冬の感染リスクを下げる「睡眠習慣」とは

樋口麻理

樋口麻理

テーマ:企業研修



今年も残すところ数日となりました。
街の空気もぐっと冷え込み、今日から気温が一段と下がり、いよいよ本格的な冬の到来。
そして、インフルエンザをはじめとした感染症が大流行しています。
予防接種を受けた方も、受けていない方も、
この時期だからこそ意識をしたい予防と健康方法があります。
それが 「睡眠」 です。

■ 冬も睡眠が大切な理由
冬は気温差が激しく、体のエネルギー消費も増える季節です。
身体は疲れやすく、免疫力低下しやすい時期です。
さらに冬特有の環境が、睡眠の質の低下を招いています。
・日照時間が短くなる → 体内時計が乱れやすく、自律神経も乱れやすい。
・暖房による乾燥   → いびきや口呼吸が増え、喉や鼻の粘膜が乾燥し、
          ウイルスが侵入しやすくなる。
・室内の温度調整   → 寝室の暖房で体温調整がうまく働かず、深い眠りが減少しやすい。

自律神経が乱れると、体温調節や睡眠の制御機能が低下し、寝付きが悪くなったり、ぐっすり眠れないことがあります。
結果として、睡眠の質全体が低下に繋がります。

◆睡眠と免疫の関係
私たちの体は、ウイルスや細菌と戦うために“免疫システム”という防衛機能を持っています。
その働きを支えるうえで欠かせないのが 良い睡眠です。
睡眠は、ただ休む時間ではなく 体のメンテナンス作業が進む時間。
特にノンレム睡眠と呼ばれる深い休息の時間には、体の修復が進み、免疫細胞が力を発揮しやすい状態が整うと考えられています。
また、睡眠は免疫の記憶づくりにも関わっています。
一度出会ったウイルスへの対処をスムーズにする働きがあるとも言われています。
一方で睡眠不足が続くと、体はストレス状態となり、
免疫を抑えるコルチゾール(ストレスホルモン)が増加。
その結果、免疫力が下がり、体調を崩しやすくなります。

研究では、
睡眠7時間未満の人は、8時間以上眠る人より風邪リスクが約3倍
という報告もあります。
企業にとっても睡眠は無関係ではありません。
体調不良が増えれば欠勤・生産性低下につながり、
職場全体の感染リスクも高まります。
“よく眠る”ことは、個人だけでなく組織を守る力にもなるのです。
(参考文献)
Sleep Habits and Susceptibility to the Common Cold
Behaviorally Assessed Sleep and Susceptibility to the Common Cold


■ 睡眠は“個人の問題”ではなく、企業のコストにも直結する
冬は体調を崩す社員がどうしても増えます。
その多くは、実は 睡眠不足・睡眠の質低下による免疫力の低下 が原因です。
経営の視点から見ると──
・不調社員が増える
・欠勤/早退が増える
・判断力・集中力が落ちてミスが増える
・生産性が下がる
・チーム全体のパフォーマンスが低下する
・結果として業績ダウンにつながるこれは決して大げさではありません。
一時的なものであっても、“睡眠トラブルは企業に確実にコストを発生させる” のです。
逆にいえば、
睡眠を整えるだけで企業の健康投資の効果は最速で出る とも言えます。
社員の睡眠が整うと、
・欠勤が減る
・判断力が向上する
・ミスが減少する
・集中力が上がる
・パフォーマンスが安定する
睡眠改善は、社員の体調管理であると同時に、
企業の生産性を落とさないための“防衛策” でもあるのです。

■ 冬の睡眠で社員のみなさんにおすすめしたい3つ
1. 寝室の温度・湿度を整える
  理想の室温は16〜20℃、湿度40〜60%
  乾燥は口呼吸を増やし免疫低下につながるため、加湿器や濡れタオルが有効。
2. 寝る前に“深部体温”を上げる
入浴は睡眠の質を上げる最強の味方。
寝る2〜3時間前に入ることでスムーズに入眠しやすくなります。
3. 日中の光で体内時計を整える
冬は日照時間が少ないため、朝の光を浴びることで自律神経の乱れを防ぎます。

■ まとめ:冬こそ「睡眠が健康の土台」
予防接種の有無に関わらず、今日からできる小さな睡眠習慣が、冬の免疫力をしっかり支えて
くれます。
寒さが厳しい冬だからこそ、“眠り”を整えることは体を守るだけでなく、企業にとっても大切
な健康投資です。こんなことが、積み重ねになり成果に繋がります。

■ 次回予告(継続読者化の仕掛け)

実は、冬の睡眠と企業の生産性には、まだまだ重要なポイントがあります。
次回は、 「睡眠が健康経営・生産性向上・離職防止にどう影響するのか」
その“企業が得るメリット”にさらに深く踏み込みます。
社員の健康管理を本気で考える企業こそ、睡眠の整備が成果を左右する時代です。
冬こそ、眠りを整えて体も会社も守っていきましょう。

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樋口麻理
専門家

樋口麻理(睡眠健康指導士)

株式会社印笑

医療・教育の分野を知る睡眠健康指導士が、生活や社会活動の基盤となる睡眠管理をテーマに自己実現や子育て、健康維持をサポート。フェイスメソッドで、いびき対策や顔のこわばり改善などお伝えします。

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