お盆休み・夏季休暇の寝だめは逆効果?睡眠不足の真実

樋口麻理

樋口麻理

テーマ:企業研修


休日になると、平日の睡眠不足を補うために昼近くまで寝続けてしまう経験はありませんか?
目覚ましをかけず、制限なく眠れるは幸せなひとときですが、実はこの「寝だめ」が、一見体力を回復しているようで、体内時計を大きく乱し、週明けの倦怠感や集中力低下の原因になっていることをご存じでしょうか。
特に、「寝ても疲れが取れない」「休日は昼まで寝ても翌日だるい」という声が増えています。
そんなあなたにお役にたてるお勧め睡眠方法。

寝だめとは?

寝だめとは、平日に不足した睡眠を休日にまとめて補おうとする行為のことです。
英語では「catch-up sleep」とも呼ばれます。
米国睡眠財団(National Sleep Foundation)の調査によれば、社会人の約6割が休日に平日より2時間以上長く眠っているとされています。
現代社会では、長時間労働や夜更かし、SNSやゲームの長時間視聴などによって平日の睡眠時間が短くなりがちで、そのため休日に寝だめをする人が増えています。

寝だめのメリットはあるの?

寝だめのメリットはほとんどありません。
一時的に「よく眠れた」という満足感や体の回復感はあっても、睡眠不足による負債(睡眠負債)は積み重なったままで、短期間の寝だめで返済できるものではありません。

寝だめのデメリットと健康リスク

寝だめのデメリットは、体内時計がずれてしまうことです。
私たちにはサーカディアンリズム(概日リズム)という24時間周期のリズムが備わっており、
これが「体内時計」と呼ばれています。
体内時計が乱れると、次のような症状を招きます。
• 集中力や判断力の低下
• ぼんやりした状態が続く
• 寝つきの悪化や睡眠の質の低下


ソーシャルジェットラグとは

「ソーシャルジェットラグ(Social Jet Lag)」とは、平日と休日の睡眠・起床時刻のズレによって起こる社会的な時差ボケのことです。
たとえば、平日は23時就寝・6時起床の人が、休日に1時就寝・10時起床になると、3時間の時差が生じます。
これは海外旅行で3時間の時差のある地域に行ったのと同じ状態で、週明けに強い眠気やだるさを感じます。

寝だめが慢性化すると起こる健康リスク

寝だめが慢性化すると、以下のようなリスクが高まります。

• 睡眠の質低下や寝つきの悪化による慢性的な睡眠不足
• 頭痛、めまい、倦怠感
• 肥満や糖尿病のリスク増加
• 気分障害(うつ症状など)


なぜ寝だめをしてしまうのか

寝だめが必要になる背景には、主に平日の生活習慣があります。

• 残業や夜間の学習による就寝時間の遅れ
• 就寝前のスマホやPC利用による入眠遅延
• 早朝出勤や通学による起床時間の固定
• 夜型生活習慣の慢性化

根本的な原因を解消しない限り、寝だめ依存は続いてしまいます。

寝だめによる体内時計の乱れを防ぐ方法

①規則正しい睡眠時間を維持
毎日できるだけ同じ時間に寝起きすることが、体内時計の安定につながります。
②朝の光を浴びる
 起床後すぐに太陽の光を浴びることで、体内時計がリセットされ、眠気が取れやすくなります。
③短い昼寝で不足分を補う
夜に長時間寝るより、午後の15分以内の短い昼寝で睡眠不足を補うほうがリズムを崩しにくいです。
④就寝前のブルーライト制限
寝る30分前からスマホやPCを控え、メラトニンの分泌を妨げないようにしましょう。

寝だめ習慣をやめるための3ステップ

1. 規則正しい睡眠習慣を継続する
2. 休日もできるだけ平日と同じ時間に起き、不足分は昼寝で補う
3. 朝の活動習慣(光浴び・朝食・軽い運動)を取り入れる

まとめ
寝だめが続くことで体内時計の乱れが原因で、かえって疲れや集中力低下を招きます。
健康的な生活リズムを保つために、できるだけ睡眠リズム(時間)を維持することが大事です。

睡眠講話や睡眠相談では、適切な睡眠時間や環境、体内時計を整える方法を詳しくご案内しています。
ご興味のある方は、ぜひお気軽にメッセージでご相談ください。

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Mybestpro Members

樋口麻理
専門家

樋口麻理(睡眠健康指導士)

株式会社印笑

医療・教育の分野を知る睡眠健康指導士が、生活や社会活動の基盤となる睡眠管理をテーマに自己実現や子育て、健康維持をサポート。フェイスメソッドで、いびき対策や顔のこわばり改善などお伝えします。

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