パニック障害と自律神経|【過呼吸と姿勢】の関係と整体的アプローチ

東角剛司

東角剛司

テーマ:精神的なストレス

みなさん、こんにちは!
こころ鍼灸整骨院の東角です。

「電車の中で突然、息苦しくなって動悸が止まらない…」

「人混みに入ると、急にめまいや吐き気がして、このまま倒れてしまうんじゃないかと不安になる…」

「理由もなく強い恐怖感に襲われ、発作がいつ起こるかと思うと外出も億劫になる…」

そんな、予測できない突然の体の不調と強い不安感に悩まされていませんか?

もし、このような症状に心当たりがあるなら、それはもしかしたら「パニック障害」かもしれません。

パニック障害は、精神科や心療内科で診断される心の病気の一つですが、多くの場合、動悸、息苦しさ、めまい、吐き気といった身体症状が先に現れるため、内科などの病院を受診しても「異常なし」と言われ、なかなか適切な診断にたどり着けないことも少なくありません。

そして、このパニック障害の症状には、「自律神経の乱れ」が深く関わっており、さらに「姿勢」や「呼吸」といった体の状態が、その症状を悪化させる一因となっている可能性もあるのです。

今回は、そんな「パニック障害」と「自律神経」の密接な関係、特に「過呼吸」と「姿勢」がどのように影響し合うのか、そして、心と体の両面から症状を和らげるための整体的アプローチについて、みなさんと一緒に詳しく見ていきたいと思います。

「パニック障害」ってどんな病気?その症状と特徴

まず、「パニック障害」とは、どのような病気なのでしょうか?

パニック障害とは、突然、激しい不安や恐怖感に襲われ、それに伴って動悸、息切れ、めまい、吐き気、発汗、手足の震えといった身体症状が同時に現れる「パニック発作」を繰り返す疾患です。

パニック発作は、予期せぬ時に突然起こり、死の恐怖を感じるほどの強い苦痛を伴いますが、通常は数分から数十分で治まります。


パニック障害の主な症状


1.パニック発作:

上記で述べたような、突然の激しい不安や恐怖感と身体症状が同時に現れる発作です。

「このまま死んでしまうのではないか」「気が狂ってしまうのではないか」といった強い恐怖を伴います。



2.予期不安(よきふあん):

パニック発作を一度経験すると、「また発作が起こるのではないか」という強い不安感に襲われるようになります。

この「また起こるかもしれない」という不安が、日常生活に大きな影響を与えます。



3.広場恐怖(ひろばきょうふ):

発作が起こった時に、すぐに助けを求められない場所や、その場から逃げ出せないような場所(電車の中、人混み、高速道路、美容院など)を避けるようになる状態です。

ひどくなると、外出そのものが困難になり、引きこもりがちになることもあります。


パニック障害は、これらの症状が複合的に現れることで、日常生活や社会生活に大きな支障をきたすことがあるのです。

パニック障害と「自律神経の乱れ」の密接な関係

パニック障害の症状は、「自律神経の乱れ」と非常に深く関わっています。

私たちの自律神経は、「交感神経(活動・緊張モード)」と「副交感神経(休息・リラックスモード)」の二つがバランスを取りながら働いています。


パニック発作が起こる時、体の中では何が起こっているのでしょうか?

それは、何らかのきっかけで、交感神経が急激に過剰に優位になることで、心臓の鼓動が速くなったり(動悸)、呼吸が速くなったり(過呼吸)、血圧が上がったり、発汗が増えたりといった身体症状が引き起こされると考えられています。

これらの身体症状が、さらに脳の恐怖感を煽り、パニック発作を悪化させるという悪循環に陥ることもあるのです。

パニック障害の患者さんは、普段から自律神経のバランスが乱れやすく、特に交感神経が優位になりやすい傾向があると言われており、ストレスや疲労の蓄積、不規則な生活習慣、そして体の歪みなどが、この自律神経のバランスを崩す大きな要因となるのです。

【過呼吸】と【姿勢】がパニック障害に与える意外な影響

パニック障害の症状の中でも、特に患者さんを苦しめるのが「過呼吸(過換気症候群)」です。

そして、この過呼吸には、意外にも「姿勢」が深く関わっていることがあります。


過呼吸(過換気症候群)のメカニズム:

パニック発作中、強い不安や恐怖感から、無意識のうちに呼吸が浅く速くなります。

すると、体内の二酸化炭素(CO2)が過剰に排出され、血液中のCO2濃度が低下します。

血液中のCO2濃度が下がると、血液がアルカリ性に傾き(呼吸性アルカローシス)、手足のしびれ、筋肉のけいれん、めまい、意識が遠のくような感覚などが現れます。

これらの身体症状が、さらに不安を煽り、「このまま死んでしまう!」という恐怖感を増大させ、呼吸をさらに速くしてしまう…という悪循環に陥るのです。



「姿勢」が過呼吸を誘発・悪化させる!?:

猫背や巻き肩といった「不良姿勢」は、呼吸を浅くする大きな要因となります。

①胸郭(きょうかく)の圧迫:

猫背や巻き肩の姿勢になると、胸の前面が圧迫され、肋骨で囲まれた胸郭が十分に広がることができなくなります。

これでは、肺が十分に膨らむことができず、一度に取り込める空気の量が減少し、呼吸が浅くなってしまいます。


②呼吸補助筋の過剰な緊張:

胸郭の動きが悪いと、体はなんとか酸素を取り込もうとして、首や肩の周りにある呼吸補助筋(僧帽筋、胸鎖乳突筋など)を過剰に使って呼吸しようとします。

これらの筋肉が常に緊張していると、首や肩こりを引き起こすだけでなく、さらに呼吸が浅く速くなりやすい状態を作ってしまいます。


このように、不良姿勢によって普段から呼吸が浅い状態にある人は、ちょっとしたストレスや不安でも過呼吸に陥りやすく、パニック発作を誘発・悪化させるリスクが高まるのです。

逆に言えば、正しい姿勢を取り戻し、呼吸を深くすることで、過呼吸のリスクを減らし、パニック発作の頻度や強度を和らげることが期待できるということになります。

パニック障害の症状を和らげる「心と体のケア」

パニック障害の治療には、精神科や心療内科での専門的な治療(薬物療法や精神療法など)が不可欠です。

それに加えて、日常生活で心と体を整えるためのセルフケアも非常に重要になります。


1.自律神経を整える「リラックス習慣」:

  • 規則正しい生活リズム:毎日同じ時間に寝起きし、食事の時間もできるだけ一定にすることで、体内時計が整い、自律神経のバランスも安定しやすくなります。
  • 質の高い睡眠の確保:寝る前のデジタルデバイス使用を控え、リラックスできる寝室環境を整えましょう。
  • 深呼吸や瞑想:ゆっくりとした深い呼吸(腹式呼吸)や瞑想は、副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせる効果があります。
  • ぬるめのお風呂に浸かる:38~40℃程度のぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、リラックス効果が得られます。
  • 適度な運動:ウォーキングなどの軽い運動はストレス解消に繋がり、自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。



2.正しい姿勢と深い呼吸を身につける:

①姿勢の意識:

日頃から猫背や巻き肩にならないよう、背筋を伸ばし、胸を開いた正しい姿勢を意識しましょう。

デスクワーク中は、30分に1回程度は立ち上がって体を伸ばすストレッチを行うなど、こまめに姿勢を変える工夫も大切です。


②腹式呼吸の練習:

浅い呼吸になりがちな方は、意識的に腹式呼吸を練習しましょう。

お腹を膨らませながら鼻から息を吸い込み、お腹をへこませながら口からゆっくり息を吐き出す練習です。



3.ストレスと上手に付き合う:

ストレスはパニック発作の誘因となることが多いため、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。

趣味の時間を持つ、好きな音楽を聴く、アロマテラピーを楽しむ、友人とおしゃべりする、自然の中で過ごすなど、何でも構いません。



4.カフェインやアルコールを控える:

これらは交感神経を刺激し、パニック発作を誘発したり、睡眠の質を低下させたりする可能性があるため、摂取量に注意しましょう。

まとめ:パニック障害は一人で抱え込まず、心と体の両面からケアを!

さて、今回は「パニック障害と自律神経|【過呼吸と姿勢】の関係と整体的アプローチ」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?

パニック障害は、突然の症状に襲われ、強い不安を感じるつらい病気ですが、その背景には自律神経の乱れや、過呼吸、そして姿勢の問題が深く関わっていることをご理解いただけたかと思います。

一人で抱え込まず、適切なサポートを受けることが何よりも大切です。

では、今日のポイントをまとめます。

  • パニック障害は、突然の激しい不安や恐怖感を伴う「パニック発作」を繰り返す疾患であり、予期不安や広場恐怖を伴うことがある。
  • パニック発作は、自律神経の交感神経が急激に過剰に優位になることで引き起こされる身体症状が特徴である。
  • パニック障害の症状は「過呼吸」と深く関連しており、猫背や巻き肩といった「不良姿勢」は胸郭を圧迫し呼吸を浅くするため、過呼吸を誘発・悪化させるリスクがある。
  • 心と体を整えるケアとして、規則正しい生活リズム、質の高い睡眠、深呼吸や瞑想、正しい姿勢と腹式呼吸の習得、ストレスケア、カフェイン・アルコールの制限などが有効である。
  • 整体や鍼灸では、姿勢矯正、胸郭の可動域改善、首・肩周りの筋肉の緊張緩和、自律神経のバランス調整、呼吸法指導などを通じて、パニック障害の身体症状の緩和と心身の安定をサポートできる。


パニック障害は、決して一人で抱え込むべき病気ではありません。

まずは精神科や心療内科を受診し、専門医の診断と治療を受けることが最優先です。

その上で、「薬だけに頼りたくない」「体の状態からもアプローチしたい」とお考えでしたら、ぜひ私たち専門家にもご相談ください。

私たちは、心と体の両面から、みなさんが少しでも安心して、快適な日常生活を送れるよう、全力でサポートさせていただきます。

こころ鍼灸整骨院

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東角剛司
専門家

東角剛司(柔道整復師・はり師・きゅう師)

こころ鍼灸整骨院

構造医学の視点から、個々の体の動かし方に合わせて骨格を整えます。肩や腰などの慢性的な痛みに向き合い、整骨院に通わずに済む健康な体づくりをサポート。実務者向けのセミナーも開催しています。

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