揉んでも届かない「肩甲骨の間の痛み」、本当の原因は【背中側の筋肉の伸ばされすぎ】と【肋骨の動きの悪さ】にあった!

東角剛司

東角剛司

テーマ:身体の痛み・不調

みなさん、こんにちは!
こころ鍼灸整骨院の東角です。

「背中に鉄板が入ったように、肩甲骨の間が重だるい…」

「誰かに思いっきり押してほしい、剥がしてほしいような鈍い痛みが続く」

「深く息を吸おうとすると、背中がズーンと痛むことがある」

そんな、肩甲骨の間にこびりついたような、しつこい痛みやこりに悩まされていませんか?

この部分の痛みは、マッサージをしてもストレッチをしても、なかなか芯まで届かない感じがして、すぐに元に戻ってしまうことが多い、非常に厄介な症状です。

多くの方が、この痛みの原因を「こり固まっているから」だと考えがちですが、実はその逆。あなたの背中の筋肉が「伸ばされすぎている」ことが、痛みの主な要因であることがほとんどなのです。

その背景には、あなたの日常的な姿勢が、背中の筋肉を常に引き伸ばし続ける環境を作り出していること、そして、それに連動して「ある部分」の動きが失われていることが隠れているのです。

今回は、そんなセルフケアが難しい「肩甲骨の間の痛み」の根本にある要因、特に見過ごされちな【背中側の筋肉の過伸展】と【呼吸と連動する肋骨の動きの悪さ】に焦点を当て、その重苦しい痛みから解放されるためのヒントについて、みなさんと一緒に詳しく見ていきたいと思います。

痛みの部分で、一体何が起きているのか?


肩甲骨の間には、「菱形筋(りょうけいきん)」や「僧帽筋(そうぼうきん)の中部線維」といった、肩甲骨を背骨に向かって引き寄せる役割を持つ筋肉があります。

良い姿勢を保つ上で、非常に重要な筋肉です。

一般的に「こり」というと、筋肉がギュッと縮んで硬くなった状態をイメージします。

しかし、この部分の痛みは、デスクワークやスマホ操作で背中が丸まった姿勢を続けることで、これらの筋肉が、まるで引き伸ばされたゴムのように、常に引き伸ばされ続けて緊張している状態なのです。

伸ばされ続けた筋肉は、血行が悪くなり、酸素や栄養が届かずに酸欠状態に陥ります。これが、重だるさや鈍い痛みを引き起こすのです。

痛いからといって、この部分をさらに伸ばすようなストレッチをすると、引き伸ばされているゴムをさらに引っ張るようなもので、かえって症状を悪化させてしまうことさえあります。

背中の筋肉を伸ばし続ける、2つの主な要因


では、なぜ背中の筋肉が常に引き伸ばされるような状況に陥ってしまうのでしょうか。

その要因は、体の「前側」と、それに伴う「土台」の動きの悪さにあります。

1.前からの強い引力!「胸の筋肉の縮こまり」と「猫背姿勢」


これが、肩甲骨の間の筋肉を引き伸ばしている、最も直接的な要因です。

私たちの日常生活は、パソコン、スマホ、料理、運転など、体の前で腕を使う作業がほとんどです。

このような姿勢を長時間続けると、体の前側にある胸の筋肉(大胸筋など)が縮こまり、硬くなっていきます。

硬く縮んだ胸の筋肉は、肩を前方・内側へと強く引っ張り、肩甲骨を背骨から引き離すように外側へとスライドさせてしまいます。

その結果、背中側にある菱形筋などは、その引っ張る力に抵抗するように、常に引き伸ばされ続けることになるのです。

つまり、あなたが意識していなくても、体の前側が縮こまっている限り、背中の筋肉は24時間、綱引きで負け続けているような状態なのです。

2.呼吸を浅くする「肋骨の動きの悪さ」


肩甲骨は、肋骨(ろっこつ)という「かご」の上に乗っている骨です。

そのため、肋骨の動きが悪くなると、肩甲骨の動きも著しく制限されます。

本来、私たちが呼吸をするたびに、肋骨は肺の動きに合わせて、風船のように広がったり閉じたりを繰り返しています。

しかし、猫背姿勢が続くと、胸周りの筋肉が硬くなり、この肋骨一つひとつの動きが失われ、まるで錆びついた鳥かごのようになってしまいます。

肋骨の動きが悪くなると、深い呼吸ができなくなり、呼吸が浅くなります。

浅い呼吸は、体の緊張を招くだけでなく、肩甲骨周りの筋肉の血行不良をさらに悪化させます。

また、土台である肋骨が動かないため、その上で働くべき菱形筋などもスムーズに機能できなくなり、疲労が蓄積しやすくなるのです。

「縮めて動かす」が鍵!根本改善セルフケア


この痛みを改善するには、「伸ばす」のではなく、「縮める」意識と、固まった土台を「動かす」意識が重要です。

1.引き伸ばされた筋肉を「縮める」運動!肩甲骨寄せエクササイズ


弱ってうまく使えなくなっている菱形筋などを、意識的に縮めてあげることで、筋肉を正しい状態に再教育します。

1.椅子に座るか、楽な姿勢で立ち、背筋を伸ばします。
2.両肘を90度に曲げ、肩の高さまで上げます。
3.ゆっくりと息を吐きながら、左右の肩甲骨を背骨の中央に引き寄せていきます。胸を張るイメージです。
4.肩甲骨の間に、クルミを挟んで割るようなイメージで、5秒間キープします。
5.ゆっくりと力を抜き、これを10回ほど繰り返します。
※肩をすくめないように注意しましょう。

2.錆びついた肋骨を動かす「胸式呼吸ストレッチ」


硬くなった肋骨周りを意識的に動かし、深い呼吸を取り戻します。

1.楽なあぐら、もしくは椅子に座り、姿勢を正します。
2.両手を、左右の肋骨(脇腹の少し上あたり)に優しく当てます。
3.まず、口からゆっくりと息を吐ききります。
4.次に、鼻からゆっくりと息を吸いながら、手に当てた肋骨が、左右に大きく広がっていくのを感じます。
5.そして、口からゆっくりと息を吐きながら、広がった肋骨がゆっくりと閉じていくのを感じます。
6.この呼吸を、10回ほどゆっくりと繰り返しましょう。

まとめ:背中の痛みは「前後のアンバランス」を知らせるサイン


さて、今回は「揉んでも届かない『肩甲骨の間の痛み』、本当の原因は【背中側の筋肉の伸ばされすぎ】と【肋骨の動きの悪さ】にあった!」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?

長年あなたを悩ませてきた背中の重い痛みが、単にその部分がこっているのではなく、猫背姿勢によって「背中側が伸ばされすぎ」、それを支える「肋骨の動きが悪くなった」結果であることを、ご理解いただけたかと思います。

その痛みは、あなたの体が「体の前後のバランスが崩れていますよ!」「呼吸が浅くなっていますよ!」と教えてくれている、重要なサインなのです。

では、今日のポイントをまとめます。

  • 肩甲骨の間の痛みの多くは、筋肉が縮んでこっているのではなく、猫背姿勢によって常に「引き伸ばされ続けて」発生している。
  • その直接的な要因は、体の前側にある「胸の筋肉の縮こまり」であり、これが肩甲骨を外側へと引っ張り続けてしまう。
  • 猫背は「肋骨の動き」も硬くさせ、呼吸を浅くし、血行不良や筋肉の機能低下をさらに助長する。
  • 改善には、痛い部分を伸ばすのではなく、肩甲骨を寄せて「縮める」運動と、肋骨を意識した深い呼吸で「土台を動かす」ケアが不可欠である。


私たちの体は、とても正直です。

痛む場所だけに目を向けるのではなく、なぜそこに負担がかかってしまうのか、という体全体のバランスに目を向けることが、根本的な改善への一番の近道です。

まずは今日ご紹介したケアで、ご自身の背中を優しく「縮め」、そして深い呼吸で体を内側から動かしてあげることから始めてみてください。

その小さな変化が、背中の重りから解放されるための、大きな一歩となるはずです。

こころ鍼灸整骨院

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東角剛司
専門家

東角剛司(柔道整復師・はり師・きゅう師)

こころ鍼灸整骨院

構造医学の視点から、個々の体の動かし方に合わせて骨格を整えます。肩や腰などの慢性的な痛みに向き合い、整骨院に通わずに済む健康な体づくりをサポート。実務者向けのセミナーも開催しています。

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