冬の感染リスクを下げる「睡眠習慣」とは

日本は世界でも有数の「睡眠不足大国」と言われています。
OECD(経済協力開発機構)の調査によれば、日本人の平均睡眠時間は加盟国中でも最短クラスで、成人の平均は7時間22分ほどです。
しかし、実際に働く現役世代、特に20代〜40代のビジネスパーソンでは、
実態はもっと深刻な状態だと推測されます。
厚生労働省やNHKの生活時間調査によると、
会社員の実に4割が「6時間未満」の睡眠で日々を過ごしており、
慢性的な睡眠不足が常態化していると実感しているというデータがあります。
さらに、現代人は「慢性的な睡眠不足」と「慢性的な夜更かし」であるという自覚がないのも問題です。
例にあげると、
「今日はちょっと眠いけどなんとかなるか」「ちょっと昨日の晩に夜更かししただけ」と、
一時的な問題だと軽視している人が非常に多く、「コーヒーを飲めばなんとかなる」とその場しのぎの対策で済ませているケースが多いです。
この状態が常習化すると、いわゆる「睡眠負債(sleep debt)」と呼ばれる状態になり、
日々の睡眠不足が積み重なって、心身の機能をじわじわとむしばんでいくのです。
スタンフォード大学の研究では、
睡眠負債によって起こるリスクを下記のように報告しています。
1.集中力、判断力、記憶力の低下の要因
2.自律神経が乱れ免疫機能が低下すること メンタルヘルスへの悪影響
3.生活習慣病のリスクを高める。
生活習慣の重症化が進行すると三大疾病の発症へとつながり、命の危機にも関わる可能性があります。つまり、睡眠不足は本人だけでなく、会社全体の生産性にもダメージを与えているのです。
中小企業では、こうした社員の睡眠状態が「見えないリスク」として放置されがちです。
特に、日中のパフォーマンスが数値化しづらい職場では、「気合いが足りない」「やる気の問題だ」と根性論で片づけられることもあるでしょう。
しかし、実際には多くの社員が、睡眠の質や量に課題を抱えながら、職場で“なんとなく”働いているのが現状です。
経営者や人事担当者の皆さんは、まず自社の“睡眠リスク”を定量的に見直してみる必要があります。社員アンケートや健康診断データなどから「平均睡眠時間」や「日中の眠気レベル」を把握することが第一歩となります。
そして、その実態こそが、会社の生産性を左右するカギになると考えます。
参考資料
1. 日本人の平均睡眠時間はOECD加盟国中で最短
出典:Japanese People's Sleep Time is the Shortest in the OECD
2. 日本人の約4割が「6時間未満」の睡眠
出典:健康づくりのための睡眠ガイド 2023 - 厚生労働省
3. 睡眠負債による健康リスク
出典:睡眠改善法をスタンフォード西野精治氏に聞く - フォーネスビジュアス



