昼寝が経営課題になる

樋口麻理

樋口麻理

テーマ:企業研修

近年、海外の研究や国内外の企業事例を通じて、短時間の昼寝=パワーナップ(Power Nap) が「生産性向上施策」として評価されています。欧米の研究機関では、働く人の健康を守りながらパフォーマンスを高める手段として注目され、日本でも導入する企業が増えてきます。
パワーナップとは、米国の心理学者ジェームス・マース氏が提唱した、日中に15〜30分程度の短い仮眠をとる習慣のこと。名称は「Power(力を高める)」と「Nap(仮眠)」を組み合わせた造語で、午後の集中力や判断力を取り戻す効果があるとされています。
注意点は、30分以上寝ると深い睡眠に入り、従来のパフォーマンスに戻すのに時間を要します。
NASAの研究では、パイロットに26分の仮眠をとらせたところ、認知能力が34%、注意力が54%向上したという結果が出ています。科学的に裏付けられた「眠りの投資」が、今やビジネスの世界でも注目されているのです。

シエスタとの比較

世界のお昼寝事情はに、昼間に休む文化は珍しいものではありません。
代表的なのが、スペインやイタリアなど地中海地域のシエスタ(Siesta)です。
シエスタは、昼食後の最も暑い時間帯に1〜2時間程度休み、夕方以降に再び活動するという伝統的な習慣。スペイン語の「シエスタ」はラテン語の「sexta(6番目の時刻=正午頃)」に由来します。
農業や日射の強い地域では理にかなった生活リズムでした。
近年は都市化や労働環境の変化でシエスタを取る人は減りましたが、「昼休みに休むのは自然」という文化的理解は根強く残っています。

日本で広がりつつある パワーナップ は、シエスタとは異なり「短時間」にフォーカスしています。
科学的研究に基づく15〜20分の仮眠、ビジネス現場でも導入可能な昼寝スタイルです。

経営・総務人事が注目してほしい理由

(1) 生産性の向上
短時間の仮眠はリフレッシュ効果が高く、集中力・判断力・記憶力を回復させます。結果、パフォーマンスの低下を防ぎ、安定した業務に遂行に期待できます。

(2) 健康経営の推進
慢性的な睡眠不足は、心身の不調や労働災害リスクを高めます。昼間の仮眠を習慣化することで睡眠負債を軽減し、従健康維持・働き方改革の観点からも「健康経営」を支える施策となります。
(3) プレゼンティーイズム対策
日本企業に多い「出社しているのに生産性が上がらない」状態=プレゼンティーイズムは、大きな経済的損失をもたらします。短時間の昼寝は、この“隠れた損失”を抑えるシンプルかつ効果的な方法です。

企業でパワーナップを導入の注意点


社員・組織への波及効果
• 隠れ居眠りや無理な我慢が減少
• 会議や午後の業務に活気が戻る
• 睡眠教育とセットで導入すれば生活習慣改善にも寄与
結果として、健康経営・働き方改革・エンゲージメント向上を同時に実現できるのです。

未来の組織に不可欠な「昼寝マネジメント」

パワーナップは福利厚生にとどまらず、企業の持続的成長を支える戦略的投資です。
• 午後の集中力・判断力を高める
• 健康を守り医療費を抑制
• エンゲージメントを向上
• プレゼンティーイズムを削減
昼寝は決して特別なものではなく、自然で理にかなった習慣であることが理解できます。
経営者・総務・人事の皆さまには、まずは小規模導入から始めてデータを蓄積することをおすすめします。
社員の声や効果を数値化し評価してみると効果を実感できるでしょう。

今こそ、“昼寝マネジメント”を取り入れ、企業の未来を支える一歩を踏み出すときです。
ぜひ、ご相談ください。
先ずは、睡眠を知ることが大事だと思います。
みなさんで受講してみてください。

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樋口麻理
専門家

樋口麻理(睡眠健康指導士)

株式会社印笑

医療・教育の分野を知る睡眠健康指導士が、生活や社会活動の基盤となる睡眠管理をテーマに自己実現や子育て、健康維持をサポート。フェイスメソッドで、いびき対策や顔のこわばり改善などお伝えします。

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