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菊池浩史

「住まい×消費者×教育」のハイブリッドを目指す専門家

菊池浩史(きくちひろし)

住まいの消費者教育研究所

コラム

「住まいの終活に関する意識調査」から見えてくるもの

2020年11月22日

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: キッチンリフォームエンディングノート浴室 リフォーム

中高年の方々は、住まいの終活にどのような意識を抱いているのでしょうか。
株式会社クラッソーネ(名古屋市中村区)が住居用不動産を所有する50歳以上の男女536名に対して、「住まいの終活」に対する意識調査を行っています。
・調査方法 :インターネットによる調査
・調査期間 :2020年2月6日~2月8日
・調査対象 :住居用不動産を所有する50歳以上の男女536名
       
主な調査結果は以下のとおりです。
➀「終活」の認知度は89.0%と高い一方、「住まいの終活」の認知度は30.6%と低い
➁「住まいの終活」の意味を説明した上で必要性を質問すると、「住まいの終活」が必要だと感じている人は80.5%
➂「住まいの今後の対応」を決めている人は、わずか9.8%。
「住まいの終活」を知っている人でも「何もやっていない」が54.9%と対応は遅れている。「住まいの終活」への取り組みとして最も多かったものは、「子どもや親族と話し合っている/話し合った」が20.1%、次いで「相続、生前贈与、売却などの住まいの対応を決めている/決めた」で9.8%。
➃住まいの終活を行っている、あるいは行う予定の人のうち63.1%が「住まいの終活」に不安を抱えている。不安な要素は費用面・売却価値などのお金にまつわることや、そもそも住まいの終活の進め方が分からないことなど。
➄自身の死後に住まいをどうするかという質問に、家族や親族に受け継ぐことを見込んでいるが49.2%、次いで「どうするか決めていない人」が42.2%を占める一方、売却などの生前処分を見込んでいる人は10.3%に留まる。
⑥受け継ぐタイミングを決めていない人が半数以上いる。また、生前贈与派より(死後)相続派が多数、子や親族への受け継ぎ方とか相続か生前贈与かは「まだ分からない」が57.9%。子や親族に住居を受け継ぐ見込みであるものの、今住んでいる住居に死ぬまで住み死後に相続する人が多数派である。
⑦子や親族に住まいの相続・生前贈与を予定している人のうち、自身が亡くなった後、受け継ぐ人に「住んで欲しい」(52.7%)が半数超え、次いで「受け継ぐ人に任せたい」(43.9%)人も多数。所有不動産のある場所に住んで欲しいと回答した人は、「そのまま住んで欲しい」(33.2%)、「建替/リフォームして住んで欲しい」(19.5%)を合わせて、52.7%と最も多い。
⑧相続や生前贈与を予定している人のうち、子や親族と相談している人は23.9%に留まる。一方、「相談したいと思っているが、まだできていない」が最も多く49.3%、「相談していないし、相談したいと思っていない」が26.8%。相続や生前贈与の意向があるものの、約4分の3が受け継ぐ人と意向のすり合わせができていない現状。

その住まいの終活に対する主な不安は次の通りです。
「費用面(リフォーム・解体工事など)が心配」(22.3%)
「売りたいが売れるのか/どれくらいの値段がつくのか心配」(22.3%)
「何から手をつけていいかわからない」(20.8%)
「相談相手がいない(親族内)」(9.2%)
「相談相手がいない(専門家)」(7.7%)
「相続等の対応について親族で揉めそう」(5.4%)の順でした。

以上からは、終活の認知度が高い一方で、住まいの終活への認知度は低く、関心を持っていても具体的な進め方が分からないため具体的な行動まで繋がっていないケースが多い、ということが読み取れます。費用面や資産価値など金銭に関わることや、住まいの終活そのものの進め方への不安の大きな要因だと言えます。必要な情報が不足している感は否めません。良き相談相手、専門家が傍にいることで不安解消に繋がることがあるかもしれません。

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菊池浩史

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