「朝、首が痛くて回らない!」寝違えの【正しい対処法】と予防策
みなさん、こんにちは!
こころ鍼灸整骨院の東角です。
「なんだか最近、首から肩、腕にかけて重だるい…」
「つり革を持つ時や、腕を上げる動作で、腕や手にしびれや痛みが出る…」
「指先の感覚が鈍い気がするし、手が冷たい…」
そんな、首の痛みだけでなく、腕や手にかけて広がる不快な症状に悩まされていませんか?
「ただの肩こりだろう」「疲れが溜まっているだけかな」と、つい軽く考えてしまいがちですが、もしかしたらその症状、単なる筋肉のコリではなく、「胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)」という特定の疾患が原因かもしれません。
あまり聞き慣れない名前かもしれませんが、実はなで肩の女性や、重いものを持つ仕事の方、デスクワークで姿勢が悪くなりがちな方などに多く見られる、決して珍しくない状態なのです。
今回は、そんな「胸郭出口症候群」とは一体どのような状態なのか、なぜ起こるのか、そして症状を和らげるためのセルフケアや、私たち専門家ができるアプローチについて、みなさんと一緒に詳しく見ていきたいと思います。
「胸郭出口症候群」ってどんな状態?その正体とは
まず、「胸郭出口症候群」とは、どのような状態を指すのでしょうか?
私たちの首の付け根から鎖骨周辺、そして脇の下にかけてのエリアは、「胸郭出口(きょうかくでぐち)」と呼ばれています。
この胸郭出口には、心臓から腕や手に向かう太い血管(鎖骨下動脈・静脈)と、首の骨(頸椎)から出て腕や手をコントロールする神経の束(腕神経叢:わんしんけいそう)が通っています。
「胸郭出口症候群」とは、この狭い通り道(トンネル)で、何らかの原因によって血管や神経が圧迫されたり、引っ張られたりすることで、首や肩、腕、手にかけて様々な症状(痛み、しびれ、だるさ、冷感など)を引き起こす状態の総称です。
圧迫される場所によって、主に3つのタイプに分類されます。
斜角筋症候群(しゃかくきんしょうこうぐん):
首の前側にある「斜角筋」という筋肉の間で、神経や血管が圧迫されるタイプ。
深呼吸をした時などに症状が悪化することがあります。
肋鎖症候群(ろくさしょうこうぐん):
「肋骨(ろっこつ)」と「鎖骨(さこつ)」の間の狭いスペースで圧迫されるタイプ。
重いリュックを背負ったり、腕を後ろに引くような姿勢で症状が出やすくなります。
小胸筋症候群(しょうきょうきんしょうこうぐん):
胸の筋肉である「小胸筋」と肋骨の間で圧迫されるタイプ。
腕を上げる動作(バンザイなど)で症状が悪化しやすいのが特徴です。
これらのタイプが単独で、あるいは複合的に起こることで、つらい症状を引き起こしているのです。
なぜ圧迫されるの?胸郭出口症候群を引き起こす主な原因
では、なぜこの胸郭出口で血管や神経が圧迫されてしまうのでしょうか?
その原因は、生まれつきの骨格的な特徴だけでなく、日常生活の習慣や姿勢が大きく関わっています。
不良姿勢(猫背・巻き肩・ストレートネック):
これが最も一般的な原因の一つです。
猫背や巻き肩の姿勢になると、肩が前に出て、鎖骨が下がり、胸の筋肉(小胸筋など)が縮こまって硬くなります。
また、ストレートネック(首の自然なカーブが失われた状態)になると、首の前側にある斜角筋が過剰に緊張しやすくなります。
これらの姿勢の歪みが、胸郭出口のスペースを狭め、神経や血管を圧迫してしまうのです。
なで肩・いかり肩といった体型:
なで肩の女性は、鎖骨が下がりやすく、肋骨と鎖骨の間(肋鎖間隙)が狭くなる傾向があるため、神経や血管が圧迫されやすいと言われています。
逆も然りで、筋肉質ないかり肩の男性は、斜角筋が発達しすぎて圧迫の原因となることもあります。
長時間のデスクワークやスマホ操作:
前かがみでキーボードを打ったり、うつむいてスマホを見続けたりする姿勢は、猫背や巻き肩、ストレートネックを助長し、胸郭出口症候群の大きなリスクとなります。
重いものを持つ習慣:
重い荷物やリュックを頻繁に持ったり、腕を酷使するような仕事(美容師、調理師、介護職など)やスポーツ(野球、バレーボール、水泳など)は、首や肩周りの筋肉に過度な負担をかけ、緊張させてしまうため、発症の引き金となることがあります。
ストレスによる筋肉の緊張:
精神的なストレスは、無意識のうちに体に力を入れさせ、首や肩周りの筋肉を硬く緊張させます。これも、症状を悪化させる一因となり得ます。
過去のケガ(むちうち、鎖骨骨折など):
過去のケガの後遺症として、周辺の組織が硬くなったり、骨の変形が生じたりして、神経や血管を圧迫することがあります。
これらの要因が、あなたのつらい症状の背景に隠れているのかもしれません。
これって胸郭出口症候群?簡単なセルフチェック
ご自身の症状が胸郭出口症候群の可能性があるか、簡単なセルフチェックで確認してみましょう。
※痛みやしびれが強くなる場合は、すぐに中止してください。
アドソンテスト(斜角筋症候群のチェック):
①椅子に座り、症状のある側の腕の手首の脈(橈骨動脈)を、反対の手で軽く触れます。
②症状のある側の腕を少し後ろに引きながら、顔を症状のある側に向け、少し上を見上げます。
③その状態で深呼吸し、息を止めます。
この時に、手首の脈が弱くなったり、消えたり、腕や手のしびれが強くなったりする場合は、斜角筋症候群の可能性があります。
ルーステスト(挙上テスト):
①椅子に座り、両肩を90度横に広げ、肘も90度に曲げます。(バンザイして降参するような姿勢)
②その状態で、両手の指を「グーパー」とゆっくり3分間繰り返します。
③3分間続けられない、あるいは途中で腕がだるくなったり、しびれや痛みが出てきたりする場合、胸郭出口症候群の可能性があります。
これらのテストで陽性(症状が出る)の場合や、症状に心当たりがある場合は、一度専門家にご相談いただくことをお勧めします。
自宅でできる!胸郭出口症候群を和らげる改善ストレッチ
症状を和らげ、予防するために、自宅でできる簡単なストレッチをご紹介します。
痛みやしびれが強くならない、気持ちの良い範囲で、呼吸を止めずに行いましょう。
ストレッチ1:胸の筋肉(小胸筋・大胸筋)を伸ばす
巻き肩を改善し、胸郭出口を広げるための基本のストレッチです。
①壁の横に立ち、症状のある側の腕の肘を90度に曲げ、前腕を壁につけます。
②壁につけた腕と反対側の足を一歩前に踏み出します。
③ゆっくりと体を前に、そして壁と反対方向にひねり、胸の前面(特に肩の付け根あたり)が伸びるのを感じます。
④心地よく伸びる位置で、20~30秒間深呼吸を繰り返します。
肩に力が入らないようにリラックスして行うのがポイントです。
ストレッチ2:首の前側の筋肉(斜角筋)を伸ばす
神経や血管を圧迫している斜角筋の緊張を和らげます。
①椅子に座り、背筋を伸ばします。
②症状のある側と反対の手で、鎖骨の下あたりを軽く下に押さえます。
③ゆっくりと首を反対側に倒し、さらに少し斜め上を見上げるようにして、首の前側から横にかけての筋肉が伸びるのを感じます。
④心地よく伸びる位置で、20~30秒間キープします。
強く伸ばしすぎると、かえって痛める可能性があるので、あくまで優しく行いましょう。
ストレッチ3:肩甲骨周りを動かすエクササイズ
肩甲骨の動きを良くし、正しい位置に戻すことで、姿勢を改善します。
①椅子に座るか、立った状態で、背筋を伸ばします。
②両肘を90度に曲げ、手のひらを前に向けます。
③息を吐きながら、両方の肩甲骨を背骨に引き寄せるように、ゆっくりと胸を開きます。
④数秒キープしたら、息を吸いながらゆっくりと元の位置に戻します。これを10~15回程度繰り返します。
肩をすくめないように注意し、肩甲骨の動きをしっかりと意識しましょう。
これらのストレッチを、仕事の合間や入浴後など、毎日の習慣にすることをおすすめします。
私たち整体師・鍼灸師ができる専門的アプローチ
セルフケアだけではなかなか症状が改善しない、あるいは痛みが強い場合は、私たち専門家がお力になれることがあります。
原因筋の特定とアプローチ:
どの筋肉(斜角筋、小胸筋など)が神経や血管を圧迫しているのかを的確に見極め、手技療法(筋膜リリース、トリガーポイント療法など)や鍼灸治療で、その筋肉の緊張を直接的に緩めていきます。
関節の調整(頸椎・胸椎・鎖骨・肋骨など):
胸郭出口を構成する、首の骨(頸椎)、背骨(胸椎)、鎖骨、第一肋骨などの関節の動きが悪くなっていたり、位置がずれていたりする場合、それらを非常にソフトな手技で調整し、神経や血管の通り道を確保します。
構造医学に基づいた全身の姿勢矯正:
胸郭出口症候群の根本原因となり得る、猫背、巻き肩、ストレートネック、骨盤の歪みといった全身の姿勢の歪みを整え、再発しにくい体づくりを目指します。
体の土台である骨盤から整えることで、背骨や肩甲骨が正しい位置に戻りやすくなり、結果として胸郭出口への負担が軽減されるのです。
生活習慣指導とセルフケアのパーソナル指導:
デスクワーク時の姿勢、パソコンのモニターの高さ、椅子の座り方、荷物の持ち方、睡眠時の枕の選び方など、症状を悪化させる可能性のある生活習慣を見つけ出し、具体的な改善策をアドバイスします。
また、その人の体の状態に合わせた、最適なストレッチやエクササイズを指導します。
まとめ:つらい首の痛みや手のしびれ…諦めずに根本原因から改善しよう!
さて、今回は「首の痛みと手のしびれ…【胸郭出口症候群】の原因と改善ストレッチ」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?
「私のこの症状、もしかして…」と思い当たった方もいるかもしれませんね。
胸郭出口症候群は、正しい知識を持ち、適切なケアを行うことで、改善が期待できる症状です。
決して「ただの肩こり」と放置しないでください。
では、今日のポイントをまとめます。
- 胸郭出口症候群は、首の付け根から脇の下にかけての「胸郭出口」で血管や神経が圧迫され、首・肩・腕・手に痛みやしびれなどを引き起こす状態である。
- 主な原因として、猫背や巻き肩といった不良姿勢、なで肩などの体型、長時間のデスクワークやスマホ操作、重いものを持つ習慣、ストレス、過去のケガなどが挙げられる。
- セルフチェック方法として、アドソンテストやルーステストがあり、症状を和らげるセルフケアとして、胸や首の筋肉のストレッチ、肩甲骨のエクササイズなどが有効である。
- やり方を間違えると逆効果になることもあるため、ストレッチは痛みやしびれが強くならない範囲で、優しく行うことが重要である。
- 整体や鍼灸では、原因となっている筋肉を特定して緩め、関連する関節を調整し、全身の姿勢を矯正することで、胸郭出口症候群の根本的な原因にアプローチできる。
もし、あなたが今回ご紹介したような症状でお悩みでしたら、一人で抱え込まず、ぜひ一度、私たち専門家にご相談ください。
あなたの症状の原因を的確に見極め、つらい痛みやしびれから解放され、快適な毎日を送れるよう、全力でサポートさせていただきます。
こころ鍼灸整骨院



