートしているという、深刻な「システムダウン寸前」の状態であることをご理解いただけたかと思います。

その痛みや不快感は、あなたの体が「もう情報の入力は限界だよ!」「シャッターを下ろして休ませて!」と叫んでいるサインなのです。

では、今日のポイントをまとめます。

  • 眼精疲労の正体は、近くを見続けることで毛様体筋が硬直(スパズム)し、さらに脳が情報過多でオーバーヒートしている状態である。
  • 単なる休息では回復せず、筋肉の緊張を解き、脳の興奮を鎮める能動的なケアが必要となる。
  • 対策として、「20-20-20の法則」でこまめにピント調節筋を緩めることが最も予防効果が高い。
  • アスタキサンチンなどの抗酸化成分で目の酸化を防ぎ、基本的には「温める」ケアで血流を改善することが、根本的な解決につながる。


私たちの目は、情報の入り口であると同時に、心身の健康状態を映し出す鏡でもあります。

目薬で無理やり蓋をするのではなく、なぜそこまで疲弊してしまったのか、その生活習慣や環境に目を向けてみてください。

「見ること」は生きることそのものです。

大切で繊細なそのシステムを、正しい知識で守り、クリアな視界と快適な毎日を取り戻しましょう。

こころ鍼灸整骨院

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東角剛司
専門家

東角剛司(柔道整復師・はり師・きゅう師)

こころ鍼灸整骨院

構造医学の視点から、個々の体の動かし方に合わせて骨格を整えます。肩や腰などの慢性的な痛みに向き合い、整骨院に通わずに済む健康な体づくりをサポート。実務者向けのセミナーも開催しています。

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