【四十肩・五十肩の夜間痛】眠れないほどの痛みを和らげる対処法

東角剛司

東角剛司

テーマ:身体の痛み・不調

みなさん、こんにちは!
こころ鍼灸整骨院の東角です。

「夜、寝ていると、肩の激痛で目が覚めてしまう…」

「寝返りを打った瞬間に、肩にズキッと痛みが走る…」

「痛くて眠れないせいで、日中も疲れが取れなくてつらい…」

そんな、「四十肩・五十肩」による、夜間のつらい痛み(夜間痛:やかんつう)に悩まされていませんか?

四十肩・五十肩は、その名の通り40代~50代に多く見られる肩の痛みや動きの制限を伴う疾患ですが、その中でも特に患者さんを苦しめるのが、この「夜間痛」です。

日中の活動でさえつらいのに、唯一リラックスできるはずの睡眠時間まで痛みに妨げられてしまうのは、本当につらいですよね。

今回は、そんな「四十肩・五十肩の夜間痛」がなぜ起こるのか、そのメカニズムと、眠れないほどのつらい痛みを少しでも和らげるための具体的な対処法について、みなさんと一緒に詳しく見ていきたいと思います。

そもそも「四十肩・五十肩」ってどんな状態?

まず、「四十肩・五十肩」について、簡単におさらいしておきましょう。

医学的には「肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)」と呼ばれます。

これは、肩関節の周りにある、筋肉、腱、靭帯、関節包(関節を包む袋)といった組織が、加齢などによって炎症を起こし、痛みや動きの制限(拘縮:こうしゅく)が生じる状態のことです。

明確な原因がなく、40代~50代で発症することが多いため、一般的に「四十肩・五十肩」と呼ばれています。(40代で起これば四十肩、50代で起これば五十肩、というだけで、基本的には同じものです)

症状は、一般的に3つの時期に分けられます。

1.炎症期(急性期)

発症から数週間~数ヶ月。

炎症が最も強い時期で、安静にしていても痛む(自発痛)、そして特に夜間に痛みが強くなる(夜間痛)のが特徴
です。

この時期は、無理に動かすと炎症を悪化させてしまうため、安静が基本となります。

[中見見出し]2.拘縮期(慢性期)[/中見出し]
炎症は少し落ち着いてきますが、関節が硬くなり、動きが著しく制限される時期。

「髪をとかす」「服を着替える」「背中に手を回す」といった、日常生活の何気ない動作が困難になります。

この時期からは、痛みのない範囲で、少しずつ動かしていくリハビリが重要になります。

3.回復期

痛みや関節の動きが、徐々に改善していく時期。

完全に元通りになるまでには、半年~1年以上、人によっては数年かかることもあります。

なぜ夜に痛むの?「夜間痛」が起こる3つの理由

では、なぜ四十肩・五十肩は、夜になると特に痛みが強くなるのでしょうか?

その背景には、いくつかの理由が考えられています。

1.炎症物質の蓄積と血行不良

日中、私たちは腕を動かすことで、肩周りの筋肉がポンプのように働き、血液やリンパ液の循環を促しています。

しかし、夜、寝ている間は、腕をほとんど動かさないため、このポンプ作用が働きません。

すると、炎症が起きている肩関節の周りに、痛みを発する炎症性物質(プロスタグランジンなど)や、疲労物質が溜まりやすくなります。

また、血行が悪くなることで、筋肉への酸素供給も減少し、筋肉が硬直しやすくなることも、痛みを増強させる一因となります。

2.肩への「圧迫」と「牽引」

寝ている時の姿勢も、夜間痛に大きく影響します。

肩への圧迫:
痛い方の肩を下にして横向きに寝てしまうと、体重で炎症部分が直接圧迫され、強い痛みが生じます。


肩への牽引(けんいん):
仰向けに寝ている時、腕の重みで、肩関節が下に(ベッドの方向に)引っ張られます。
炎症を起こして敏感になっている関節包や靭帯が、この腕の重みでわずかに引き伸ばされる(牽引される)だけで、激痛が走ることがあるのです。

3.「冷え」による血行悪化と筋肉の硬直

就寝中は体温が下がりやすく、特に夏場のクーラーや、冬場の寝室の寒さなどで肩が冷えてしまうと、血管が収縮し、血行がさらに悪化します。
血行が悪くなると、筋肉が硬くなり、痛みを感じやすくなります。
また、痛みを発する物質も溜まりやすくなるため、夜間痛を悪化させる大きな要因となります。

これらの要因が複合的に絡み合い、眠りを妨げるほどのつらい夜間痛を引き起こしているのです。

眠れないほどの痛みを和らげる!今日からできる「夜間痛」対処法

つらい夜間痛を少しでも和らげ、朝までぐっすり眠るために、ご自宅でできる効果的な対処法をご紹介します。

1.「寝る姿勢」を工夫する(クッション・タオルの活用)

夜間痛対策で、最も重要で効果的なのが「寝る姿勢の工夫」です。
ポイントは、炎症を起こしている肩関節を、最もリラックスできる「安静位」に保ってあげることです。


仰向けで寝る場合:
痛い方の腕の下に、折りたたんだバスタオルやクッションを数枚重ねて置き、腕全体を少し高くしてあげましょう。
これにより、腕の重みで肩関節が下に引っ張られるのを防ぎ、痛みが和らぎます。
肘が少し曲がり、手のひらがお腹の上に乗るような、リラックスした位置に腕を置くのがポイントです。


横向きで寝る場合:
必ず、痛くない方の肩を下にして寝ます。
そして、痛い方の腕の前に抱き枕やクッションを置き、その上に腕を乗せてあげましょう。
これにより、腕が前にだらりと垂れ下がり、肩の前側が引き伸ばされるのを防ぎ、安定させることができます。

2.「冷やす」か「温める」か?時期による見極め

これは、症状の時期によって対処法が異なります。

炎症期(急性期):ズキズキとした強い痛み、熱感がある場合
「冷やす(アイシング)」のが効果的です。
保冷剤や氷のうをタオルで包み、痛む部分に15分程度当てて冷やしましょう。炎症を抑え、痛みを和らげます。


拘縮期(慢性期):動かすと痛いが、安静時の痛みは和らいできた場合
「温める」のが効果的です。
ぬるめのお風呂にゆっくり浸かったり、蒸しタオルやカイロで肩周りを温めたりすると、血行が良くなり、筋肉の緊張が和らいで痛みが楽になることがあります。

迷った場合は、自分で試してみて「気持ち良い」と感じる方を選ぶのが基本です。

温めて痛みが強くなる場合は、まだ炎症が強い証拠なので、冷やすケアに切り替えましょう。

3.「痛み止めの薬」を上手に活用する

夜間痛で睡眠が妨げられることは、体の回復を遅らせ、精神的にも大きなストレスとなります。

痛みが強い場合は、我慢せずに、医師から処方された痛み止め(内服薬や湿布薬)を、就寝前に使用することも有効な手段です。

薬を上手に使い、まずはしっかりと睡眠時間を確保することが、回復への第一歩となることもあります。

4.日中の「無理のない運動」で血行を促す

夜間に血行が悪くなるのを防ぐためには、日中の過ごし方も大切です。

痛みが強い炎症期は安静が基本ですが、拘縮期に入ったら、痛みのない範囲で、意識的に腕や肩を動かすことが重要です。


振り子運動(コッドマン体操):
痛くない方の手でテーブルなどに手をつき、上半身を前に傾けます。
痛い方の腕は、力を抜いてだらりと下に垂らします。
腕の力ではなく、体の反動を使って、腕を前後、左右、そして円を描くように小さく優しく揺らします。

これにより、関節の癒着を防ぎ、血行を促進します。


ウォーキング:
腕をリズミカルに振って歩くことで、肩周りの血行が良くなります。

まとめ:夜間痛は「炎症のサイン」。正しい対処で質の高い睡眠を

さて、今回は「【四十肩・五十肩の夜間痛】眠れないほどの痛みを和らげる対処法」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?

夜間に痛みが強くなるのには、明確な理由があり、そして、その痛みを和らげるための具体的な工夫があることをご理解いただけたかと思います。

つらい夜間痛は、ただ我慢するのではなく、積極的に対処していくことが、早期回復への鍵となります。

では、今日のポイントをまとめます。

  • 四十肩・五十肩の夜間痛は、炎症期(急性期)に特に強く現れる症状であり、その主な原因は、就寝中の血行不良による炎症物質の蓄積、寝姿勢による肩への圧迫・牽引、そして体の冷えである。
  • 夜間痛を和らげる最も効果的な対処法は、クッションやタオルを活用して寝姿勢を工夫し、肩関節を安静な位置に保つこと。仰向けでは腕の下に、横向きでは腕の前にクッションを置く。
  • 炎症が強くズキズキ痛む急性期は「冷やす」、痛みが落ち着いてきた慢性期は「温める」のが基本。迷ったら気持ち良い方を選ぶ。
  • 痛みが強い場合は、我慢せずに医師に処方された痛み止めを使い、まずは睡眠を確保することも大切。
  • 拘縮期に入ったら、日中に振り子運動やウォーキングなど、痛みのない範囲での軽い運動で血行を促すことも、夜間痛の予防に繋がる。


四十肩・五十肩は、時間が経てば自然と治ると言われることもありますが、適切なケアを行わなければ、痛みが長引いたり、肩の動きが元に戻らなかったりすることもあります。

特に、夜間痛で睡眠が妨げられている状態は、体の回復力を著しく低下させてしまいます。

もし、あなたがセルフケアだけでは改善しないつらい夜間痛にお悩みでしたら、体の歪みを整え、筋肉の緊張を和らげ、血行を促進することで、その回復をサポートすることが可能です。

一人で悩まず、質の高い睡眠を取り戻し、一日でも早く快適な毎日を送れるようにしましょう。

こころ鍼灸整骨院

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東角剛司
専門家

東角剛司(柔道整復師・はり師・きゅう師)

こころ鍼灸整骨院

構造医学の視点から、個々の体の動かし方に合わせて骨格を整えます。肩や腰などの慢性的な痛みに向き合い、整骨院に通わずに済む健康な体づくりをサポート。実務者向けのセミナーも開催しています。

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