雨の日の頭痛・だるさは「気象病」?本当の原因は【内耳のセンサー過敏】と【自律神経の防衛反応】にあった!
みなさん、こんにちは!
こころ鍼灸整骨院の東角です。
最近、来院された患者様からのご相談です。
「ある日突然、肩がズキッと痛んで腕が上がらなくなった…」
「夜中に肩の痛みで目が覚めて、寝返りもつらい…」
そんな風に、悩んでおられました。
一般的に「四十肩」や「五十肩」と呼ばれるこの症状、実は医学的には「肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)」という名称があります。
その名の通り、40代~50代の方に多く発症することから、こう呼ばれているのですね。
多くの場合、これらは時間の経過とともに症状は改善していくと言われていますが、適切な対処をせずに放置してしまうと、痛みが長引いたり、肩の動きが完全に元に戻らなくなったりする「凍結肩(フローズンショルダー)」という状態に移行してしまう可能性もあります。
今回は、そんなつらい四十肩・五十肩について、その原因や症状の段階、そして放置する危険性、さらには少しでも早く改善するための対処法について、詳しくお話ししていきたいと思います。
そもそも「四十肩・五十肩」って何?なぜ起こるの?
まず、「四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)」とは、一体どのような状態なのでしょうか?
これは、肩関節の周りの組織(筋肉、腱、靭帯、関節包など)に炎症が起こり、痛みや動きの制限(可動域制限)が生じる病態の総称です。
はっきりとした原因はまだ完全には解明されていませんが、一般的には以下のような要因が関与していると考えられています。
加齢による組織の変性:
年齢とともに、肩関節を構成する腱や関節包といった組織が、柔軟性を失ってもろくなったり、小さな傷がつきやすくなったりします。これが炎症の引き金になることがあります。
水道のホースも古くなると硬くひび割れやすくなるように、私たちの体の組織も加齢とともに変化していくのですね。
肩関節周りの血行不良:
長時間のデスクワークや運動不足などにより、肩周りの筋肉が硬くなり、血行が悪くなると、炎症が起こりやすくなったり、組織の修復が遅れたりすることがあります。
ホルモンバランスの変化:
特に女性の場合、更年期に女性ホルモン(エストロゲン)が減少することで、関節や腱の柔軟性が低下し、炎症が起こりやすくなるという説もあります。
肩の使いすぎ、または使わなさすぎ:
特定のスポーツや仕事で肩を酷使することも原因の一つですが、逆に、普段あまり肩を動かさないでいると、関節周りの組織が硬くなり、ちょっとした動きで炎症を起こしやすくなることもあります。
他の疾患の影響:
まれに、糖尿病や甲状腺疾患といった全身性の病気が、四十肩・五十肩の発症に関与している場合もあると言われています。
これらの要因が複合的に絡み合い、ある日突然、肩に炎症と痛みが現れるのが四十肩・五十肩なのです。
多くの場合、利き手ではない方の肩に起こりやすいとも言われていますが、両肩に起こることもあります。
あなたはどの段階?四十肩・五十肩の症状と経過
四十肩・五十肩の症状は、一般的に「炎症期」「拘縮期(こうしゅくき)」「回復期」という3つの段階を経て進行していくと言われています。
ご自身の症状がどの段階にあるのかを知ることは、適切な対処法を選ぶ上でとても大切です。
【炎症期(えんしょうき):激しい痛みの時期】(数週間~数ヶ月)
症状:
- 何もしなくてもズキズキと痛む(安静時痛)
- 夜中に肩の痛みで目が覚める(夜間痛)
- 肩を動かすと激痛が走る
- 腕を上げたり、後ろに回したりするのが非常につらい
- 炎症が強い場合は、肩が熱っぽく感じたり、腫れたりすることもある
特徴:
この時期は、肩関節の周りで炎症が強く起きているため、とにかく「痛み」が主体の時期です。
日常生活の何気ない動作(服を着る、髪を洗う、物を取るなど)も困難になることがあります。
【拘縮期(こうしゅくき):肩が固まって動きにくくなる時期】(数ヶ月~1年程度)
症状:
- 激しい痛みは少し和らぐものの、肩の動きが悪くなり、固まってしまったような感じ(可動域制限)が顕著になる
- 腕を上げようとしても、ある一定の角度までしか上がらない
- 背中に手を回す(エプロンの紐を結ぶ、下着のホックを留めるなど)動作ができない
- 無理に動かそうとすると、ズキッとした痛みや突っ張るような痛みが出る
特徴:
炎症が落ち着いてくる代わりに、肩関節の袋である「関節包」が厚く硬くなったり、周りの組織が癒着(ゆちゃく:くっついてしまうこと)したりして、肩の動きが著しく制限される時期です。「凍結肩(フローズンショルダー)」と呼ばれるのは、まさにこの状態を指します。
【回復期(かいふくき):徐々に動きが戻ってくる時期】(数ヶ月~1年以上)
症状:
- 肩の痛みはかなり軽減し、固まっていた肩の動きが、少しずつ改善してくる
- 以前よりは腕が上がるようになる
- 日常生活での支障も少なくなってくる
特徴:
硬くなっていた関節包や組織が、徐々に柔軟性を取り戻し、時間をかけてゆっくりと肩の機能が回復していく時期です。ただし、完全に元の状態まで回復するには、1年以上かかることも珍しくありません。
このように、四十肩・五十肩は、一般的に治るまでに長い時間がかかることが多いのです。
そして、それぞれの時期に応じた適切な対処が求められます。
「そのうち治る」は危険!?四十肩・五十肩を放置するリスク
「四十肩・五十肩は放っておいても自然に治るんでしょ?」という話を耳にすることがあるかもしれません。確かに、多くの場合、時間の経過とともに痛みは和らいでいきます。
しかし、適切な治療やリハビリテーションを行わずに放置してしまうと、以下のようなリスクが考えられます。
1.痛みが長引く・慢性化する:
炎症期に無理をしたり、適切なケアを怠ったりすると、炎症がなかなか収まらず、痛みが長期間続いてしまうことがあります。
2.肩の動きが完全には元に戻らない(可動域制限の後遺症):
拘縮期に肩を動かさないでいると、関節包や周囲の組織の癒着がひどくなり、肩の動きが固まったまま、完全には元に戻らなくなってしまうことがあります。
日常生活ではあまり困らない程度の動きは回復しても、「以前のように腕がまっすぐ上に上がらない」「背中に手が回らない」といった後遺症が残ってしまうケースは少なくないのです。
3.日常生活への支障が長期化する:
痛みや動きの制限が長引けば、それだけ日常生活への支障も長期間続くことになります。
仕事や家事、趣味など、様々な場面で不便を感じ、QOL(生活の質)の低下を招きます。
4.反対側の肩にも負担がかかる:
痛い方の肩をかばうことで、無意識のうちに反対側の肩に余計な負担がかかり、反対側の肩まで痛めてしまう可能性もあります。
5.精神的なストレスの増大:
長引く痛みや不自由さは、精神的にも大きなストレスとなります。
気分が落ち込んだり、イライラしたり、睡眠不足になったりと、悪循環に陥ってしまうことも。
「自然に治る」という言葉を鵜呑みにせず、症状が出たら早めに専門家に相談し、適切なアドバイスとケアを受けることが、後遺症なくスムーズに回復するための鍵となるのです。
つらい四十肩・五十肩…どうすればいい?段階別・改善への道
では、四十肩・五十肩になってしまった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?症状の段階に合わせたケアが重要です。
【炎症期:痛みを抑え、安静を保つ】
安静を心がける:
痛みが強いこの時期は、無理に肩を動かさず、できるだけ安静にすることが大切です。痛みを誘発するような動作(腕を高く上げる、重いものを持つなど)は避けましょう。
消炎鎮痛剤の使用:
医師の指示のもと、痛み止め(内服薬や湿布、塗り薬など)を使用して、炎症と痛みをコントロールします。
アイシング(急性期で熱感がある場合):
肩に熱っぽさや腫れがある場合は、アイスパックなどで冷やすと炎症を抑えるのに役立ちます。
ただし、冷やしすぎには注意しましょう。
三角巾やアームスリングで固定する:
痛みが非常に強い場合は、三角巾やアームスリングなどで腕を固定し、肩への負担を軽減するのも有効です。
寝る時の工夫:
痛む方の肩を下にして寝ないようにしたり、抱き枕などを利用して楽な姿勢を見つけたりしましょう。
【拘縮期:無理のない範囲で肩を動かし始める】
温熱療法:
激しい痛みが和らいできたら、今度は肩を温めることで血行を促進し、筋肉や関節包の緊張を和らげるのが効果的です。
お風呂でゆっくり温まったり、ホットパックを使ったりしてみましょう。
振り子運動(コッドマン体操):
痛みのない範囲で、腕の重みを利用して、肩を振り子のように前後左右に小さく揺らす運動から始めます。
これは、関節の癒着を防ぎ、少しずつ動きを取り戻すための第一歩です。
テーブルなどに痛くない方の手をつき、上半身を少し前に倒して行うとやりやすいです。
壁を使った運動:
壁に手をつき、指先で壁を這うようにして、少しずつ腕を上げていく運動なども、無理のない範囲で取り入れてみましょう。
専門家によるリハビリテーション:
この時期の運動療法は、自己流で行うと症状を悪化させる可能性もあるため、必ず医師や理学療法士、整体師などの専門家の指導のもとで行うようにしてください。
専門家は、あなたの肩の状態に合わせて、適切なストレッチや運動を指導してくれます。
【回復期:積極的に肩を動かし、機能を回復させる】
可動域訓練の継続と強化:
拘縮期から行ってきた運動療法を継続し、徐々に肩を動かす範囲を広げ、筋力を回復させるためのトレーニングも取り入れていきます。
ゴムチューブを使ったトレーニングなども効果的です。
日常生活での積極的な使用:
痛みが出ない範囲で、日常生活の中で意識して肩を使うようにしましょう。
再発予防のためのケア:
肩周りのストレッチや筋力トレーニングを継続し、良い姿勢を心がけるなど、再発予防のためのケアも大切です。
まとめ:四十肩・五十肩は放置せず、段階に合わせた適切なケアで早期改善を!
さて、今回は「【四十肩・五十肩】痛くて腕が上がらない!放置の危険と改善法」というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?
四十肩・五十肩は、単なる「年のせい」と片付けず、そのメカニズムと適切な対処法を知ることが、つらい症状から一日も早く解放されるための鍵となることをご理解いただけたかと思います。
では、本日のポイントをまとめます。
・四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)は、肩関節周りの組織の炎症と可動域制限が起こる病態である。
・主な原因は、加齢による組織の変性、血行不良、ホルモンバランスの変化などである。
・症状は「炎症期(激痛)」「拘縮期(肩が固まる)」「回復期(徐々に改善)」の3段階で進行する。
・放置すると、痛みの慢性化、可動域制限の後遺症、日常生活への支障長期化などのリスクがある。
・改善のためには、炎症期は安静と冷却・消炎、拘縮期は温熱と無理のない運動、回復期は積極的な運動と機能回復が重要である。
・各段階での運動療法は、必ず専門家の指導のもとで行うことが推奨される。
もし、あなたが今、四十肩・五十肩のつらい痛みや動きの制限にお悩みでしたら、まずは医療機関を受診し、正確な診断と適切なアドバイスを受けてください。
そして、その上で、私たちのような整体師や鍼灸師も、痛みの緩和や可動域の改善、再発予防のためのサポートをさせていただくことができます。
決して一人で抱え込まず、専門家と一緒に、根気強くケアを続けていきましょう。
こころ鍼灸整骨院



