ランナー膝の痛み|膝の外側が痛む【腸脛靭帯炎】の原因と対策
みなさん、こんにちは!
こころ鍼灸整骨院の東角です。
「長時間座っていると、お尻の奥の方が痛くなってくる…」
「お尻から太ももの裏にかけて、しびれるような感じがする…」
「病院でレントゲンを撮ってもらったけど、特に異常はないと言われた…」
そんな、お尻の痛みや足のしびれに悩まされていませんか?
多くの方が、このような症状が出ると「坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)かな?」と考えるかもしれません。
確かに、坐骨神経痛は非常に多い症状です。
しかし、病院で椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症といった明確な原因が見つからない場合、その痛みやしびれ、もしかしたら「梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)」という、別の疾患が原因かもしれません。
この梨状筋症候群は、坐骨神経痛と症状が非常に似ているため、見過ごされたり、間違ったアプローチをされたりすることも少なくない、少し厄介な状態なのです。
今回は、そんな「梨状筋症候群」とは一体どのような状態なのか、なぜ起こるのか、そして症状を和らげるためのセルフケアや、私たち専門家ができるアプローチについて、みなさんと一緒に詳しく見ていきたいと思います。
「梨状筋」ってどこにある?どんな筋肉なの?
まず、「梨状筋」という筋肉について、ご説明します。
梨状筋は、お尻の深層部、骨盤(仙骨:せんこつ という骨盤の中心にある骨)から、太ももの骨(大腿骨)の付け根(大転子:だいてんし という外側の出っ張り)にかけて、斜めに走行している筋肉です。
洋梨(ようなし)のような形をしていることから、この名前がつきました。
この梨状筋の主な働きは、
- 股関節を外側にひねる(外旋させる)
- 股関節を安定させる
といった役割を担っています。
歩いたり、立ったり、座ったりする際に、骨盤と股関節の安定性を保つために働いている、非常に重要なインナーマッスルの一つですね。
そして、この梨状筋症候群を理解する上で最も重要なポイントは、坐骨神経との「位置関係」です。
坐骨神経は、腰の骨から出てお尻を通り、足先まで伸びている、人体で最も太く長い末梢神経です。
そして、この坐骨神経は、多くの場合、梨状筋の「下」あるいは「中」を貫通して走行しています。
まるで、トンネル(梨状筋)の中を電車(坐骨神経)が通っているようなイメージです。
この位置関係こそが、梨状筋症候群が起こる鍵となるのです。
梨状筋症候群のメカニズム|なぜお尻が痛く、足がしびれるのか?
では、なぜ梨状筋が原因でお尻の痛みや足のしびれが起こるのでしょうか?
梨状筋症候群とは、何らかの原因で梨状筋が硬く緊張したり、炎症を起こしたりして、そのすぐ近くを通っている坐骨神経を圧迫・刺激してしまうことで、痛みやしびれを引き起こす状態のことを指します。
先ほどの例えで言うと、トンネル(梨状筋)が何らかの理由で硬くなったり、狭くなったりして、中を通る電車(坐骨神経)を圧迫してしまっているような状態です。
坐骨神経は、お尻から足先までの感覚や運動を支配しているため、お尻で圧迫されると、その神経が支配している領域(お尻、太ももの裏、ふくらはぎ、足先など)に、痛みやしびれ、だるさといった症状が現れるのです。
これが、梨状筋症候群の症状が、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症によって引き起こされる坐骨神経痛と非常に似ている理由です。
しかし、原因となっている場所が「腰」ではなく「お尻」にあるため、アプローチすべきポイントも全く異なってきます。
なぜ梨状筋は硬くなるの?梨状筋症候群を引き起こす主な原因
では、なぜ梨状筋は硬く緊張してしまうのでしょうか?
その原因は、日常生活の中に潜んでいることがほとんどです。
長時間の座位(デスクワーク、運転など):
これが最も多い原因の一つです。
長時間椅子に座っていると、梨状筋が常に圧迫され、血行が悪くなります。
また、股関節が曲がった状態が続くことで、梨状筋が縮こまって硬くなりやすいのです。
特に、硬い椅子に座っている方や、お尻のポケットに財布を入れたまま座る癖がある方は、梨状-筋に直接的なストレスがかかりやすいため注意が必要です。
過度なスポーツやトレーニング:
ランニング、サイクリング、ゴルフのスイング、あるいはウェイトトレーニングなど、股関節を頻繁に動かしたり、お尻の筋肉を酷使したりするスポーツは、梨状筋に過度な負担をかけ、疲労や炎症を引き起こすことがあります。
日常生活の癖や体の歪み(構造医学的視点):
私たち整体師・鍼灸師が特に注目するのが、この体の歪みとの関連です。
①骨盤の歪み:
骨盤が歪んでいると、左右の梨状筋にかかる負担がアンバランスになり、片方の梨状筋ばかりが過剰に緊張してしまうことがあります。
②不良姿勢(猫背、反り腰など):
姿勢が悪いと、歩行時や起立時に体のバランスを取ろうとして、お尻の筋肉に余計な力が入ってしまい、梨状筋の疲労に繋がります。
③O脚・X脚、扁平足:
足元のバランスが崩れていると、歩行時の衝撃がうまく吸収できず、股関節や梨状筋に負担がかかりやすくなります。
④ガニ股歩き:
股関節を外旋させる梨状筋を過剰に使いすぎてしまうため、負担が大きくなります。
これらの体の歪みは、梨状筋が硬くなりやすい「土壌」を作ってしまっていると言えるでしょう。
過去のケガ(股関節の打撲など):
過去にお尻や股関節を強くぶつけたことがある場合、その影響で梨状筋が硬くなったり、周りの組織と癒着したりして、神経を圧迫することがあります。
自宅でできる!梨状筋症候群を和らげる改善ストレッチ
つらい症状を和らげるために、自宅で簡単にできる梨状筋のストレッチをご紹介します。
痛みやしびれが強くならない、気持ちの良い範囲で、呼吸を止めずに行いましょう。
ストレッチ1:椅子に座って行う梨状筋ストレッチ
仕事の合間などにも手軽にできるストレッチです。
椅子に深く腰掛け、背筋を伸ばします。
症状のある方の足のくるぶしを、反対側の膝の上に乗せます。(数字の「4」の字を作るようなイメージ)
背筋を伸ばしたまま、ゆっくりと体を前に倒していきます。お尻の筋肉が心地よく伸びるのを感じましょう。
伸びを感じる位置で、20~30秒間深呼吸を繰り返します。
ゆっくりと体を起こし、反対側の足も同様に行います。
背中が丸まらないように、股関節から体を折りたたむように倒すのがポイントです。
ストレッチ2:仰向けに寝て行う梨状筋ストレッチ
よりリラックスして、しっかりと伸ばすことができるストレッチです。
仰向けに寝て、両膝を立てます。
症状のある方の足のくるぶしを、反対側の膝の上に乗せます。
両手で、床についている方の足の太ももの裏側を抱え込みます。
ゆっくりと胸の方に引き寄せ、症状のある側のお尻の筋肉が伸びるのを感じます。
心地よく伸びる位置で、20~30秒間キープします。
ゆっくりと元に戻し、反対側の足も同様に行います。
頭や肩が床から浮かないように、リラックスして行いましょう。
セルフケア:テニスボールを使ったマッサージ
硬くなった梨状筋を直接的にほぐす方法です。
床に座り、お尻の痛む部分や硬いと感じる部分の下に、テニスボールを置きます。
ゆっくりと体重をかけ、痛気持ちいいと感じる場所を探します。
その場所で、30秒~1分程度、ゆっくりと圧をかけ続けます。
痛みが強すぎる場合や、しびれが悪化する場合はすぐに中止してください。
ボールをゴロゴロと強く転がすのではなく、じわーっと圧をかけるのがポイントです。
これらのセルフケアは、毎日コツコツと続けることで、症状の緩和に繋がります。
私たち整体師・鍼灸師ができる専門的アプローチ
セルフケアだけではなかなか改善しない、あるいは痛みが強い場合は、私たち専門家がお力になれることがあります。
①梨状筋への直接的なアプローチ:
どの部分で坐骨神経が圧迫されているのかを的確に見極め、手技療法(トリガーポイント療法、筋膜リリースなど)や鍼灸治療で、硬くなった梨状筋を直接的に、そして安全に緩めていきます。
②股関節の可動域改善:
梨状筋と連動して働く、股関節周りの他の筋肉のバランスも整え、股関節の動きをスムーズにすることで、梨状筋への負担を軽減します。
③構造医学に基づいた全身の骨格矯正:
梨状筋症候群の根本原因となり得る、骨盤の歪み、背骨のカーブ、O脚・X脚、足元のバランスなどを整え、体全体の構造から改善を目指します。
体の土台である骨盤が整うことで、梨状筋にかかる不必要なストレスが減り、再発しにくい体づくりに繋がります。
④生活習慣指導とセルフケアのパーソナル指導:
長時間の座位姿勢の注意点、正しい歩き方、そしてその人の体の状態に合わせた最適なストレッチやエクササイズを指導し、根本改善をサポートします。
私たちは、単にお尻の筋肉をほぐすだけでなく、なぜ梨状筋が硬くなってしまったのかという「根本原因」にアプローチすることで、つらい痛みやしびれからの解放を目指します。
まとめ:お尻の痛み・しびれは「坐骨神経痛」だけじゃない!梨状筋症候群を疑ってみよう
さて、今回は「お尻の痛みとしびれ|坐骨神経痛じゃない?【梨状筋症候群】の可能性」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?
「私のこの症状、もしかしたら梨状筋が原因だったのかも…」と、新たな気づきがあった方もいるかもしれませんね。
原因不明の坐骨神経痛と診断され、なかなか改善しない場合は、この梨状筋症候群の可能性を一度疑ってみる価値は十分にあります。
では、今日のポイントをまとめます。
- 梨状筋症候群は、お尻の深層にある「梨状筋」が硬くなることで、その近くを通る「坐骨神経」を圧迫・刺激し、お尻の痛みや足のしびれを引き起こす状態である。
- 症状が坐骨神経痛と非常に似ているため、椎間板ヘルニアなどと間違われたり、見過ごされたりすることがある。
- 主な原因は、長時間の座位、過度なスポーツ、日常生活の癖、そして骨盤の歪みや不良姿勢といった体全体の構造的な問題である。
- セルフケアとして、椅子に座って行うストレッチや仰向けで行うストレッチ、テニスボールを使ったマッサージなどが有効だが、痛みが強い場合は無理しないことが重要。
- 整体や鍼灸では、梨状筋への直接的なアプローチに加え、股関節の調整や全身の骨格矯正を通じて、梨状筋症候群の根本原因にアプローチできる。
もし、あなたが原因不明のお尻の痛みや足のしびれに長年悩んでいるなら、どうぞ一人で抱え込まず、私たち専門家にご相談ください。
「坐骨神経痛だから仕方ない」と諦めていたその症状、もしかしたら「梨状筋」へのアプローチで、大きく改善するかもしれません。
あなたのつらい症状の原因を的確に見極め、快適な毎日を取り戻すお手伝いをさせていただきます。
こころ鍼灸整骨院



