金融教育×住教育から空き家対策を
空き家が引き起こす近隣トラブルは、主に衛生、治安、景観などの悪化や財産の損害によるものです。適切な管理が行われないことで、著しく衛生上有害になるとか、景観を損なう状態を招きます。そのため治安が悪化し不審火などが発生する懸念もあります。また自然災害などで植栽や家屋の一部が飛散したり倒壊するなどして近隣に損害が生じたりします。
実際に第三者へ怪我を負わせたり財産を棄損させたりした場合に、被害者の治療費や入院費、財産の損失費用などの負担義務が発生します。また、被害者が怪我の治療などで仕事を休まなければならなくなれば、休業補償に加え慰謝料なども請求もあり得ます。このように賠償責任が莫大になる可能性は否定できません。
このことは空き家の所有者や管理者が民法717条の工作物責任を負い損害賠償を請求されるということです。い工作物責任とは、植栽や塀などの構築物を含めた敷地や住宅といった工作物の安全管理が不十分であり、そのことが原因で第三者に損害を与えた場合に工作物の占有者や所有者が損害賠償責任を負うものです。筆者が知る限りでは、空き家を放置してために工作物責任を問われた裁判例は確認できませんが、そのリスクは当然あります。
損害賠償にまつわるトラブルを事前に避けるには、当たり前ですが空き家の管理をしっかりすることです。管理には、通風や換気、通水や水漏れ等の確認、室内の点検(天井や床の劣化や雨漏りなど)、屋外の点検(庭木や雑草の確認、外壁や雨樋の劣化など)、その他室内外の清掃や郵便ポストの整理などがあります。このような空き家の管理を所有者自身で行なえば、管理手数料などの費用は発生しません。しかし、空き家の場所や条件によっては、当初想像していたよりも負担が大きくなり、その継続が困難になることも考えられます。
その時は管理サービス代行会社へ外注するという方法があります。空き家問題への社会的関心が高まるにつれて様々な代行会社が参入しており、その結果、金額や代行する内容も多様になっています。そのため代行会社を選ぶ際は、各自のニーズに添ったサービスが提供できるか、そこが信頼できる会社であるかどうかなど、十分に吟味する必要があります。
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