【デスクワーカー必見】VDT症候群(IT眼症)の予防と対策ストレッチ

東角剛司

東角剛司

テーマ:ストレッチ・運動

みなさん、こんにちは!
こころ鍼灸整骨院の東角です。

「一日中パソコン作業をしていると、夕方には目がショボショボしてかすむ…」

「ひどい肩こりと頭痛に、もう何年も悩まされている…」

「最近、ドライアイがひどくて、目薬が手放せない…」

そんな、パソコンやスマートフォンといったデジタルデバイスを長時間使用することによる、目・体・心の不調に悩まされていませんか?

もし、このような症状に心当たりがあるなら、それはもしかしたら「VDT症候群(ブイディーティーしょうこうぐん)」かもしれません。

VDTとは、「Visual Display Terminal」の略で、パソコンのモニターやスマホの画面などの表示機器を指します。

VDT症候群は、別名「IT眼症(がんしょう)」とも呼ばれ、テクノストレス眼症の一種として、現代のデスクワーカーにとって非常に身近な、しかし見過ごせない健康問題です。

今回は、そんな「VDT症候群」がなぜ起こるのか、そのメカニズムと、つらい症状を予防・改善するための対策や簡単ストレッチについて、みなさんと一緒に詳しく見ていきたいと思います。

VDT症候群ってどんな症状?体からのSOSサインをチェック

VDT症候群の症状は、目だけでなく、体、そして心と、実に様々な形で現れます。

ご自身の状態が当てはまらないか、チェックしてみましょう。

「目」に現れる症状


眼精疲労:
目の疲れ、痛み、しょぼしょぼ感、かすみ、充血。

ドライアイ:
目が乾く、ゴロゴロする、涙が出やすい。

視力低下:
一時的にピントが合いにくくなる、視力が落ちたように感じる。

「体」に現れる症状


首・肩・背中のコリや痛み:
VDT症候群で最も多くの人が訴える症状の一つ。

頭痛:
頭全体が締め付けられるような緊張型頭痛が多い。

腰痛:
長時間の座位姿勢によるもの。

腕や手のしびれ・痛み:
腱鞘炎や、胸郭出口症候群に繋がることも。

めまい、吐き気:
自律神経の乱れによるもの。

「心」に現れる症状

  • イライラ、不安感
  • 気分の落ち込み、抑うつ気分
  • 集中力の低下
  • 睡眠障害(不眠など)

これらの症状が複数、そして慢性的に続いている場合は、VDT症候群の可能性が考えられます。

厚生労働省も、VDT作業における労働衛生管理のためのガイドラインを策定し、事業者に対して対策を促しているほど、社会的な問題となっているのです。(※1)

(※1)参考:厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05822.html

なぜ起こるの?VDT症候群を引き起こす「3つの負担」

では、なぜパソコンやスマホを長時間使うと、これほどまでに多様な不調が起こるのでしょうか?

その背景には、主に3つの「負担」が関わっています。

1.「目」への直接的な負担


まばたきの減少とドライアイ:

私たちは、通常1分間に20回程度まばたきをしていますが、パソコン画面などに集中していると、その回数が1/4程度にまで減ってしまうと言われています。

まばたきが減ると、涙の分泌量が減り、目の表面が乾いてしまう「ドライアイ」を引き起こします。

目の表面が乾くと、角膜が傷つきやすくなったり、光が乱反射して物が見えにくくなったりして、目の疲れを増大させます。


ピント調節筋の酷使:

近くの画面を長時間見続けると、目のピントを調節するための筋肉(毛様体筋)が、ずっと緊張しっぱなしになります。

この筋肉の過緊張が、眼精疲労やかすみ目の大きな原因となります。


ブルーライトの影響:

パソコンやスマホの画面から発せられるブルーライトは、エネルギーが強く、目の奥の網膜まで到達します。

長時間の暴露は、目の疲れやちらつき、さらには睡眠の質を低下させる原因にもなると言われています。

2.「体」への負担(不良姿勢と体の歪み)


VDT作業中の「姿勢」は、目以外の身体症状を引き起こす最大の原因です。

ストレートネックと首・肩への負荷:

パソコン画面を覗き込むように頭を前に突き出す姿勢は、首の自然なカーブを失わせる「ストレートネック」を招きます。

頭の重さは約5~6kgありますが、首が前に傾く角度が大きくなるほど、首や肩にかかる負担は増大し、最大で20kg以上にもなると言われています。

この過剰な負荷が、慢性的な首こり・肩こり、そして緊張型頭痛の直接的な原因となるのです。


猫背・巻き肩と呼吸の浅さ:

前かがみの姿勢は、背中を丸める「猫背」や、肩が内側に入る「巻き肩」を助長します。

この姿勢は、胸郭を圧迫し、呼吸を浅くします。

呼吸が浅いと、体に取り込まれる酸素の量が減少し、疲労感や集中力低下に繋がります。


骨盤の歪みと腰痛:

椅子に浅く腰掛けたり、足を組んだりする悪い座り方は、体の土台である骨盤を歪ませます。

骨盤が歪むと、その上に乗っている背骨全体のバランスが崩れ、腰痛の原因となります。

3.「心」への負担(自律神経の乱れ)


VDT作業は、私たちが思っている以上に、心、つまり「自律神経」にも大きな影響を与えています。

交感神経の持続的な興奮:

仕事のプレッシャーや、画面から次々と入ってくる情報、ブルーライトの刺激などにより、自律神経の活動・緊張モードである「交感神経」が、長時間にわたって優位になります。


リラックスモードへの切り替え不全:

交感神経が優位な状態が続くと、休息・リラックスモードである「副交感神経」への切り替えがうまくできなくなります。


心身の不調:

この自律神経の乱れが、不眠、めまい、吐き気、気分の落ち込みといった、原因不明の様々な心身の不調を引き起こすのです。


VDT症候群は、目、体(姿勢)、心(自律神経)の3つが、互いに悪影響を及ぼし合う「負のスパイラル」によって、症状が複雑化・慢性化していくのです。

今日から実践!VDT症候群を予防・改善する対策とストレッチ

つらいVDT症候群の症状を和らげ、悪化を防ぐためには、作業環境の見直しと、こまめなセルフケアが非常に重要です。

1.作業環境を整える


適切なディスプレイの配置:
画面の上端が、目の高さと同じか、やや下になるように高さを調整します。画面との距離は40cm以上離しましょう。

椅子の調整:
深く腰掛けた時に、足裏全体が床にしっかりとつく高さに調整します。肘の角度は90度以上になるのが理想です。

室内の明るさと画面の明るさ:
室内の明るさに合わせ、画面がまぶしすぎたり、暗すぎたりしないように調整します。画面への照明の映り込み(グレア)を防ぐことも大切です。

ブルーライト対策:
パソコンやスマホのナイトモード(夜間モード)を活用したり、ブルーライトカットのメガネやフィルムを使用したりするのも良いでしょう。

2.作業中の「こまめな休憩」を徹底する

厚生労働省のガイドラインでも、「一連続作業時間が1時間を超えないようにし、作業時間の合間に10~15分の作業休止時間を設ける」ことが推奨されています。

休憩中は、画面から目を離し、遠くの景色を見たり、軽いストレッチを行ったりしましょう。

3.仕事の合間にできる「簡単ストレッチ」

目のストレッチ:

目をギュッと強く閉じ、パッと大きく開きます。これを数回繰り返します。

頭は動かさず、眼球だけを上下、左右、斜め、そしてぐるっと円を描くように動かします。


首・肩のストレッチ:

ゆっくりと首を左右に倒したり、前に倒したりして、首筋を伸ばします。

両手を頭の後ろで組み、胸を開くように、ゆっくりと背中を反らせます。

両手を肩に置き、肘で大きな円を描くように、前回し、後ろ回しにゆっくりと回します。


手首・腕のストレッチ:

片方の腕を前に伸ばし、もう片方の手で指先を持ち、手首を反らせたり、曲げたりして、前腕の筋肉を伸ばします。

4.目と体を「温める」ケア


ホットタオルで目を温める:
蒸しタオルなどで目の周りを温めると、血行が促進され、ピント調節筋の緊張が和らぎ、ドライアイの改善にも繋がります。

入浴で全身を温める:
ぬるめのお風呂にゆっくり浸かることは、全身の血行を促進し、筋肉の緊張を和らげ、自律神経を整えるのに非常に効果的です。

まとめ:VDT症候群は現代病!こまめなケアで心と体を守ろう

さて、今回は「【デスクワーカー必見】VDT症候群(IT眼症)の予防と対策ストレッチ」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?

パソコンやスマホが手放せない現代において、VDT症候群は誰にでも起こりうる非常に身近な健康問題です。

そして、その症状は、目、体、心の3つの側面が複雑に絡み合っていることをご理解いただけたかと思います。

では、今日のポイントをまとめます。

  • VDT症候群は、パソコンやスマホの長時間利用により、目の疲れ・ドライアイ、首肩こり・頭痛・腰痛、そしてイライラや不眠といった、目・体・心の様々な不調を引き起こす状態である。
  • 主な原因として、まばたきの減少やピント調節筋の酷使といった「目への負担」、ストレートネックや猫背といった「不良姿勢による体への負担」、そして交感神経の持続的な興奮による「自律神経の乱れ」という3つの負担が挙げられる。
  • 予防と対策のためには、ディスプレイの配置や椅子の調整といった「作業環境の整備」、1時間に10~15分の「こまめな休憩」、そして目・首・肩・手首の「簡単ストレッチ」を習慣化することが非常に重要。
  • 体を温めること(特に目と全身の入浴)は、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげ、自律神経を整える上で効果的である。


VDT症候群のつらい症状は、日々のちょっとした工夫とセルフケアの積み重ねで、大きく改善する可能性があります。

しかし、体の歪みが強く定着してしまっている場合や、症状が慢性化してしまっている場合は、セルフケアだけでは限界があるかもしれません。

体の構造的な問題を根本から整えることは、VDT症候群の症状緩和だけでなく、再発しにくい体を作るための重要な土台となります。

もし、あなたが長引く不調でお悩みなら、それは体からの「バランスを見直して!」というサインです。

ぜひ、ご自身の体と向き合うきっかけにしてみてください。

こころ鍼灸整骨院

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東角剛司
専門家

東角剛司(柔道整復師・はり師・きゅう師)

こころ鍼灸整骨院

構造医学の視点から、個々の体の動かし方に合わせて骨格を整えます。肩や腰などの慢性的な痛みに向き合い、整骨院に通わずに済む健康な体づくりをサポート。実務者向けのセミナーも開催しています。

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