子供の自律神経を守るために親ができること

東角剛司

東角剛司

テーマ:整体・鍼灸全般

みなさん、こんにちは!
こころ鍼灸整骨院の東角です。

「うちの子、最近なんだかイライラしやすいみたい…」

「朝、なかなか起きられなくて、学校に行くのを渋ることが増えた…」

「お腹が痛いとか、頭が痛いとか、体調不良をよく訴えるようになった…」

そんな風に、お子様の心や体のちょっとした変化に、気をもんでいる親御さんもいらっしゃると思います。

「ただのイヤイヤ期なのかな…?」

答えが分からず毎日不安になることでしょう。


もしかしたら、その原因の一つに、子供たちの「自律神経の乱れ」が隠れているのかもしれませんよ。

「自律神経」と聞くと、大人のストレスや不調と結びつけて考えがちですが、実は子供たちも、学校生活や習い事、友人関係、そして現代ならではの生活環境など、様々なストレスや要因によって自律神経のバランスを崩しやすいのです。

そして、成長期にある子供たちの自律神経の乱れは、心身の健やかな発育に影響を与える可能性も指摘されています。

今回は、そんな「子供の自律神経」を守るために、なぜ子供の自律神経が乱れやすいのか、どんなサインに気をつけるべきか、そして何よりも親御さんが家庭でできることについて、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。

子供の「自律神経」って大人と何が違うの?

まず、子供の自律神経について理解するために、大人との違いを少し見ておきましょう。

自律神経は、体の様々な機能を自動的にコントロールしている大切な神経で、「交感神経(活動モード)」と「副交感神経(休息モード)」の二つがバランスを取りながら働いています。これは大人も子供も同じです。

しかし、子供の自律神経には以下のような特徴があります。

発達途中であること:
子供の自律神経は、まだ十分に発達しきっておらず、機能が未熟です。特に幼児期から学童期にかけては、自律神経のバランスが不安定で、ちょっとしたことで乱れやすい傾向にあります。
成長とともに徐々に安定していきますが、この発達過程で様々な影響を受けやすいのです。


外部環境の影響を受けやすいこと:
気温の変化、騒音、光の刺激といった外部からの刺激に対して、大人よりも敏感に反応しやすいです.
また、生活リズムの変化(例えば、長期休み明けや進級・進学など)にも適応するのに時間がかかることがあります。


精神的なストレスの影響を受けやすいこと:
子供たちは、大人には些細に見えるようなことでも、大きなストレスを感じることがあります。学校での勉強やテスト、友人関係、習い事のプレッシャー、家庭環境の変化など、子供なりに様々なストレスを抱えており、それが自律神経の乱れに繋がりやすいのです。


このように、子供の自律神経は、大人よりもデリケートで、様々な要因によってバランスを崩しやすいということを、まずは理解しておくことが大切です。

なぜ乱れるの?子供の自律神経を不安定にする現代的な要因

では、具体的にどのようなことが、現代の子供たちの自律神経を不安定にしているのでしょうか?


不規則な生活リズムと睡眠不足:
夜更かしや朝寝坊、食事の時間がバラバラといった不規則な生活は、体内時計を狂わせ、自律神経のバランスを乱す大きな原因となります。
特に睡眠不足は、自律神経の休息と回復を妨げ、心身の不調を引き起こしやすくなります。
塾や習い事で帰宅が遅くなったり、寝る直前までスマートフォンやゲームをしていたりする子供が増えていることも、睡眠不足の一因と考えられます。


過度なストレス(勉強、友人関係、家庭環境など):
学校での勉強や成績へのプレッシャー、クラスメイトや友人との人間関係の悩み、いじめ、家庭内の不和、親からの過度な期待など、子供たちが抱えるストレスは多岐にわたります。
これらの精神的なストレスは、交感神経を過剰に刺激し、自律神経のバランスを崩してしまいます。


運動不足と外遊びの減少:
適度な運動は、自律神経のバランスを整え、ストレス解消にも繋がります。しかし、現代の子供たちは、昔に比べて外で遊ぶ機会が減り、室内で過ごす時間が増えています。
運動不足は、体力低下だけでなく、自律神経の調整能力の低下にも繋がる可能性があります。


デジタルデバイスの長時間利用:
スマートフォン、タブレット、ゲーム機、パソコンなどのデジタルデバイスの長時間利用は、

①ブルーライトによる睡眠の質の低下: 画面から発せられるブルーライトは、睡眠を促すホルモン「メラトニン」の分泌を抑制し、寝つきを悪くしたり、眠りを浅くしたりします。

②交感神経の興奮: ゲームや動画などの刺激的なコンテンツは、交感神経を興奮させ、リラックスしにくい状態を作ります。

③姿勢の悪化による体の歪み: うつむき姿勢が続くことで、首や肩の筋肉が緊張し、体の歪みを引き起こし、それが自律神経の通り道に影響を与える可能性も。

といった影響を通じて、自律神経の乱れを招くことがあります。


偏った食生活:
朝食を抜いたり、インスタント食品やスナック菓子、甘いジュースなどを頻繁に摂取したりするような偏った食生活は、自律神経の働きに必要な栄養素の不足や、血糖値の急激な変動を引き起こし、自律神経のバランスを乱す原因となります。


これらの要因が、子供たちの未熟な自律神経に大きな負担をかけているのです。

これってサインかも?子供の自律神経の乱れを示す症状

子供の自律神経が乱れると、大人と同じように、心と体に様々な不調が現れます。
親御さんが気づきやすいサインとしては、以下のようなものがあります。


体のサイン:

①頭痛・腹痛: 特に原因が見当たらないのに、頭やお腹の痛みを頻繁に訴える。(起立性調節障害の一症状であることも)

②朝起きられない・めまい・立ちくらみ: 朝、なかなか起きられず、無理に起こすと気分が悪くなったり、立ち上がった時にクラッとしたりする。

③食欲不振・吐き気: 食欲がなかったり、食べてもすぐに気持ち悪くなったりする。

④便秘・下痢: お腹の調子が悪く、便秘や下痢を繰り返す。

⑤動悸・息切れ: 運動していないのに、急に心臓がドキドキしたり、息苦しくなったりする。

⑥疲れやすい・だるい: 十分に寝ているはずなのに、いつも疲れた様子で元気がない。

⑦乗り物酔いしやすい。

⑧夜尿症(おねしょ)が続く。

➈微熱が続く。




心のサイン:

①イライラしやすい・怒りっぽい: 些細なことで癇癪(かんしゃく)を起こしたり、不機嫌なことが増えたりする。

②不安感が強い・怖がり: ちょっとしたことで不安になったり、怖がったりする。

③気分の浮き沈みが激しい: 急に泣き出したり、逆に急に元気に振る舞ったりする。

④集中力がない・落ち着きがない: 授業中や勉強中にそわそわしたり、ぼーっとしたりする。

⑤学校に行きたがらない・登校しぶり: 朝になると体調が悪くなったり、学校に行くのを嫌がったりする。

⑥寝つきが悪い・夜中に目が覚める。



これらのサインが複数見られたり、長期間続いたりする場合は、自律神経の乱れが関係している可能性があります。
もちろん、他の病気が隠れている可能性もあるため、心配な場合は小児科医などの専門家に相談することが大切です。

親ができること!子供の自律神経を守るための5つの習慣づくり

では、大切な子供の自律神経を守り、健やかな成長をサポートするために、親御さんは家庭でどのようなことができるのでしょうか?

1.「規則正しい生活リズム」を一緒に作る!

自律神経のバランスを整える上で最も基本となるのが、規則正しい生活リズムです。

早寝早起きを心がける:
子供の年齢に合わせた十分な睡眠時間を確保し、毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる習慣をつけましょう。休日も、平日と大きく生活リズムが崩れないようにすることが大切です。

朝食をしっかり食べる:
朝食は、体内時計をリセットし、一日の活動のエネルギー源となります。パンだけ、ご飯だけといった単品ではなく、タンパク質や野菜もバランス良く摂れるように工夫しましょう。

決まった時間に食事をする:
食事の時間が不規則だと、消化器官の働きや自律神経のリズムも乱れやすくなります。できるだけ毎日同じような時間に食事を摂るようにしましょう。



2.「質の高い睡眠」のための環境を整える!

睡眠は、自律神経の休息と回復にとって非常に重要です。

寝る前のデジタルデバイスはNG:
寝る1時間前からは、スマートフォン、タブレット、テレビ、ゲームなどの使用を控えさせましょう。寝室に持ち込ませないというルールを作るのも良いかもしれません。

リラックスできる寝室環境を作る:
寝室は、静かで、暗く、快適な温度・湿度に保ちましょう。子供が安心できるようなぬいぐるみや絵本を置くのも良いですね。

寝る前のルーティンを作る:
絵本の読み聞かせ、軽いストレッチ、静かな音楽を聴くなど、寝る前にリラックスできる決まった行動(ルーティン)を作ることで、体が「これから寝る時間だ」と認識しやすくなります。



3.「バランスの取れた食事」で体の中からサポート!

自律神経の働きを助ける栄養素をバランス良く摂ることが大切です。

タンパク質: 筋肉やホルモン、神経伝達物質の材料となります。肉、魚、卵、大豆製品などをしっかり摂りましょう。

ビタミンB群: エネルギー代謝や神経機能の維持に不可欠です。豚肉、レバー、魚介類、豆類、緑黄色野菜などに多く含まれます。

カルシウム・マグネシウム: 神経の興奮を抑え、精神を安定させる働きがあります。乳製品、小魚、海藻類、ナッツ類などに多く含まれます。

トリプトファン: 幸せホルモン「セロトニン」や睡眠ホルモン「メラトニン」の材料となるアミノ酸です。牛乳、大豆製品、ナッツ類などに含まれます。

腸内環境を整える食事: 食物繊維や発酵食品を積極的に摂り、腸内環境を整えることも、自律神経の安定に繋がります。(脳腸相関)



4.「適度な運動」と「外遊び」で心と体を解放!

体を動かすことは、ストレス解消、体力向上、そして自律神経のバランスを整える上で非常に効果的です。

外で思いっきり遊ばせる:
太陽の光を浴びることは、体内時計の調整やセロトニンの分泌を促します。公園で走り回ったり、鬼ごっこをしたり、自然の中で遊ぶ機会を積極的に作りましょう。

親子で一緒に運動を楽しむ:
キャッチボール、散歩、サイクリングなど、親子で一緒に楽しめる運動は、コミュニケーションを深める良い機会にもなります。

深呼吸や軽いストレッチを取り入れる:
特に寝る前や朝起きた時に、ゆっくりとした深呼吸や軽いストレッチを行うことで、心身のリラックスを促し、自律神経を整える助けになります。



5.「安心できる家庭環境」と「スキンシップ」を大切に!

子供にとって、家庭は心の安全基地です。親御さんの温かい愛情とサポートが、子供の自律神経を安定させる上で何よりも大切です。

子供の話をじっくりと聞く:
学校であったこと、友達とのこと、嬉しかったこと、悲しかったことなど、子供が話したいことを、否定せずにじっくりと耳を傾けてあげましょう。「あなたのことを理解しているよ」というメッセージが伝わることが大切です。

スキンシップを積極的に:
ハグをする、頭をなでる、手をつなぐといったスキンシップは、子供に安心感を与え、ストレスを軽減する効果があると言われています。「オキシトシン」という愛情ホルモンの分泌も促します。

子供のペースを尊重する:
過度な期待やプレッシャーは、子供にとって大きなストレスとなります。他の子と比較せず、その子の個性やペースを尊重し、頑張りを認めて褒めてあげることが大切です。

親自身がリラックスする:
親御さんの心の状態は、子供に大きく影響します。親御さん自身も、休息をしっかりと取り、ストレスを溜め込まないように心がけ、笑顔で子供と接することが、結果として子供の自律神経を守ることに繋がるのです。

まとめ:子供のSOSを見逃さず、親子で健やかな毎日を!

さて、今回は「子供の自律神経を守るために親ができること」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?
子供たちの心と体は、私たちが思っている以上に繊細で、様々な影響を受けやすいものです。
そして、自律神経のバランスは、その健やかな成長にとって非常に重要な役割を担っています。

では、今日のポイントをまとめます。

・子供の自律神経は発達途中であり、外部環境や精神的ストレスの影響を受けやすく、乱れやすい。

・現代の子供の自律神経を不安定にする要因として、不規則な生活リズムと睡眠不足、過度なストレス、運動不足と外遊びの減少、デジタルデバイスの長時間利用、偏った食生活などが挙げられる。

・子供の自律神経の乱れは、頭痛・腹痛、朝起きられない、食欲不振、便秘・下痢、イライラしやすい、集中力がない、登校しぶりなど、心と体に様々なサインとして現れる。

・親ができる子供の自律神経を守るための習慣として、「規則正しい生活リズム」「質の高い睡眠環境」「バランスの取れた食事」「適度な運動と外遊び」「安心できる家庭環境とスキンシップ」が重要である。

・特に、親自身がリラックスし、笑顔で子供と接することが、子供の心の安定と自律神経のバランスに繋がる。


もし、あなたのお子様に気になる症状が見られたり、「もしかして自律神経が乱れているのかな?」と心配なことがあったりしたら、まずはかかりつけの小児科医にご相談ください。その上で、私たちのような体の専門家にも、何かお手伝いできることがあるかもしれません。

子供たちの笑顔と健やかな未来のために、親御さんと私たちが一緒になって、できることを考えていきましょう。

成長期の子供の姿勢を守る!構造医学的子育てのススメ

こころ鍼灸整骨院

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東角剛司
専門家

東角剛司(柔道整復師・はり師・きゅう師)

こころ鍼灸整骨院

構造医学の視点から、個々の体の動かし方に合わせて骨格を整えます。肩や腰などの慢性的な痛みに向き合い、整骨院に通わずに済む健康な体づくりをサポート。実務者向けのセミナーも開催しています。

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