金融教育×住教育から空き家対策を
前回のコラムでは、「その他空き家(賃貸住宅の空き家・売却用の空き家・別荘以外の空き家)」の増加が目立ち、空き家に占める割合も高まっていることを指摘しました。「その他空き家」とは、転勤・入院などで居住者が長期不在とか、建替えなどのために取り壊すことになっているケースなどです。
では、「その他空き家」はどのような利用状況にあるのでしょうか。
全国の空き家について、国土交通省がその利用・管理状況、所有者の意識・意向などの把握を目的に実施した「令和元年空き家所有者実態調査(調査時点:平成30年10月1日)」から、次のような「その他の空き家」の特徴が見えてきます。
●空き家期間の長期化
人が住まなくなってからの期間については、空き家全体で「20 年以上」が 20.9%と最も多いのに対し、「その他の空き家」では、その割合が 24.0% と更に高くなっています。
●大半が旧耐震基準
建築時期については、空き家全体で昭和55 年以前の建築が 69.1%なのに対し、「その他の空き家」は、それが77.5%と更に高くなります。
●腐朽・破損の進行
腐朽・破損の状態については、空き家全体で腐朽・破損があるものは合わせて 54.8%、腐朽・破損がないものは 39.2%です。それに対し「その他の空き家」は、腐朽・破損がある割合が64.2%と高く、腐朽・破損がないものは 30.3%と低くなります。
●空き家の取得時期
空き家の取得経緯については、空き家全体では「相続」が 54.6%と最も高く、次いで「新築・建て替え」が 18.8%、「中古の住宅を購 入」が 14.0%の順になっています。それに対し「その他の空き家」は、「相続」の割合が大きく、58.7%と若干高くなります。
●登記変更
登記または名義変更については、空き家全体で、空き家を取得した時の登記(名義変更。または表示登記)を行った割合は 76.7%、「いずれも行っていない」割合は 15.3%です。それに対し「その他の空き家」では、「いずれも行っていない」割合が19.6%と若干高くなります。
●空き家の利用意向
今後 5 年程度における利用意向については、空き家全体では「空き家にしておく(物置を含む)」が 28.0%、「セカンドハウスなどに利用」が 18.1%、「売却」が17.3%の順となります。それに対し「その他の空き家」では、「空き家にしておく(物置を含む)」が 44.6%と半数近くに及んでします
一言で空き家と呼んでいるものも、その置かれた状況はそれぞれに異なります。そのなかで「その他の空き家」と呼ばれる空き家は、二次的住宅・別荘用、売却用、賃貸用に比べ、特段の利用目的もなく放置されて、空き家になってからの期間も長期化しています。その結果、活用の目途がなく、修繕も儘ならない中で老朽化が進行している様子が窺えます。
このような状況となる前に、何かしらの予防の手を打つべきだったのではないでしょうか。