高血圧と姿勢の関係|【首こり・肩こり】が血圧に与える影響

東角剛司

東角剛司

テーマ:身体の痛み・不調

みなさん、こんにちは!
こころ鍼灸整骨院の東角です。

「健康診断で、血圧が高めだと指摘された…」

「特に自覚症状はないけど、将来のことが心配…」

「降圧剤(血圧を下げる薬)を飲んでいるけど、できれば薬だけに頼りたくない…」

そんな、「高血圧」に関するお悩みや不安を抱えている方、非常に多いのではないでしょうか?

高血圧は、日本人の成人のうち約3人に1人が該当するとも言われる、まさに「国民病」の一つです。

高血圧の対策というと、多くの方が「減塩」「適度な運動」「体重管理」といった生活習慣の改善を思い浮かべますよね。

もちろん、これらは高血圧対策の基本であり、非常に重要です。

しかし、実はそれ以外にも、見過ごされがちな「あること」が、あなたの血圧に悪影響を及ぼしている可能性があるとしたら、どうでしょうか?

その「あること」とは、「姿勢の悪さ」、特に「首こり」や「肩こり」なのです。

「え?肩こりと血圧って関係あるの?」と驚かれるかもしれません。

今回は、そんな「高血圧」と「姿勢」の意外な関係、そして、首こり・肩こりを改善することが、いかに血圧の安定に繋がるのか、そのメカニズムと私たち専門家ができるサポートについて、みなさんと一緒に詳しく見ていきたいと思います。

そもそも「高血圧」ってどんな状態?なぜ危険なの?

まず、「高血圧」とは、どのような状態を指すのか、簡単におさらいしておきましょう。

高血圧とは、安静にしている状態での血圧が、慢性的に正常値よりも高い状態のこと。

血圧とは、心臓から送り出された血液が、血管の壁を押す圧力のこと。この圧力が常に高い状態が続くと、血管に大きな負担がかかり続けます。

日本の高血圧の診断基準(2019年高血圧治療ガイドライン)では、

収縮期血圧(上の血圧):140mmHg以上

拡張期血圧(下の血圧):90mmHg以上

のいずれか、または両方を満たす場合に、高血圧と診断されます。

なぜ高血圧は危険なの?

高血圧の最も怖いところは、自覚症状がほとんどないまま進行し、気づかないうちに血管を傷つけ、動脈硬化を進行させてしまう点です。

そのため、「サイレント・キラー(静かなる殺人者)」とも呼ばれています。

動脈硬化が進行すると、脳卒中(脳梗塞、脳出血など)や心筋梗塞、狭心症、腎不全といった、命に関わる重大な病気を引き起こすリスクが格段に高まるのです。

だからこそ、自覚症状がなくても、血圧が高いと指摘されたら、放置せずに適切な対策をとることが非常に重要なのです。

なぜ姿勢が悪いと血圧が上がるの?【首こり・肩こり】との密接な関係

では、なぜ「姿勢の悪さ」や「首こり・肩こり」が、血圧に影響を与えるのでしょうか?

そのメカニズムには、主に「自律神経の乱れ」と「血流の悪化」が深く関わっています。


1.不良姿勢による「自律神経の乱れ」が血圧を上げる!

私たちの血圧は、自律神経によって常にコントロールされています。

活動・緊張モードの「交感神経」が優位になると血管が収縮して血圧は上がり、休息・リラックスモードの「副交顔神経」が優位になると血管が拡張して血圧は下がります。

しかし、猫背や巻き肩、ストレートネックといった不良姿勢が習慣化すると、どうなるでしょうか?

①筋肉の持続的な緊張:

歪んだ体を支えるために、首や肩、背中の筋肉が常に緊張した状態になります。

この筋肉の緊張は、体にとっては「ストレス」であり、交感神経を優位にさせます。


②呼吸の浅さ:

猫背や巻き肩になると、胸郭が圧迫され、呼吸が浅くなります。

浅い呼吸もまた、交感神経を刺激し、体を緊張状態にしてしまいます。


このように、不良姿勢は、自律神経のバランスを「交感神経優位」の状態に傾けてしまうのです。

交感神経が常に優位な状態が続くと、血管は収縮しがちになり、結果として血圧が高い状態で維持されやすくなってしまうのです。



2.【首こり・肩こり】による「血行不良」が血圧を上げる!

首や肩の周りには、脳へと血液を送るための非常に重要な血管(頸動脈、椎骨動脈など)が通っています。

デスクワークやスマホ操作などで、首こりや肩こりが慢性化し、首肩周りの筋肉がガチガチに硬くなると、どうなるでしょうか?

硬くなった筋肉が、その周りを通っている血管を圧迫し、血流を悪くしてしまいます。

すると、脳は「酸素や栄養が足りない!」というSOSサインを出し、心臓に対して「もっと強く血液を送れ!」と指令を出します。

その結果、心臓はより強い力で血液を送り出そうとし、血圧が上昇してしまうのです。

また、首の骨(頸椎)の歪みも、その横を通る椎骨動脈の血流に影響を与え、血圧の変動に関与する可能性があります。

つまり、「姿勢が悪い → 首・肩が凝る → 血行が悪くなる → 脳が血圧を上げるように指令する → 高血圧に…」という悪循環が生まれてしまうのです。

あなたの姿勢は大丈夫?高血圧リスクを高める「NG習慣」

ご自身の日常生活の中に、高血圧のリスクを高めるような「NG習慣」が潜んでいないか、チェックしてみましょう。

□ デスクワークや車の運転など、長時間座りっぱなしのことが多い。

□ スマートフォンを長時間、うつむいた姿勢で見ている。

□ 椅子に座る時、足を組んだり、浅く腰掛けて背もたれに寄りかかったりする癖がある。

□ 猫背や巻き肩を自覚している、または人から指摘されたことがある。

□ 運動不足で、体を動かす機会が少ない。

□ ストレスを感じることが多く、常に体に力が入っている感じがする。

□ 寝ても疲れが取れず、首や肩が凝っていることが多い。

□ 枕の高さが合っていない気がする。

これらの項目に複数当てはまる方は、食事や運動だけでなく、「姿勢」という観点からも、高血圧対策に取り組む必要があるかもしれません。

血圧安定の鍵は「首・肩」にあり!今日からできるセルフケア

高血圧の治療は、医師の指導のもとで行うことが大前提です。降圧剤を服用している方は、自己判断で中断したりしないでください。

その上で、薬物療法や食事・運動療法と並行して、首こり・肩こりを解消し、姿勢を改善するためのセルフケアを取り入れることは、血圧の安定に非常に有効です。


1.首周りの緊張を和らげる「ネックストレッチ」:

血圧を上げる原因となる首の筋肉の緊張を、優しくほぐしましょう。

椅子に座り、背筋を伸ばします。

ゆっくりと首を右に倒し、左側の首筋が伸びるのを感じながら20秒キープ。反対側も同様に行います。

ゆっくりと首を前に倒し、首の後ろ側を伸ばしながら20秒キープ。

両手を頭の後ろで組み、アゴを引いたまま、軽く頭を前に倒して首の後ろをさらに伸ばします。20秒キープ。

反動をつけず、呼吸を止めずに、痛気持ちいい範囲で行うのがポイント。



2.肩甲骨を動かして血行促進「肩甲骨回し」:

肩甲骨周りの筋肉を動かすことで、肩や背中の血行が劇的に改善します。

両手をそれぞれの肩に置きます。

肘で大きな円を描くように、ゆっくりと前回し、後ろ回しにそれぞれ10回程度回します。

肩だけでなく、肩甲骨から大きく動かすことを意識しましょう。



3.胸を開いて呼吸を深くする「胸椎伸展ストレッチ」:

猫背を改善し、浅くなりがちな呼吸を深くします。

椅子の背もたれに、肩甲骨の下あたりが当たるように座ります。

両手を頭の後ろで組み、ゆっくりと息を吸いながら、胸を天井に向かって広げるように、背中を反らせます。

数秒キープしたら、息を吐きながら元に戻ります。これを数回繰り返します。


4.「深呼吸」で自律神経を整える:

ゆっくりとした深い呼吸は、副交感神経を優位にし、血管を拡張させ、血圧を下げる効果が期待できます。

1日5分でも良いので、鼻からゆっくり息を吸ってお腹を膨らませ、口からゆっくりと長く息を吐き出す「腹式呼吸」を行いましょう。

これらのセルフケアは、仕事の合間や、お風呂上がりなど、毎日の生活の中に少しずつ取り入れるのがおすすめです。

まとめ:高血圧対策に「姿勢改善」という新常識を!

さて、今回は「高血圧と姿勢の関係|【首こり・肩こり】が血圧に与える影響」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?

これまで「高血圧」と「姿勢」を別々の問題として捉えていた方も、その意外な、そして密接な関係性をご理解いただけたかと思います。

減塩や運動と同じくらい、良い姿勢を保ち、首や肩のコンディションを整えることが、血圧の安定にとって重要なのかもしれません。

では、今日のポイントをまとめます。

  • 高血圧は、自覚症状がないまま進行し、脳卒中や心筋梗塞などの重大な病気のリスクを高める「サイレント・キラー」である。
  • 猫背やストレートネックといった不良姿勢は、自律神経のバランスを「交感神経優位」に傾け、血管を収縮させ、血圧を上昇させる一因となる。
  • 慢性的な首こり・肩こりは、首周りの血管を圧迫して脳への血流を悪化させ、それを補うために心臓が強く血液を送ろうとして血圧が上がる可能性がある。
  • 高血圧対策として、減塩や運動、体重管理といった従来の生活習慣改善に加え、「姿勢を改善し、首こり・肩こりを解消する」という視点を持つことが重要である。
  • 私たち整体師や鍼灸師は、体の歪みを整え、筋肉の緊張を緩和し、自律神経のバランスを調整することで、高血圧の根本原因の一つにアプローチし、薬だけに頼らない健康づくりをサポートできる。


高血圧の治療は、まず医師の診断と指導に従うことが大前提です。しかし、それと同時に、ご自身の体の「構造」に目を向け、姿勢から体質を改善していくアプローチは、きっとあなたの健康にとって大きなプラスになるはずです。

もし、あなたが「高血圧」と「つらい首こり・肩こり」の両方にお悩みでしたら、それは決して無関係ではないかもしれません。

体の歪みを整えることは、血圧の安定だけでなく、様々な不調の改善にも繋がります。

健康的な未来のために、ぜひ一度ご自身の「姿勢」を見つめ直してみてはいかがでしょうか。

こころ鍼灸整骨院

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東角剛司
専門家

東角剛司(柔道整復師・はり師・きゅう師)

こころ鍼灸整骨院

構造医学の視点から、個々の体の動かし方に合わせて骨格を整えます。肩や腰などの慢性的な痛みに向き合い、整骨院に通わずに済む健康な体づくりをサポート。実務者向けのセミナーも開催しています。

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