人はなぜ眠る?眠りが未来を変える理由

樋口麻理

樋口麻理

テーマ:企業研修

なぜ「眠る理由」を知らないといけないの?

煌々と灯る街の明かりは、朝陽が昇るまで消えることがありません。
もし人間が、24時間起きていられる仕組みだったとしたら――
私たちは毎日を、どんなふうに過ごしているでしょうか?
逆に言えば、「なぜ人は眠らないといけないのか?」
この問いは、実は誰もが無意識に抱えている深いテーマです。
1日の3分の1を占める睡眠。これは人生全体の3分の1に相当する時間を眠っていることになります。
もしその意味を知らずに「なんとなく寝ている」だけなら、
人生の3分の1を“あいまいなまま”過ごしていることにもなりかねません。
この記事では、
• 人はなぜ眠るのか?
• 眠らないとどうなるのか?
• 睡眠を知らないことでどんなデメリットがあるのか?


こうした疑問に対し、科学的な根拠と日常生活での実例を交えながらお伝えします。
睡眠の仕組みを知ることは、質の高い人生を送るための第一歩。
読み終えたとき、きっと「今日の眠り」が少し違って見えるはずです。

なぜ眠るのか?

質問です。眠るのは人間だけでしょうか?
実は、脳をもつ生き物はすべて眠ると言われており、最近では脳を持たない生物も眠るらしいということがわかってきました。
人間のように、安全な場所でまとまった時間眠れる生き物もいれば、外敵の多い環境にいる動物たちは、常に警戒しながら眠らなければなりません。
たとえば
• キリンは「最も眠らない動物」とされ、1日わずか2時間ほどしか眠らず、ぐっすり眠るのはわずか20分程度。
• トラは、約15時間も眠るとされ、食生活や習性によって睡眠時間に大きな差があります。
• イルカや渡り鳥は、脳の半分ずつを交代で休ませながら眠る「半球睡眠」という特別な眠り方をしています。


さらに近年では、クラゲのような脳を持たない生き物でさえ、ある種の“睡眠らしき休息状態”をとっているという研究結果も発表されています。
このように、睡眠は「脳があるから眠る」という単純な話ではなく、生物にとって欠かせない“リセットのしくみ”と考えられています。

なぜ眠気がくるのか?

人には、ここで「必要な睡眠の量」があります。
その量に達すると、自然と眠気がやってくる仕組みになっているのです。
てっ・・・
起きている時間が長くなるほど眠気がたまり、眠ることでその眠気がリセットされる。
これが「睡眠恒常性(すいみんこうじょうせい)」というメカニズムです。
ちょっと、砂時計を想像してみてください。

朝起きた瞬間から、砂時計の砂は少しずつ下に落ち始めます。
そして、砂がすべて落ちきったとき、「眠気スイッチ」が入り、自然に眠くなります。
ところが、夜更かしなどで睡眠時間が短くなると、
朝になっても砂が落ちきらず、前日の眠気がリセットされないまま残ってしまうのです。
その上に、また新しい砂(=眠気)が積み重なっていく。
この「眠気の上乗せ」が、日中の眠気や集中力の低下、作業パフォーマンスの低下につながってしまいます。


眠っている間になにがおきてる?

代表的なのが・・・
1. 脳のデトックス 2.記憶と記録の更新 3.心身のリセットと修復
1. 脳のデトックス
眠っている間、脳では老廃物の排出が行われています。特に「アミロイドβ」と呼ばれる物質は、アルツハイマー型認知症の発症リスクと深く関わっており、蓄積するとそのリスクが高まります。質の良い睡眠をとることで、これらの有害物質の排出が促され、脳の健康を保つことにつながります。
2 記憶の“整理整頓”をしている
私たちの脳は、日中に見聞きした情報や経験を、まず「海馬」という場所に一時的に記録します。その全ての情報を保存していると、脳が情報であふれてしまいます。
そこで活躍するのが“睡眠”です。
睡眠中に脳は、
• 大切な情報を「長期記憶」として保存し、
• 不要な情報は「削除」する

といった作業を行い、記憶を選別・整理してくれるのです。

3 体を修復・再生するための時間

眠っている間に、成長ホルモンや修復ホルモンが分泌され、私たちの体をせっせとメンテナしてくれています。
• 傷ついた細胞や筋肉の修復
• 肌のターンオーバー(再生)
• 免疫力のアップ • 脂肪燃焼


眠らないが続くとどうなる?

■ 心身への影響
• 不眠の慢性化 
• 食欲の低下・過食などの食行動の乱れ
• 免疫力の低下による感染症リスクの上昇
• 情緒の不安定、イライラや不安感の増加
• うつ病や不安障害など、メンタルヘルスへの影響
• 生活習慣病(高血圧・糖尿病・肥満など)の悪化
• 認知機能の低下や、将来的な認知症のリスク上昇

■ 仕事への影響
• 判断力・集中力の低下
• 作業効率の悪化
• ケアレスミスの増加
• ミスやトラブルによる信頼低下
• 職場でのコミュニケーション不足・対人関係の悪化


■ その他にも
慢性的な睡眠不足は、自律神経のバランスを崩し、ホルモン分泌や代謝にも悪影響を及ぼします。
「なんとなくしんどい」「やる気が出ない」といった日常の不調も、実は“睡眠不足のサインかもしれません。
どうすれば眠れる?その答え、会社にあります|樋口麻理
https://mbp-japan.com/osaka/inshou-higuchi-mari/column/5194693/

おわりに

睡眠は、単なる「休息」ではなく、私たちの心と体を守るために欠かせない“生命維持活動”です。なぜ眠るのか? なぜ眠らないといけないのか?
その理由を知り、忙しい日々の中でも、自分の睡眠と向き合う時間にして欲しいと
お伝えしました。
質の良い眠りは、明日のあなたのパフォーマンスや笑顔、そして人生そのものを支えてくれます。
さあ、今夜から 「なんとなく眠る」を卒業し、効果的な眠りを始めてみませんか?

講座案内

来る8月3日(日)、尼崎市の園田学園大学にて講座を開催いたします。
詳しくは「みんなのサマーセミナー2025|尼崎市公式ホームページ」をご覧ください。
当日の講座内容については、次回改めてご案内いたします。
参加は無料ですので、お近くの方はぜひお気軽にお越しください

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樋口麻理
専門家

樋口麻理(睡眠健康指導士)

株式会社印笑

医療・教育の分野を知る睡眠健康指導士が、生活や社会活動の基盤となる睡眠管理をテーマに自己実現や子育て、健康維持をサポート。フェイスメソッドで、いびき対策や顔のこわばり改善などお伝えします。

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