金融教育×住教育から空き家対策を
表題に関連する調査を二つご紹介します。
一つ目は、身体機能が低下した場合の希望する住まいについて、スウエーデン、ドイツ、アメリカ、日本の四か国で比較したものです(表1)。「現状のまま自宅に留まりたい」という声が最も多く(49.3%)、「改築の上で自宅に留まりたい」という割合は四か国中最も低い(15.8%)結果になっています。
【表1】
二つ目は、身体機能が低下した場合の自宅の住みやすさについて、同様に国際比較したものです(表2)。それによると「多少問題がある」と「非常に問題がある」を合わせると60%強となり、四か国のなかで最も高い割合です。
【表2】
このことから、日本の高齢者の多くは、身体機能が低下した場合に自宅で住み続けたいのに何がしかの問題があるため難しい、という一面が浮かび上がってきます。なぜ自宅では住みづらいのでしょうか。
まずハード面では、次のような理由が考えられます。
〇玄関、敷居、廊下と居室、浴室やトイレの出入り口などの段差
〇廊下や開口部の狭い幅員、狭い居室面積
〇深い浴槽、和式トイレなど和式の生活様式
〇建物内の温度差(廊下やトイレと居室、脱衣室と浴室)
次はソフト面での理由です。
〇長期化する在宅生活
〇単独世帯や高齢夫婦世帯の増加による家族の介護力低下
このような背景のなかで、介護負担の介護者に与える影響は無視できません。ストレスどころか憎しみを感じている介護者が35%もいるという調査結果もあります(表3)。在宅介護のむつかしさが伝わります。
【表3】
高齢期に身体機能が低下しても在宅生活を続けるには、様々な環境が揃わなければ難しいのが現実です。どのように課題を克服していけばよいのか、次回はハード面を中心に考えていきます。