すねの内側の痛み|【シンスプリント】を繰り返さないための予防策

東角剛司

東角剛司

テーマ:ストレッチ・運動

みなさん、こんにちは!
こころ鍼灸整骨院の東角です。

「走り始めると、すねの内側がジンジンと痛む…」

「練習量が増えてから、すねの骨に沿って痛みが出てきた…」

「運動を休むと楽になるけど、また始めると痛みがぶり返してしまう…」

そんな、”すねの内側の痛み”に悩まされている学生アスリートやランナーの方、いらっしゃいませんか?

もし、このような症状に心当たりがあるなら、それはもしかしたら「シンスプリント」かもしれません。

シンスプリントは、陸上競技、サッカー、バスケットボールなど、走ったりジャンプしたりする動作を繰り返すスポーツをしている人に多く見られる、代表的なスポーツ障害の一つです。

「ただの筋肉痛だろう」「成長痛かもしれない」と軽く考えて練習を続けていると、痛みが慢性化してしまったり、ひどい場合には「疲労骨折」に繋がってしまったりする可能性もある、注意が必要な状態なのです。

今回は、そんな厄介な「シンスプリント」がなぜ起こるのか、その原因と、つらい痛みを繰り返さないための重要な予防策、そして私たち専門家ができるサポートについて、みなさんと一緒に詳しく見ていきたいと思います。

「シンスプリント」ってどんな状態?その正体とは

まず、「シンスプリント」とは、どのような状態を指すのでしょうか?

医学的には「脛骨過労性骨膜炎(けいこつかろうせいこつまくえん)」とも呼ばれます。

シンスプリントとは、すねの骨(脛骨:けいこつ)の内側の下1/3あたりに、鈍い痛みが生じる状態のことです。

これは、走ったりジャンプしたりする際の繰り返しの衝撃によって、すねの骨に付着している筋肉(特にヒラメ筋や後脛骨筋など)が、骨を覆っている「骨膜(こつまく)」を強く引っ張り続け、その結果、骨膜に微細な損傷や炎症が起きてしまうことで発症します。


【シンスプリントの主な症状】


症状は、進行度によって異なりますが、一般的には以下のような特徴があります。

  • すねの骨(脛骨)の内側に沿って、ズキズキ、ジンジンとした鈍い痛みがある。
  • 痛みは、特定の一点というよりは、比較的広い範囲(5~15cm程度)に感じられることが多い。
  • 初期は、運動の始めに痛み、体が温まると痛みが和らぐが、運動後に再び痛む。
  • 症状が進行すると、運動中ずっと痛みが続いたり、日常生活(歩行や階段の上り下りなど)でも痛みを感じるようになったりする。
  • すねの内側を押すと、強い痛み(圧痛)がある。


シンスプリントとよく似た症状に「疲労骨折」があります。

疲労骨折は、骨に繰り返し小さなストレスがかかることで、骨にひびが入ってしまう状態です。

シンスプリントが骨膜の炎症であるのに対し、疲労骨折は骨そのものの損傷であり、より重症です。

疲労骨折の場合は、痛みが非常に限られた一点に集中し、ジャンプテスト(片足で軽くジャンプする)で激痛が走る、といった特徴があります。

自己判断は危険ですので、痛みが強い場合や長引く場合は、必ず整形外科などの医療機関を受診し、正確な診断を受けるようにしてください。

なぜ起こるの?シンスプリントを引き起こす「根本原因」

シンスプリントは、単に「走りすぎ」というだけでなく、様々な要因が複合的に絡み合って発症します。

トレーニングに関する要因:

①急激な練習量の増加:

新学期やシーズンの始まりなどで、急に練習量や強度を上げた時に発症しやすくなります。


②硬い路面でのトレーニング:

アスファルトやコンクリートなど、硬い地面でのランニングは、足への衝撃が大きくなります。


③不適切なシューズ:

クッション性が低い、かかとがすり減っている、自分の足に合っていないといったシューズは、衝撃吸収能力を低下させ、すねへの負担を増やします。


④ウォーミングアップ・クールダウン不足:

練習前後のケアを怠ると、筋肉が硬いまま運動を始めたり、疲労が抜けきらないまま練習を終えたりすることになり、ケガのリスクを高めます。



身体的な要因(アライメント異常):

ここが、シンスプリントを繰り返さないための非常に重要なポイントです。

体の歪みや筋肉のアンバランスがあると、走ったりジャンプしたりする際に、すねの内側に過剰な負担がかかりやすくなります。


①扁平足(へんぺいそく)・回内足(かいないそく):

土踏まずが潰れている、あるいは着地時にかかとが内側に過剰に倒れ込む(オーバープロネーション)足は、すねの内側の筋肉(後脛骨筋など)に大きな引っ張る力を加え、シンスプリントの最大の原因の一つとなります。


②ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)の硬さ:

ふくらはぎの筋肉が硬いと、足首の柔軟性が低下し、着地時の衝撃をうまく吸収できず、すねへの負担が増加します。


③股関節や体幹の筋力不足・柔軟性低下:

お尻の筋肉や体幹のインナーマッスルが弱いと、ランニングフォームが安定せず、体が左右にぶれたり、足先だけで地面を蹴ったりするような、非効率的な走り方になりがちです。

その結果、すねの筋肉に余計な負担がかかってしまいます。


④O脚・X脚:

膝の歪みも、着地時のバランスを崩し、すねへの負担を増やす要因となります。


⑤骨盤の歪み:

体の土台である骨盤が歪んでいると、左右の足にかかる体重がアンバランスになったり、ランニングフォーム全体が崩れたりして、シンスプリントのリスクを高めます。


このように、シンスプリントは、単にすねだけの問題ではなく、足元から骨盤、体幹に至るまでの「体全体のバランスの問題」が大きく関わっているのです。

つらい痛みを繰り返さない!今日からできる「シンスプリント予防策」

シンスプリントの改善と再発予防のためには、痛みの原因となっている根本的な問題にアプローチすることが不可欠です。

1.トレーニング内容の見直し:

①練習量の調整:

痛みがある場合は、勇気を持って練習を休む、あるいは練習量を減らすことが最も重要です。

ランニングの代わりに、水泳やエアロバイクなど、足に負担のかからないトレーニングに切り替えるのも良いでしょう。


②練習環境の改善:

できるだけ、土や芝生、陸上トラックなど、クッション性のある地面で練習するようにしましょう。


③シューズの見直し:

自分の足の形や走り方に合った、クッション性の高いシューズを選びましょう。

専門店のスタッフに相談するのもおすすめです。

インソールの使用も効果的な場合があります。



2.練習前後のセルフケアの徹底:

ウォーミングアップとクールダウンを、トレーニングの一部として習慣づけることが大切です。


①ウォーミングアップ:

軽いジョギングや、筋肉を動かしながら伸ばす「動的ストレッチ」(例:大きく腕を回す、股関節を回すなど)で、体を温め、筋肉を動きやすい状態にしましょう。


②クールダウン:

練習後は、疲労した筋肉をゆっくりと伸ばす「静的ストレッチ」を丁寧に行いましょう。

特に、ふくらはぎ、アキレス腱、太ももの前後、お尻の筋肉などを重点的に。


③アイシング:

練習後に痛みや熱感がある場合は、すねの内側を15分程度アイシング(氷のうなどで冷やす)すると、炎症を抑えるのに効果的です。



3.体の機能を高めるストレッチ&トレーニング:

痛みの原因となる体のアンバランスを改善するためのケアです。


①ふくらはぎ・アキレス腱のストレッチ:

壁に手をつき、足を前後に開いて、後ろ足のふくらはぎを伸ばすストレッチを、膝を伸ばした状態と軽く曲げた状態の2種類、丁寧に行いましょう。


②足裏・足指のトレーニング:

タオルを床に広げ、足の指だけでたぐり寄せる「タオルギャザー」は、土踏まず(アーチ)を支える筋肉を鍛え、扁平足の改善に効果的です。


③股関節・お尻のストレッチ:

椅子に座って片方の足首を反対の膝に乗せ、体を前に倒すストレッチなどで、硬くなりがちなお尻の筋肉を伸ばしましょう。


④体幹トレーニング:

プランクやサイドブリッジなどで、体幹のインナーマッスルを鍛え、ランニングフォームの安定性を高めましょう。


これらの予防策は、痛みがなくなってからも継続することが、再発を防ぐ上で非常に重要です。

まとめ:シンスプリントは体からのサイン!根本原因を見つめ直し、再発を防ごう!

さて、今回は「すねの内側の痛み|【シンスプリント】を繰り返さないための予防策」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?

シンスプリントは、単なる「使いすぎ」や「気合が足りない」といった問題ではなく、その背景に体の構造的な問題や、トレーニング方法、セルフケアの不足といった、明確な原因が隠れていることをご理解いただけたかと思います。

その原因を見つめ直し、一つ一つ対処していくことが、つらい痛みを繰り返さないための鍵となります。

では、今日のポイントをまとめます。

  • シンスプリントは、すねの骨(脛骨)の内側にある骨膜に炎症が起きるスポーツ障害であり、走り始めや運動後に痛みが出ることが特徴である。
  • 主な原因は、急激な練習量の増加、硬い路面での練習、不適切なシューズといったトレーニング要因に加え、扁平足や回内足、ふくらはぎの筋肉の硬さ、股関節や体幹の機能不全、骨盤の歪みといった身体的な要因が大きく関わっている。
  • シンスプリントを繰り返さないためには、練習量の調整、練習環境やシューズの見直し、練習前後のセルフケア(特にストレッチ)の徹底、そして体の機能を高めるトレーニング(足指、股関節、体幹など)が重要である。
  • 痛みが強い場合や長引く場合は、疲労骨折の可能性もあるため、自己判断せずに必ず医療機関を受診する必要がある。
  • 整体や鍼灸では、痛みの緩和に加え、足元から骨盤に至るまでの全身のアライメントを整え、筋肉のバランスを改善し、正しい体の使い方を指導することで、シンスプリントの根本原因にアプローチできる。


もし、あなたがシンスプリントのつらい痛みに悩んでいる、あるいは痛みを繰り返してしまっているなら、どうぞ一人で抱え込まず、私たち専門家にご相談ください。

あなたの体の状態を詳しく評価し、なぜ痛みが再発するのか、その根本原因を一緒に見つけ出します。

そして、一日でも早く痛みなく、思いっきりスポーツを楽しめるよう、全力でサポートさせていただきます。

こころ鍼灸整骨院

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東角剛司
専門家

東角剛司(柔道整復師・はり師・きゅう師)

こころ鍼灸整骨院

構造医学の視点から、個々の体の動かし方に合わせて骨格を整えます。肩や腰などの慢性的な痛みに向き合い、整骨院に通わずに済む健康な体づくりをサポート。実務者向けのセミナーも開催しています。

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