アトピー性皮膚炎と自律神経|【かゆみとストレス】の悪循環と整体ケア

東角剛司

東角剛司

テーマ:身体の痛み・不調

みなさん、こんにちは!
こころ鍼灸整骨院の東角です。

「我慢できないほどのかゆみが、夜も昼も襲ってくる…」

「肌が乾燥してガサガサになったり、掻き壊してジュクジュクしたりを繰り返している…」

「ストレスを感じると、特にかゆみがひどくなる気がする…」

そんな、つらい「アトピー性皮膚炎」の症状に、長年悩まされている方はいらっしゃいませんか?

アトピー性皮膚炎は、良くなったり悪くなったりを繰り返す、強いかゆみを伴う湿疹が主な症状の皮膚疾患です。

その原因は、アレルギーを起こしやすい体質(アトピー素因)や、皮膚のバリア機能の低下といった体質的な要因に、様々な環境要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

皮膚科での標準治療(ステロイド外用薬や保湿剤など)は、症状をコントロールする上で非常に重要です。

しかし、薬を塗ってもなかなか良くならない、あるいはストレスを感じるとすぐに悪化してしまう…といった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

実は、その背景には、「自律神経の乱れ」が、アトピー性皮膚炎の症状、特に「かゆみ」と「炎症」を悪化させる大きな要因として関わっている可能性があるのです。

今回は、そんな「アトピー性皮膚炎」と「自律神経」の知られざる関係、そして、「かゆみとストレスの悪循環」を断ち切るためのヒントや、私たち専門家ができる整体的アプローチについて、みなさんと一緒に詳しく見ていきたいと思います。

なぜアトピーは悪化するの?「かゆみとストレスの悪循環」

アトピー性皮膚炎の治療を難しくしている要因の一つに、「かゆい → 掻く → さらにかゆくなる」という、悪循環があります。


かゆみが発生する:

皮膚のバリア機能が低下しているため、外部からの刺激(汗、ホコリ、乾燥、衣類の摩擦など)に過敏に反応し、かゆみを引き起こす神経が興奮します。


掻き壊してしまう:

我慢できないかゆみのため、無意識のうちに皮膚を掻き壊してしまいます。


バリア機能がさらに低下:

掻き壊された皮膚は、バリア機能がさらに低下し、より外部からの刺激を受けやすくなります。また、炎症も悪化します。


かゆみがさらに増強:

炎症が悪化し、刺激に敏感になることで、さらに強いかゆみが生じます。


このループを繰り返すことで、症状はどんどん悪化していきます。

そして、このループに拍車をかけるのが、「精神的なストレス」です。

「かゆくて眠れない」「人の目が気になる」「いつになったら治るんだろう」といったストレスは、自律神経のバランスを乱し、かゆみをより強く感じさせたり、皮膚の炎症を悪化させたりすることが分かっています。

そして、ストレスでかゆみが悪化すると、それがまた新たなストレスになる…という、「かゆみ ⇔ ストレス」という、もう一つの非常に厄介な悪循環にも陥ってしまうのです。

アトピーと自律神経の密接な関係|なぜストレスで悪化するのか?

では、なぜストレスや自律神経の乱れが、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させてしまうのでしょうか?

そのメカニズムには、自律神経の「交感神経」と「副交感神経」のバランスが深く関わっています。


「交感神経」の過剰な働きが招く問題:

ストレスを感じた時や、緊張・興奮している時に優位になるのが「交感神経」です。

この交感神経が過剰に働くと、

①顆粒球(かりゅうきゅう)の増加と活性酸素:

血液中の白血球の一種である「顆粒球」が増加します。顆粒球は、役目を終えると大量の「活性酸素」を放出して死んでいきます。

この活性酸素が、皮膚の組織を傷つけ、炎症を悪化させると考えられています。



②血管収縮による血行不良:

皮膚の毛細血管が収縮し、血行が悪くなります。

その結果、皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)が乱れ、皮膚のバリア機能が低下したり、乾燥が進んだりします。


③発汗の異常:

交感神経が優位になると、ベタベタとした質の悪い汗をかきやすくなり、これが皮膚への刺激となってかゆみを誘発することがあります。



「副交感神経」の過剰な働きが招く問題:

リラックスしている時に優位になるのが「副交感神経」です。

意外に思われるかもしれませんが、アトピー性皮膚炎の患者さんの中には、この副交感神経が過剰に優位になっている方もいると言われています。

副交感神経が過剰に働くと、


①リンパ球の増加とアレルギー反応:

白血球の一種である「リンパ球」が増加します。

リンパ球は、アレルギー反応に深く関わっており、過剰になると、アレルギー反応が強まり、かゆみや炎症が悪化する可能性があります。


②知覚神経の過敏化:

アセチルコリンという神経伝達物質の分泌が促され、かゆみを感じる神経が過敏になることがあります。

このように、自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」のどちらに傾きすぎても、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させる方向に働いてしまうのです。

大切なのは、この二つの神経がバランス良く働くことです。

姿勢の悪さが自律神経を乱し、アトピーを悪化させる!?

そして、この自律神経のバランスを崩す、見過ごされがちな要因の一つに「姿勢の悪さ」があります。

猫背・巻き肩と呼吸の浅さ:

猫背や巻き肩の姿勢になると、胸郭が圧迫され、呼吸が浅くなります。

浅くて速い呼吸は、交感神経を優位にし、体を常に緊張状態にしてしまいます。

また、体に取り込まれる酸素の量が減ることで、血行が悪化し、皮膚の新陳代謝にも悪影響を及ぼす可能性があります。



ストレートネックと首周りの緊張:

スマートフォンやパソコンの長時間利用による「ストレートネック」は、首周りの筋肉を常に緊張させます。

首には、自律神経の働きをコントロールする重要な神経(迷走神経など)や、脳への血流に関わる太い血管が通っています。

この部分の筋肉の緊張や骨格の歪みは、自律神経のバランスを乱す大きな原因となり得るのです。



骨盤の歪みと全身への影響:

体の土台である骨盤が歪んでいると、背骨全体の歪みを引き起こし、自律神経の通り道に影響を与えます。

また、骨盤内の血流が悪くなることで、腸内環境の悪化にも繋がり、免疫機能の乱れを介してアトピーに影響する可能性も考えられます。


このように、体の歪みは、自律神経のバランスを崩し、血行を悪化させ、呼吸を浅くすることで、間接的にアトピー性皮膚炎の症状を悪化させる「土壌」を作ってしまっているのです。

「かゆみとストレスの悪循環」を断ち切る!今日からできるセルフケア

皮膚科での治療と並行して、自律神経のバランスを整え、悪循環を断ち切るためのセルフケアを取り入れてみましょう。


1.「腸内環境」を整える食事を心がける:

腸は、体最大の免疫器官であり、「第二の脳」とも呼ばれ、自律神経と密接に関係しています。


①発酵食品と食物繊維を積極的に:

ヨーグルト、納豆、味噌などの発酵食品や、野菜、きのこ類、海藻類などの食物繊維を摂り、腸内の善玉菌を増やしましょう。


②避けるべき食品:

悪玉菌を増やす原因となる、砂糖の多いお菓子やジュース、加工食品、質の悪い油(トランス脂肪酸など)は、できるだけ控えるようにしましょう。



2.「質の高い睡眠」で心と体をリセット:

睡眠は、自律神経のバランスを整え、皮膚の修復と再生を促す上で非常に重要です。

  • 毎日同じ時間に寝起きし、生活リズムを整える。
  • 寝る前のスマートフォンやパソコンは控える。
  • 寝室を快適な環境(温度、湿度、光、音)に保つ。


かゆみで眠れない場合は、保冷剤などで冷やす、保湿をしっかり行うなどの対策を。



3.「ゆっくりとした深い呼吸」を意識する:

深い呼吸(特に腹式呼吸)は、副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせる最も手軽で効果的な方法です。

1日5分でも良いので、鼻からゆっくり息を吸ってお腹を膨らませ、口からゆっくりと長く息を吐き出す練習をしてみましょう。



4.「適度な運動」でストレス発散と血行促進:

ウォーキングやヨガ、ストレッチなど、心地よいと感じる程度の運動は、ストレス解消、血行促進、自律神経のバランス調整に役立ちます。

ただし、汗をかくと逆にかゆみが増す場合もあるため、運動後はすぐにシャワーを浴びて汗を流し、しっかりと保湿することが大切です。



5.「姿勢」を見直し、体の緊張を和らげる:

日頃から猫背や巻き肩にならないよう、背筋を伸ばし、胸を開いた正しい姿勢を意識しましょう。

デスクワーク中は、定期的に休憩を取り、首や肩を回したり、胸を開くストレッチをしたりして、体の緊張をリセットすることが重要です。

まとめ:アトピーは皮膚だけの問題じゃない!自律神経と姿勢から悪循環を断ち切ろう

さて、今回は「アトピー性皮膚炎と自律神経|【かゆみとストレス】の悪循環と整体ケア」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?

つらいアトピー性皮膚炎の症状が、単に皮膚だけの問題ではなく、自律神経の乱れやストレス、そして日々の姿勢といった、体の内側の問題と深く関わっていることをご理解いただけたかと思います。

皮膚科での治療はもちろん大切ですが、それと同時に、心と体の両面から、そして体の構造からアプローチしていくことが、つらい悪循環を断ち切るための鍵となるのです。

では、今日のポイントをまとめます。

  • アトピー性皮膚炎は、「かゆみ→掻き壊し→さらにかゆみが増す」という悪循環と、「かゆみ⇔ストレス」という悪循環によって悪化しやすい。
  • 自律神経の乱れは、交感神経・副交感神経のどちらに傾きすぎても、皮膚の炎症やバリア機能低下、かゆみの増強などを引き起こし、アトピーを悪化させる。
  • 猫背や巻き肩、ストレートネックといった不良姿勢は、呼吸を浅くし、首周りを緊張させ、血行を悪化させることで、自律神経の乱れを助長する。
  • 悪循環を断ち切るためのセルフケアとして、腸内環境を整える食事、質の高い睡眠、深い呼吸、適度な運動、正しい姿勢の意識が重要である。
  • 整体や鍼灸では、姿勢矯正、自律神経のバランス調整、血行促進、内臓機能へのアプローチなどを通じて、アトピー性皮膚炎の根本的な原因にアプローチし、症状の緩和をサポートできる。


アトピー性皮膚炎は、出口の見えないトンネルのように感じられることもあるかもしれません。

しかし、皮膚科での治療に加えて、自律神経や姿勢といった視点からご自身の体と向き合うことで、きっと新たな改善の道が見えてくるはずです。

もし、あなたが長引くアトピーの症状でお悩みで、「体質だから」と諦めかけているなら、ぜひ一度、私たち専門家にご相談ください。

こころ鍼灸整骨院

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東角剛司
専門家

東角剛司(柔道整復師・はり師・きゅう師)

こころ鍼灸整骨院

構造医学の視点から、個々の体の動かし方に合わせて骨格を整えます。肩や腰などの慢性的な痛みに向き合い、整骨院に通わずに済む健康な体づくりをサポート。実務者向けのセミナーも開催しています。

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