【夏の冷え性】クーラー病の原因と「温活」セルフケア

みなさん、こんにちは！
こころ鍼灸整骨院の東角です。

「オフィスやお店に入ると、クーラーが効きすぎていて寒い…」

「夏なのに、手足が冷たくて、温かい飲み物が手放せない…」

「なんだか体がだるいし、頭痛や肩こりもひどい。これって夏風邪？」

そんな、夏ならではの「冷え」や、原因不明の体調不良に悩まされていませんか？

もしかしたら、その症状、単なる冷え性や夏風邪ではなく、「クーラー病（冷房病）」かもしれません。

医学的な正式名称ではありませんが、夏の過度な冷房環境によって引き起こされる、自律神経の乱れに起因する様々な体調不良の総称として、広く知られています。

「暑い夏に冷え性の話？」と不思議に思うかもしれませんが、実は夏こそ、私たちの体は「冷え」に対して無防備になりがちで、気づかないうちに深刻なダメージを受けていることがあるのです。

今回は、そんな「クーラー病」がなぜ起こるのか、そのメカニズムと、夏を快適に乗り切るための「温活」セルフケアについて、みなさんと一緒に詳しく見ていきたいと思います。

「クーラー病（冷房病）」ってどんな症状？その正体とは

まず、「クーラー病」とは、具体的にどのような症状が現れるのでしょうか？
その症状は多岐にわたり、人によって様々ですが、代表的なものとしては以下のようなものが挙げられます。

体に出る症状

全身の冷え:
手足の末端が冷たい、お腹や腰回りが冷える。

だるさ・疲労感:
体が重く、常に疲れている感じがする。

肩こり・首こり・腰痛:
血行不良により、筋肉が硬直し、痛みが出やすくなる。

頭痛:
締め付けられるような緊張型頭痛が多い。

むくみ:
特に足がむくみやすい。

胃腸の不調:
食欲不振、消化不良、便秘、下痢など。

婦人科系のトラブル:
生理痛の悪化や生理不順。

心に出る症状

• イライラしやすい
• 気分の落ち込み
• 集中力の低下
• 不眠

これらの症状に加えて、風邪をひきやすい、鼻水やくしゃみが出るといった、アレルギーに似た症状が現れることもあります。

もし、夏になると決まってこのような複数の不調が現れる場合は、クーラー病の可能性を考えてみましょう。

なぜ起こるの？クーラー病を引き起こす「自律神経の乱れ」

では、なぜクーラーの効いた涼しい環境にいるはずなのに、このような様々な体調不良が起こるのでしょうか？

その最大の原因は、「自律神経の乱れ」にあります。

私たちの体には、暑い時には汗をかいて熱を逃がし、寒い時には血管を収縮させて熱を逃がさないようにするといった、体温を一定に保つための素晴らしい「体温調節機能」が備わっています。

この機能をコントロールしているのが、「自律神経」です。

しかし、夏の屋外の厳しい暑さと、クーラーが効いた室内の涼しさとの間に、大きな温度差（一般的に5℃以上）があると、自律神経はこの急激な変化に対応するために大忙しになります。

屋外では「汗をかけ！熱を逃がせ！」と指令を出し、室内に入ると今度は「血管を締めろ！熱を逃がすな！」と指令を出す…この切り替えを何度も繰り返すうちに、自律神経が疲弊し、バランスを崩してしまうのです。

自律神経のバランスが乱れると、体温調節機能そのものがうまく働かなくなります。

その結果、下記のような不調を起こすのです。

血行不良:
本来、体を温めるべき涼しい室内でも、血管の収縮・拡張がうまくコントロールできず、特に手足の末端や、筋肉が硬くなりやすい首・肩・腰などの血行が悪くなります。

発汗異常:
汗をかくべき暑い場所でも、うまく汗をかけなくなり、体内に熱がこもりやすくなります（これは熱中症のリスクにも繋がります）。

ホルモンバランスの乱れ:
自律神経は、女性ホルモンの分泌にも影響を与えるため、生理不順などを引き起こすことも。

免疫力の低下:
体温の低下や自律神経の乱れは、免疫力の低下を招き、夏風邪などをひきやすくなります。

胃腸機能の低下:
消化器官の働きも自律神経によってコントロールされているため、食欲不振や消化不良などを引き起こします。

クーラー病は、単なる「体の冷え」ではなく、急激な温度差が引き起こす「自律神経の失調状態」なのです。

姿勢の悪さが「夏の冷え」を悪化させる！？

そして、このクーラー病の症状をさらに悪化させる、見過ごされがちな要因の一つに「姿勢の悪さ」があります。


1．筋肉の緊張とさらなる血行不良：

猫背や巻き肩、ストレートネックといった不良姿勢は、首や肩、背中の筋肉を常に緊張させます。

体が冷えると筋肉はさらに硬直しやすくなりますが、元々の姿勢が悪いと、この傾向に拍車がかかります。

硬くなった筋肉は、その中を通る血管を圧迫し、血行をさらに悪化させます。

クーラーで体が冷える → 筋肉が硬くなる → 血行が悪くなる → さらに体が冷える…という悪循環に陥ってしまうのです。



2．呼吸の浅さと自律神経への影響：

猫背や巻き肩の姿勢は、胸郭を圧迫し、呼吸を浅くします。

浅い呼吸は、自律神経のバランスを乱し、交感神経を優位にさせやすいです。

体がリラックスモード（副交感神経優位）に切り替わりにくくなるため、疲労が回復しにくかったり、睡眠の質が低下したりして、クーラー病の症状を悪化させる可能性があります。



3．骨盤の歪みと下半身の冷え：

デスクワークなどで足を組む癖や、片足に重心をかけて立つ癖があると、骨盤が歪みやすくなります。

骨盤が歪むと、骨盤内や下半身への血流が悪くなり、足の冷えやむくみ、そして生理痛などの婦人科系のトラブルを助長することがあります。

体の歪みを整えることは、クーラー病になりにくい、温度変化に強い体を作る上で、非常に重要な土台作りとなるのです。

夏こそ「温活」！クーラー病を撃退するセルフケア

つらいクーラー病の症状を和らげ、夏を快適に乗り切るためには、夏こそ意識的に体を温める「温活」が効果的です。


1．「羽織るもの」「巻くもの」を常に携帯する：

カーディガンやストール、レッグウォーマーなどを常に持ち歩き、クーラーが効きすぎている場所では、こまめに体温調節をしましょう。

特に、「首」「手首」「足首」の三首と、お腹、腰回りを冷やさないようにするのがポイントです。



2．シャワーだけで済ませず、「湯船」に浸かる習慣を：

夏はシャワーだけで済ませがちですが、一日の終わりに38～40℃程度のぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、体の芯から温まり、乱れた自律神経を整える効果が期待できます。

リラックス効果のある入浴剤やアロマオイルを活用するのもおすすめです。



3．「温かい食事・飲み物」を意識的に摂る：

冷たいものばかりを摂っていると、内臓から体が冷えてしまいます。

食事に温かいスープや味噌汁を一品加えたり、飲み物も常温や温かいものを選んだりするよう心がけましょう。

生姜やネギ、ニンニク、スパイスといった体を温める食材を、料理に活用するのも良いですね。



4．軽い運動やストレッチで「血行」を促す：

じっとしていると、体は熱を生み出せず、どんどん冷えてしまいます。

デスクワークの合間に:
肩を回したり、足首を回したり、かかとの上げ下ろし運動をしたりして、血行を促しましょう。

ウォーキング:
朝や夕方の涼しい時間帯に、20～30分程度のウォーキングをする習慣は、筋力維持と自律神経の安定に繋がります。

お風呂上がりのストレッチ:
体が温まっている時に、首や肩、股関節周りを中心に、ゆっくりとしたストレッチを行い、筋肉の柔軟性を保ちましょう。

まとめ：夏の不調は「冷え」が原因かも？賢い温活で快適な夏を

さて、今回は「【夏の冷え性】クーラー病の原因と「温活」セルフケア」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか？

夏の様々な不調の裏に、過度な冷房による「自律神経の乱れ」と「体の冷え」が隠れていることをご理解いただけたかと思います。

暑い夏だからこそ、自分の体を冷えから守り、意識的に温める「温活」が、元気に過ごすための鍵となるのです。

では、今日のポイントをまとめます。

• クーラー病（冷房病）は、夏の屋外と室内の激しい温度差により自律神経が乱れ、冷え、だるさ、頭痛、肩こり、胃腸不調など様々な体調不良を引き起こす状態である。
• 最大の原因は、体温調節機能をつかさどる自律神経の疲弊と機能不全であり、血行不良や発汗異常、ホルモンバランスの乱れなどを招く。
• 猫背や骨盤の歪みといった不良姿勢は、筋肉の緊張や血行不良、呼吸の浅さを助長し、クーラー病の症状を悪化させる可能性がある。
• 対策として、羽織るものを活用したこまめな体温調節、湯船に浸かる入浴習慣、温かい食事・飲み物の摂取、軽い運動やストレッチといった、夏こそ意識的に体を温める「温活」が有効である。

私たちの体は、本来、素晴らしい環境適応能力を持っています。しかし、現代の便利すぎる環境が、その能力を少し鈍らせてしまっているのかもしれません。

体の歪みを整え、血行を良くし、自律神経の働きを安定させることは、体が本来持つ「温度変化に対応する力」を取り戻すための土台作りとなります。

もし、あなたが毎年夏のつらい不調に悩んでいるなら、それは体からの「バランスを見直して」というサインです。

ぜひ、ご自身の体と向き合うきっかけにしてみてください。

こころ鍼灸整骨院