夜間頻尿の原因|睡眠の質を低下させる【意外な要因】とは?

東角剛司

東角剛司

テーマ:身体の痛み・不調

みなさん、こんにちは!
こころ鍼灸整骨院の東角です。

「夜中に何度もトイレに起きてしまい、ぐっすり眠れない…」

「トイレが気になって、眠りが浅くなっている気がする…」

「歳のせいだと諦めているけど、日中の眠気もつらい…」

そんな、「夜間頻尿(やかんひんにょう)」のお悩み、抱えていませんか?

夜間頻尿とは、「夜間に排尿のために1回以上起きなければならず、そのことによって困っている状態」と定義されています。(※1)

特に高齢になるにつれて増える症状ですが、若い方でも悩んでいるケースは少なくありません。

「寝る前に水分を控えているのに、どうしてだろう?」

「膀胱が小さくなったのかな?」

そんな風に、原因がよく分からず、ただ我慢している方も多いのではないでしょうか。

もちろん、加齢や泌尿器科系の疾患が原因であることもあります。

しかし、実はその夜間頻尿、思いもよらない「意外な要因」が隠れている可能性があるのです。

今回は、そんなつらい「夜間頻尿」がなぜ起こるのか、その意外な原因と、睡眠の質を取り戻すためのセルフケアについて、みなさんと一緒に詳しく見ていきたいと思います。

(※1)参考:日本泌尿器科学会 夜間頻尿診療ガイドライン
https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/33_yakuhinnyo.pdf

夜間頻尿の主なタイプ|あなたの原因はどれ?

まず、夜間頻尿が起こる主な原因は、大きく4つのタイプに分けられます。

ご自身の状態がどれに近いか、考えてみましょう。

1.夜間多尿(やかんたにょう)

夜間に作られる尿の量が、シンプルに多すぎるタイプです。

1日の総尿量は正常でも、夜間に作られる尿の割合が多くなってしまっている状態を指します。

原因としては、

水分の摂りすぎ(特に夕食後):寝る前に、水やお茶、アルコール、カフェインなどを多く飲む習慣。

抗利尿ホルモンの分泌低下:加齢などにより、夜間の尿量を減らす働きのある「抗利尿ホルモン」の分泌が低下する。

高血圧や心臓・腎臓の病気:高血圧の薬(利尿薬)の影響や、心臓・腎臓の機能低下により、夜間に尿が作られやすくなる。

2.膀胱蓄尿障害(ぼうこうちくにょうしょうがい)

膀胱に十分に尿を溜めておくことができなくなってしまうタイプです。

夜間に作られる尿量は正常でも、少し溜まっただけで強い尿意を感じてしまいます。

原因としては、

過活動膀胱(OAB):膀胱が過敏になり、自分の意思とは関係なく収縮してしまう。

前立腺肥大症(男性):前立腺が大きくなることで、膀胱を刺激したり、尿の出が悪くなって残尿が増えたりする。

骨盤臓器脱(女性):子宮などが下がり、膀胱を圧迫する。

間質性膀胱炎など。

3.睡眠障害

これは意外と見落とされがちな原因です。

「トイレに行きたいから目が覚める」のではなく、「眠りが浅くて目が覚めてしまうから、ついでにトイレに行く」というパターンです。

原因としては、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が挙げられます。

睡眠中に呼吸が止まることで、体は低酸素状態になりますが、その際、心臓への負担を減らすために、利尿を促すホルモン(ANP)が分泌され、尿意で目が覚めやすくなります。

  • むずむず脚症候群
  • 痛み(腰痛、膝痛など)
  • ストレスや不安

などによって、睡眠の質が低下し、夜中に目が覚めやすくなるのです。

4.多尿(1日の総尿量が多い)

日中も含めて、1日の尿量そのものが多すぎるタイプです。

糖尿病や高血圧、水分やカフェインの過剰摂取などが原因として考えられます。

これらのタイプが単独で、あるいは複合的に関わり合って、夜間頻尿を引き起こしているのです。

特に、高齢者の場合は「夜間多尿」と「膀胱蓄尿障害」の両方を合併していることが多いと言われています。

見過ごせない!夜間頻尿を引き起こす「意外な要因」

前述した原因に加えて、私たちの日常生活の中に潜む「意外な要因」が、夜間頻尿を悪化させている可能性があります。

意外な要因1:「夕方以降のむくみ」と「寝ている間の水分移動」

これが、特に立ち仕事の方や、足がむくみやすい方に見られる、非常に重要なメカニズムです。

日中、立っていたり、座りっぱなしだったりすると、重力の影響で体内の余分な水分が下半身(特に足)に溜まり、「むくみ」として現れます。

そして、夜になって横になるとどうなるでしょうか?

下半身に溜まっていた水分が、重力から解放され、血管の中に戻ってきます。

すると、体は「水分が過剰だ」と判断し、それを尿として排出しようとします。その結果、夜間に尿量が増え、トイレに何度も起きてしまうのです。

つまり、日中のむくみを放置していることが、夜間多尿の大きな原因となっているのです。

意外な要因2:「体の冷え」が膀胱を刺激する

体が冷えると、膀胱の筋肉が収縮しやすくなり、過敏な状態になります。

そのため、少ししか尿が溜まっていなくても、強い尿意を感じてしまうのです。

また、体が冷えると、末梢の血管が収縮し、体の中心部に血液が集まります。すると、腎臓への血流量が増え、尿が作られやすくなる、という側面もあります。

特に、寝ている間に足元が冷えやすい方は要注意です。

意外な要因3:「体の歪み」が膀胱機能や自律神経に影響

これは私たち整体師・鍼灸師が特に注目するポイントです。

骨盤の歪みや、背骨の歪みといった体の構造的な問題が、間接的に夜間頻尿の原因となっている可能性があります。


①骨盤の歪みと骨盤底筋の機能低下:

体の土台である骨盤が歪んでいると、その底で膀胱や子宮などを支えている「骨盤底筋」という筋肉群がうまく機能しにくくなります。

骨盤底筋が弱ると、膀胱をしっかりと支えられなくなったり、尿道を締める力が弱くなったりして、頻尿や尿もれの原因となることがあります。


②背骨の歪みと自律神経の乱れ:

膀胱の働きは、「自律神経」によってコントロールされています。尿を溜めている時は交感神経が働き、排尿する時は副交感神経が働きます。

猫背や反り腰などで背骨が歪んでいると、この自律神経のバランスが乱れやすくなり、膀胱のコントロールがうまくいかなくなることがあります。

睡眠の質を取り戻す!今日からできるセルフケア

つらい夜間頻尿を改善し、朝までぐっすり眠るために、今日からできるセルフケアをご紹介します。

1.水分摂取の「時間」と「種類」を見直す:

①水分は日中にしっかり摂る:

1日の水分摂取量は減らさずに、飲む時間帯を工夫しましょう。
水分は、午前中から夕方にかけて、こまめに摂るようにし、夕食後から就寝前にかけては、大量に飲むのを控えます。


②利尿作用のある飲み物を避ける:

寝る前のアルコール、コーヒー、紅茶、緑茶といったカフェイン飲料は、利尿作用があるため避けましょう。



2.「日中のむくみ」をその日のうちに解消する:

夜間多尿を防ぐ上で、非常に効果的です。

①夕方のウォーキング:

夕方に30分程度のウォーキングを行うと、ふくらはぎの筋ポンプ作用が働き、足に溜まった水分を心臓に戻す助けになります。


②弾性ストッキングの着用:

日中、適度な圧のかかる弾性ストッキングを履くことで、足に水分が溜まるのを防ぎます。


③入浴とストレッチ:

ぬるめのお風呂にゆっくり浸かり、血行を促進しましょう。お風呂上がりには、ふくらはぎや足首のストレッチを行うと、さらに効果的です。


④足上げ:

就寝前に、クッションなどで足を心臓より少し高くして、15分~30分程度リラックスする時間を作りましょう。



3.「体を温める」習慣を意識する:

特に下半身を冷やさないように工夫しましょう。

  • 腹巻やレッグウォーマー、厚手の靴下などを活用する。
  • 体を温める食材(生姜、根菜類など)を食事に取り入れる。
  • 適度な運動で筋肉量を維持し、熱産生を高める。




4.「骨盤底筋トレーニング」で膀胱コントロール力を高める:

骨盤底筋を鍛えることで、尿道を締める力が強まり、頻尿や尿もれの改善が期待できます。

仰向けに寝て膝を立てるか、椅子に座ります。

「おしっこを我慢する時」のように、膣や肛門をキュッと締める感覚で力を入れます。

数秒間締めたら、ゆっくりと力を抜いて緩めます。

これを10回程度繰り返します。お腹やお尻に余計な力が入らないように注意しましょう。

まとめ:夜間頻尿は歳のせいと諦めない!原因を見つけて質の高い睡眠を

さて、今回は「夜間頻尿の原因|睡眠の質を低下させる【意外な要因】とは」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?

夜中に何度もトイレに起きるというつらい症状が、単なる加齢現象だけでなく、日中のむくみや体の冷え、そして体の歪みといった、様々な要因と深く関わっていることをご理解いただけたかと思います。

原因が分かれば、対策も見えてきます。決して諦める必要はないのです。

では、今日のポイントをまとめます。

  • 夜間頻尿の原因は、「夜間多尿」「膀胱蓄尿障害」「睡眠障害」「多尿」の4つのタイプに大別され、複合的に関わっていることが多い。
  • 意外な要因として、日中の「むくみ」が夜間の水分移動を引き起こすこと、「体の冷え」が膀胱を刺激すること、そして「体の歪み」が膀胱機能や自律神経に影響を与えることが挙げられる。
  • セルフケアとして、水分摂取の時間と種類を見直すこと、夕方のウォーキングや足上げで日中のむくみを解消すること、体を温める習慣、そして骨盤底筋トレーニングが有効である。
  • 特に、睡眠時無呼吸症候群や心臓・腎臓の病気、前立腺肥大症などが隠れている可能性もあるため、症状が続く場合は、泌尿器科などの医療機関を受診することが重要である。


夜間頻尿は、睡眠の質を著しく低下させ、日中の活動意欲やQOL(生活の質)にも大きな影響を及ぼします。

体の構造的なバランスを整え、血行を改善し、自律神経の働きを安定させることは、薬物療法とは異なる視点から、このつらい症状を緩和するための有効なアプローチとなり得ます。

もしあなたが夜間頻尿でお悩みなら、それは体からの「バランスが崩れているよ」というサインかもしれません。

ぜひ一度、ご自身の体全体の状態を見つめ直してみてはいかがでしょうか。

こころ鍼灸整骨院

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東角剛司
専門家

東角剛司(柔道整復師・はり師・きゅう師)

こころ鍼灸整骨院

構造医学の視点から、個々の体の動かし方に合わせて骨格を整えます。肩や腰などの慢性的な痛みに向き合い、整骨院に通わずに済む健康な体づくりをサポート。実務者向けのセミナーも開催しています。

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