【マタニティ整体】妊娠中の腰痛・股関節痛、安全なケアと注意点
みなさん、こんにちは!
こころ鍼灸整骨院の東角です。
出産という大仕事を終え、愛しい赤ちゃんとの新しい生活が始まったママさんたち。
喜びもひとしおだと思いますが、同時に、
「赤ちゃんを抱っこする時に、手首に激痛が走る…」
「哺乳瓶を持ったり、おむつを替えたりするだけで、手首がズキズキ痛む…」
「朝起きると、手がこわばって動かしにくい…」
そんな、産後の「手首の痛み」に悩まされていませんか?
「育児で手を使いすぎているだけだろう」「そのうち治るはず」と、痛みを我慢しながら毎日必死に育児を頑張っているママさんも多いかもしれません。
しかし、そのつらい手首の痛み、もしかしたら「腱鞘炎(けんしょうえん)」かもしれません。
そして、産後の腱鞘炎は、単なる「手の使いすぎ」だけでなく、産後特有のホルモンバランスの変化や、体の歪みといった、複合的な原因によって引き起こされていることが多いのです。
今回は、そんな多くのママさんを悩ませる「産後の腱鞘炎」がなぜ起こるのか、その原因と、痛みを和らげるためのセルフケア、そして悪化させないための注意点について、みなさんと一緒に詳しく見ていきたいと思います。
「産後の腱鞘炎」ってどんな状態?ドケルバン病とは
まず、「腱鞘炎」とは、どのような状態を指すのでしょうか?
私たちの手首や指には、「腱(けん)」という、筋肉と骨をつなぐ強靭なヒモのような組織があります。そして、この腱がスムーズに動くように、トンネルのように包んでいるのが「腱鞘(けんしょう)」です。
腱鞘炎とは、この腱と腱鞘が、使いすぎなどによって擦れ合い、炎症を起こして痛みや腫れが生じる状態のことです。
産後のママさんに特に多く見られるのが、「ドケルバン病(de Quervain病)」と呼ばれる、手首の親指側で起こる腱鞘炎です。
これは、親指を伸ばしたり広げたりする働きを持つ2本の腱(短母指伸筋腱、長母指外転筋腱)と、それらを包む腱鞘が炎症を起こすことで発症します。
痛みの場所と特徴
手首の親指側の付け根あたりに、痛みや腫れが生じます。
物をつかんだり、タオルを絞ったり、ビンの蓋を開けたりといった、手首や親指を使う動作で痛みが強くなります。
ひどくなると、何もしていなくてもズキズキと痛んだり、痛みが前腕にまで広がったりすることもあります。
簡単なセルフチェック法(フィンケルシュタインテスト)
ご自身の痛みがドケルバン病の可能性があるか、簡単なセルフチェックで確認できます。
痛い方の手の親指を、他の4本の指で握り込み、こぶしを作ります。
その状態のまま、手首をゆっくりと小指側に曲げていきます。
この時に、手首の親指側に鋭い痛みや、痛みが強くなる場合は、ドケルバン病の可能性が高いと考えられます。
※痛みが強い場合は、無理に行わないでください。
なぜ産後は「腱鞘炎」になりやすいの?3つの大きな原因
では、なぜ出産後のママさんは、これほどまでに腱鞘炎になりやすいのでしょうか?
その背景には、産後の体ならではの、3つの大きな原因が関わっています。
1.ホルモンバランスの急激な変化
妊娠中、関節を緩める働きのある「リラキシン」や、女性ホルモンである「プロゲステロン」が多く分泌されます。
プロゲステロンには、腱鞘を収縮させ、腱の動きを悪くする作用があると言われています。
そして、出産を終えると、これらのホルモンバランスが急激に変化します。このホルモンの変動が、腱や腱鞘に影響を与え、炎症を起こしやすい状態を作ってしまうのです。
更年期や月経周期で手首の不調を感じる方がいるのも、このホルモンバランスが関係しています。
2.育児による「手の使いすぎ(オーバーユース)」
これが、最も直接的な原因です。
生まれたばかりの赤ちゃんのお世話は、24時間休みなし。
ママの手首や親指には、これまで経験したことのないような負担がかかり続けます。
長時間の抱っこ:
赤ちゃんの頭を支える際、親指を広げて手首を不自然な角度に曲げたまま、長時間キープすることが多い。
授乳:
授乳クッションを使わずに、手で赤ちゃんの頭を支え続ける。
おむつ替え、沐浴、着替えなど:
細かく、そして繰り返し手首や指を使う動作が多い。
これらの動作が、毎日、何十回と繰り返されることで、手首の腱や腱鞘に微細な損傷が蓄積し、腱鞘炎を発症してしまうのです。
3.体の歪みと「手首に頼る」体の使い方
これは私たち整体師・鍼灸師が特に注目するポイントですが、産後の体の歪みが、結果として手首への負担を増大させているケースが非常に多いのです。
出産によって骨盤は大きく開き、緩んでいます。また、妊娠中からの姿勢の変化や、育児による前かがみの姿勢などにより、
- 骨盤の歪み
- 猫背、巻き肩
- ストレートネック
といった、全身のバランスの乱れが生じやすくなっています。
体の土台である骨盤や、柱である背骨が不安定だと、体幹(体の胴体部分)の筋肉がうまく使えません。
すると、赤ちゃんを抱っこする際などに、本来であれば体全体で支えるべき重さを、腕や手先だけの力に頼ってしまいがちになります。
この「手首に頼る体の使い方」が、腱鞘炎のリスクをさらに高めてしまうのです。
痛みを悪化させない!今日からできる「産後腱鞘炎」のセルフケア
つらい手首の痛みを少しでも和らげ、悪化を防ぐために、日常生活でできるセルフケアをご紹介します。
1.まずは「安静」と「アイシング」(急性期)
痛みや熱感、腫れが強い時は、まず「安静」が第一です。
できるだけ痛みの出る動作を避け、手首を使わないように工夫しましょう。
そして、痛む部分を15分程度「アイシング(冷却)」します。
ビニール袋に氷と少量の水を入れ、タオルで包んだものを当てると、炎症を抑え、痛みを和らげる効果が期待できます。
2.サポーターやテーピングで手首を保護する
親指と手首の動きを適度に制限するサポーターやテーピングは、痛みの軽減と、悪化の予防に非常に効果的です。
ドラッグストアなどで市販されている、親指に引っ掛けるタイプの手首用サポーターなどが手軽でおすすめです。
ただし、締め付けすぎると血行不良の原因になるため、注意しましょう。
[中見見出し]3.「抱っこの仕方」や「授乳姿勢」を見直す[/中見出し]
痛みの原因となる動作そのものを見直すことが、根本的な改善への近道です。
抱っこ:
赤ちゃんの頭を支える際は、親指を立ててL字に支えるのではなく、指をそろえて、手のひら全体で支えるように意識しましょう。
スリングや抱っこ紐を上手に活用し、手首への負担を減らすことも大切です。
授乳:
授乳クッションや、丸めたバスタオルなどを活用し、腕や手首の力だけで赤ちゃんを支えないように工夫しましょう。
4.体の使い方を意識し、手首への負担を減らす
赤ちゃんを抱き上げる際、手首だけで「よいしょ」と持ち上げるのではなく、体全体を赤ちゃんに近づけ、膝を曲げて腰を落とし、体幹を使って立ち上がるように意識しましょう。
これは、腰痛予防にも繋がります。
5.痛みのない範囲での「ストレッチ」(慢性期)
痛みが少し落ち着いてきたら、硬くなった前腕の筋肉を優しく伸ばしましょう。
痛くない方の手で、痛い方の手の指先を持ちます。
肘を伸ばしたまま、ゆっくりと手首を手のひら側に曲げたり、逆に手の甲側に反らせたりして、前腕の筋肉を伸ばします。
痛みが出る場合は無理せず、気持ちの良い範囲で行いましょう。
まとめ:産後の手首の痛みは「ママ頑張りの証」。でも我慢しないで!
さて、今回は「【産後の悩み】腱鞘炎・手首の痛み、原因とセルフケア」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?
産後の手首の痛みは、ホルモンバランスの変化と、慣れない育児による手の酷使、そして産後の体の歪みが複雑に絡み合って起こる、多くのママさんが経験するつらい症状であることをご理解いただけたかと思います。
それは、まさに「ママが頑張っている証」でもあります。しかし、だからといって我慢する必要は全くありません。
では、今日のポイントをまとめます。
- 産後に多い手首の痛みは、親指側の腱鞘炎「ドケルバン病」であることが多い。
- 主な原因は、ホルモンバランスの急激な変化、育児による手の使いすぎ(オーバーユース)、そして産後の体の歪み(骨盤の歪み、不良姿勢)である。
- 体の歪みがあると、体幹がうまく使えず、腕や手先だけの力に頼りがちになり、手首への負担が増大する。
- セルフケアとして、急性期は安静とアイシング、サポーターやテーピングでの保護が有効。また、抱っこの仕方や授乳姿勢を見直し、手首に負担のかからない体の使い方を意識することが重要である。
- 痛みが落ち着いてきたら、前腕のストレッチを行うのも良いが、無理は禁物。
産後のママさんの体は、交通事故に遭ったのと同じくらいのダメージを受けている、とも言われます。
そのような状態で、24時間休みなしの育児が始まるのですから、体に不調が出るのは当然のこと。
どうか、「私が我慢すれば…」と一人で抱え込まず、周りの家族やパートナーに助けを求め、そして私たちのような体の専門家を頼ってください。
体の歪みを整え、正しい体の使い方を身につけることは、手首の痛みだけでなく、産後の腰痛や肩こり、体型崩れの改善にも繋がります。
こころ鍼灸整骨院



