保険診療と自費診療の違いとは?あなたに合うのはどっち?

東角剛司

東角剛司

テーマ:整体・鍼灸全般

みなさん、こんにちは!
こころ鍼灸整骨院の東角です。

整骨院や接骨院、鍼灸院などに行こうと思った時、「この症状は保険がきくのかな?」「自費診療って高そうだけど、何が違うの?」と疑問に思ったことはありませんか?

もしかしたら、「保険診療は整体院なら誰でも使える」と思われているかもしれませんね。

実は、保険診療と自費診療では、受けられる施術の内容や範囲、そしてもちろん料金も大きく異なってきます。

今回は、そんな整骨院・鍼灸院などにおける「保険診療」と「自費診療」の違いについて、それぞれのメリット・デメリット、そして、みなさんの症状や目的に合わせてどちらを選ぶのが賢明なのか、プロの視点から分かりやすく解説していきたいと思います。

まずは基本!「保険診療」ってどんなもの?

最初に、「保険診療」についてご説明します。
私たちが普段、病院やクリニックで風邪をひいたり、ケガをしたりした時に利用するのが、この健康保険を使った診療ですね。
整骨院や接骨院(柔道整復師が施術を行うところ)でも、健康保険が使えるケースがあります。


保険診療が適用される範囲とは?

整骨院・接骨院で健康保険が適用されるのは、主に「急性のケガ」に限られます。
具体的には、

骨折(こっせつ): 骨が折れたり、ひびが入ったりしたもの。ただし、応急手当の場合を除き、医師の同意が必要です。

脱臼(だっきゅう): 関節がはずれたもの。ただし、応急手当の場合を除き、医師の同意が必要です。

打撲(だぼく): 体を強く打ったり、ぶつけたりして起こる「うちみ」。

捻挫(ねんざ): 関節をひねって靭帯などを痛めたもの。足首の捻挫などが代表的です。

挫傷(ざしょう): いわゆる「肉離れ」のことです。筋肉や腱が損傷したもの。

これらのケガに対して、柔道整復師が施術を行う場合に、健康保険が適用されます。



保険診療のメリット・デメリット

メリット:

  • 自己負担額が少ない(通常1割~3割)。
  • 経済的な負担を抑えながら、ケガの治療を受けることができる。



デメリット:

適用範囲が「急性のケガ」に限定される。慢性的な肩こりや腰痛、原因不明の痛み、疲労回復目的などには使えません。

  • 施術内容や時間に制限があることが多い。保険で認められている範囲内の施術に限られます。
  • 根本的な原因の改善よりも、痛みの緩和やケガの早期回復を主目的とすることが多い。
  • 医師の同意が必要な場合がある(骨折・脱臼の継続施術)。




鍼灸院での保険診療は?

鍼灸院(鍼灸師が施術を行うところ)でも、特定の病気や症状に対して、医師の同意があれば健康保険が適用される場合があります。
対象となる主なものは、

  • 神経痛(坐骨神経痛など)
  • リウマチ
  • 頸腕症候群(首から肩、腕にかけての痛みやしびれ)
  • 五十肩(肩関節周囲炎)
  • 腰痛症(慢性的な腰痛)
  • 頸椎捻挫後遺症(むちうちなど)

などです。

ただし、これらの症状で保険を使って鍼灸治療を受けるためには、事前に医師の診察を受け、同意書を発行してもらう必要があります。また、同じ症状で病院の治療(投薬など)と並行して保険で鍼灸を受けることは原則としてできません。

もう一方の選択肢!「自費診療」ってどんなもの?

次に、「自費診療(自由診療とも言います)」についてご説明します。
自費診療とは、健康保険を使わずに、施術にかかる費用を全額自己負担する診療方法のことです。


自費診療の特徴とは?

施術内容や時間に制限がない:
保険診療のような適用範囲の制約がないため、施術者が最も効果的だと判断する施術を、必要な時間だけ行うことができます。
例えば、慢性的な肩こりや腰痛の根本原因にアプローチするための骨盤矯正や姿勢改善、自律神経を整えるための施術、疲労回復やリラクゼーションを目的とした施術、美容鍼や小顔矯正といった美容目的の施術など、幅広いニーズに対応できます。


一人ひとりに合わせたオーダーメイドの施術が可能:
保険診療では画一的な施術になりがちな部分も、自費診療であれば、患者さん一人ひとりの体の状態や症状、目的に合わせて、きめ細やかなオーダーメイドの施術プランを組むことができます。


根本的な原因の改善を目指せる:
その場しのぎの痛みの緩和だけでなく、なぜその症状が出ているのかという「根本原因」を見つけ出し、体全体のバランスを整えることで、症状の再発しにくい体づくりを目指すことができます。
私が専門とする「構造医学」に基づいたアプローチも、この自律診療だからこそ提供できるものが多いのです。



自費診療のメリット・デメリット

メリット:

  • 施術内容や時間に制限がなく、最適な施術を自由に選択できる。
  • 慢性的な症状や、原因不明の不調、美容目的など、保険診療では対応できない幅広いニーズに応えられる。
  • 根本的な原因にアプローチし、体質改善や再発予防を目指せる。
  • 一人ひとりに合わせた丁寧なカウンセリングや施術を受けやすい。



デメリット:

  • 施術費用が全額自己負担となるため、保険診療に比べて高額になることが多い。
  • 施術所によって料金設定が大きく異なるため、事前に確認が必要。


保険診療と自費診療、こんなところが違う!比較ポイント

保険診療と自費診療の違いを、もう少し具体的に比較してみましょう。

保険診療(整骨院・接骨院の例)

対象となる症状:急性のケガ(骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷)

施術内容:保険で認められた範囲内の施術(電気治療、温熱療法、一部の手技など)

施術時間:比較的短い時間(10分~30分程度が一般的)

目的:ケガの早期回復、痛みの緩和

料金:自己負担1割~3割

通院頻度・期間:ケガの状態によるが、比較的短期間で集中して通院することも



自費診療

対象となる症状:慢性的な痛み、原因不明の不調、姿勢改善、体質改善、疲労回復、美容目的など、制限なし

施術内容:施術者が最適と判断する多様な施術(骨盤矯正、特殊な手技、鍼灸、機器など)

施術時間:比較的じっくり時間をかけることが多い(30分~90分程度など、施術所による)

目的:根本原因の改善、再発予防、体質改善、QOL向上など、より包括的な目的

料金:全額自己負担(施術所により料金は異なる)

通院頻度・期間:症状や目的により様々。根本改善を目指す場合は、ある程度の期間が必要なことも



こうして比較してみると、保険診療は「ケガの治療」、自費診療は「体のトータルケアや根本改善」といったイメージが湧きやすいのではないでしょうか。

あなたに合うのはどっち?賢い選択のための3つの質問

「じゃあ、結局私はどちらを選べばいいの?」と迷う方のために、自分に合った選択をするための3つの質問を考えてみました。


質問1:今のあなたの主な悩みや目的は何ですか?

「昨日、足をひねってしまった…」(急性のケガ)→ 保険診療が適している可能性が高いです。

「もう何年も肩こりが治らない…根本的に良くしたい」(慢性的な悩み、根本改善)→ 自費診療でじっくりと原因を探るのがおすすめです。

「最近疲れが溜まっていて、リフレッシュしたい」(疲労回復、リラクゼーション)→ 自費診療のマッサージや整体が適しているでしょう。

「姿勢が悪いのを直したい」(姿勢改善)→ 自費診療で専門的なアドバイスと施術を受けるのが効果的です。



質問2:どのような施術を受けたいですか?

「とりあえず今の痛みを少しでも和らげたい」(対症療法)→ 保険診療でも対応できる場合がありますが、自費診療の方がより多様なアプローチが可能です。

「体全体のバランスを整えてほしい」(根本療法)→ 自費診療でなければ難しいことが多いです。

「骨盤矯正や特殊な手技療法を受けてみたい」(特定の施術希望)→ 自費診療で提供されていることが多いです。



質問3:予算や通院期間について、どのようにお考えですか?

「できるだけ費用を抑えたい」(費用重視)→ 保険診療が第一候補になるでしょう。ただし、適用範囲を確認する必要があります。

「多少費用がかかっても、根本的に改善したい」(効果重視)→ 自費診療で、納得のいく施術を受けることを検討しましょう。

「短期間で集中的に治したい」or「じっくり時間をかけて体質改善したい」→ 目的によって、保険診療・自費診療それぞれの通院計画が変わってきます。



これらの質問に答えてみることで、ご自身が何を優先したいのか、どんな状態を目指しているのかが明確になり、より適切な選択ができるはずです。

大切なのは、ご自身の体の状態と目的に合った施術を選ぶことです。

まとめ:それぞれのメリットを理解し、最適なケアを選ぼう!

さて、今回は「保険診療と自費診療の違いとは?あなたに合うのはどっち?」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?
これまで何となく選んでいた方も、それぞれの特徴や違いが明確になったことで、今後の選択の参考になったのではないでしょうか。
保険診療と自費診療は、どちらが良い・悪いというものではなく、それぞれに役割とメリットがあります。

では、今日のポイントをまとめます。

・保険診療は、主に「急性のケガ」に対して適用され、自己負担額が少ないが、施術内容や時間に制限がある。

・整骨院・接骨院での保険適用は、骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷であり、鍼灸院では医師の同意があれば特定の慢性疾患にも適用される場合がある。

・自費診療は、健康保険を使わず全額自己負担となるが、施術内容や時間に制限がなく、慢性的な症状や美容目的など幅広いニーズに対応でき、根本的な原因改善を目指せる。

・どちらを選ぶかは、「現在の悩みや目的」「受けたい施術内容」「予算や通院期間の希望」などを考慮し、自分の状態に合った方を選択することが重要である。

・保険診療は「ケガの治療」、自費診療は「体のトータルケアや根本改善」と捉えると分かりやすい。

もし、ご自身の症状が保険診療の対象になるのか、あるいは自費診療でどのような施術が受けられるのかなど、具体的なことで迷ったら、遠慮なく私たち専門家にご相談ください。

また、保険診療外の施術に対して”保険診療扱い”にしてしまうと、違法行為となりますのでご注意くださいね。

こころ鍼灸整骨院

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東角剛司
専門家

東角剛司(柔道整復師・はり師・きゅう師)

こころ鍼灸整骨院

構造医学の視点から、個々の体の動かし方に合わせて骨格を整えます。肩や腰などの慢性的な痛みに向き合い、整骨院に通わずに済む健康な体づくりをサポート。実務者向けのセミナーも開催しています。

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